今回のゲストは、生成AIを活用した楽曲生成サービスを手がけるSOUNDRAW株式会社 代表取締役の楠さんです!
アメリカと日本を拠点に活動されている楠さんに、音声AIの現在地や生成AIのトレンドなど現地のリアルな声を教えていただきました!
※本記事は2025年6月24日の収録内容をもとに制作しています。そのため、現在の状況とは一部異なる場合があります。
◼︎ゲストプロフィール
楠太吾氏(SOUNDRAW株式会社 代表取締役)
学生時代、大学生ダンスコンテストで全国優勝を2度成し遂げる。立命館大学大学院卒業後、大手メーカーに就職。 その後、「何か自分で作りたい」という夢を追いかけ、起業。まずはダンス経験を生かし、ウェアラブル楽器ガジェットSoundMoovzを開発。発案からわずか1年半足らずで、世界17ヵ国で販売し、累計40万台を出荷した。 その後2社目を起業し、AI作曲サービス「SOUNDRAW」を開発し、2020年にリリース。世界中のクリエイターに愛用されるサービスを目指し、日々奮闘中。
Soundraw誕生の背景と、プロダクトが形になるまで
——まずサービスの概要と立ち上げの経緯を教えてください。
Soundrawは、誰でも簡単にオリジナル音楽を作れるAI作曲サービスです。動画クリエイターのBGM、ポッドキャスト、シンガーやラッパーのトラック制作など、用途は幅広いです。サービス公開は2020年、ちょうどコロナ禍でした。当時はまだ生成AIという言葉も一般的ではなく、資金調達も簡単ではありませんでした。
——プロダクト開発はどのように進んだのでしょうか?
実は2018年から水面下で始まっていました。音楽家とエンジニア3人で、楽曲として成立するバリエーションを大量に生み出す仕組みを構想していました。
初期は生成精度が低く、学習データの選定やアルゴリズム補正、さらに音量や響きなどフロント側の調整まで含めて改善を重ね、75〜80点の品質に到達するまで約2年間を費やしました。低品質な音が出ることはサービスの信頼を失うことに直結するため、ここは妥協しませんでした。
——なぜその間も開発を続けられたのですか?
YouTubeをはじめ動画市場の拡大で需要が伸びる確信がありましたし、個人的にも「海外で通用するプロダクトを作りたい」という強い思いがありました。そこが大きな推進力でした。
最大の武器は“合法性”──リーガル起点の競争戦略
——市場における最大の違いは何でしょう?
決定的なのはリーガル面です。多くの企業がネット上の楽曲を学習に使う一方、私たちは自社のミュージックチームが制作したデータだけでモデルを作っています。
そのため権利面の安全性が高く、BtoBの現場ではこれが非常に強い信頼材料になります。
——訴訟リスクについては以前から想定していたのですか?
はい。投資家とも継続的に議論していたので、大手レーベルによる動きは驚きではありませんでした。ただ、アーティストによる集団訴訟の広がりは予想以上でしたね。
——今後この領域はどうなっていくと見ていますか?
将来的にはAI生成物の表示義務などのルールが整い、配信プラットフォームが扱いを判断する段階に入るはずです。それまではグレーな状態で広がり続けるでしょう。
だからこそ、最初から安全な立場を取っていることが重要だと考えています。
世界での広げ方──マーケ・提携・組織づくり
——なぜアメリカに拠点を置いているのですか?
売上の約8割が海外で、最大市場がアメリカだからです。ニューヨークに経験豊富なメンバーを置き、ワークショップやイベントを通じて現地で使ってもらいながら信頼を築いてきました。同時に、動画編集アプリやゲーム会社へのAPI提供も進めています。
——グローバルコミュニティへの入り込み方について教えてください。
結局は現地の人と組むことに尽きます。私たちの場合は20年のキャリアを持つパートナーのネットワークがあり、その紹介でスタジオや企業との連携が広がっていきました。
——チームづくりはどのように進めていますか?
採用はLinkedInやリファラルを中心に行っており、日本には開発メンバー、アメリカには事業開発メンバーという体制でエンジニアは多国籍です。
言語が混在する難しさはありますが、「音楽が好き」という共通点が強い接着剤になっていて、毎月のDJイベントのような文化もチームをまとめています。
AI音楽時代におけるポジションと次の展開
——クリエイターやアーティストとの取り組みについて教えてください。
AIが生んだビートに人が歌を乗せる、といった新しい制作スタイルを広げています。特にアマチュア層に対し、「ここまで作れる」という具体例を提示する活動を続けています。
——直近のプロダクト展開はありますか?
レコーディングから配信まで完結できるアプリを準備しています。制作した楽曲をSpotifyなどへ届けられる環境を整え、創作から発表までの流れを一気通貫にします。
——AIが発展する中で、Soundrawはどんな立場を取りますか?
理論上は無数のアーティストを生み出せる時代になりますし、人の仕事が減っていく可能性も高いでしょう。その中で私たちは完全自動化ではなく、あくまで人の創作を後押しする道具として進化させていきたい。創る人を増やし、その表現を広げる存在でありたいと考えています。
今回の内容はポッドキャストでも配信しておりますので、詳細の内容を知りたい方はぜひ音声でもお聞きください!


