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#7 AIネイティブな法律事務所の最前線!クラウドリーガル・崎地さんが語る生成AI時代のプロフェッショナルワーク!

2026.2.20

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今回は、AIネイティブな法律事務所という新しい形に挑戦するMOLTON社の﨑地康文代表をお招きし、法務アウトソース化が進んできた背景や生成AI時代におけるプロフェッショナルワークの未来について、現場の視点から掘り下げました!

※本記事は2025年11月14日の収録内容をもとに制作しています。そのため、現在の状況とは一部異なる場合があります。

◼︎ゲストプロフィール

﨑地康文(MOLTON株式会社(旧:a23s株式会社)代表取締役)
弁護士(第二東京弁護士会)・NY 州弁護士 東京大学工学部卒、アンダーソン・毛利・友常法律事務所にて弁護士として企業法務に従事、UC Berkeley LL.M.留学後、AI医療機器スタートアップの執行役員プロダクトマネージャー、慶應大学発ヘルスケアスタートアップ共同創業者兼取締役COOを務め、a23s株式会社を共同創業(なゆた国際法律事務所の代表弁護士を兼任)。

法務アウトソースが増える理由は「人材不足」と「やれる範囲の明確化」

——近年、法務のアウトソースがトレンドになっている背景は何ですか?
アメリカが先行していて日本も追っている状況です。背景としては、ベテランの法務人材が引退する一方で、若手が法務に入りたがらない傾向があり、大企業から中小まで法務人材が不足していることが大きいです。

——「最近になって増えた」要因は人材以外にもありますか?
規制面で「どこまで外に出せるか」が不透明だった部分がありました。ただ、AI契約書レビューに関して法務省が見解を出して、外出しできる範囲がある程度明確になり、やりやすくなった面があります。

——アメリカではどう違うのでしょう?
アメリカでは昔からインドなどに外注していました。企業法務の外注に関して規制的にうるさくない土壌があり、最近はAI活用でさらに加速している、という認識です。

「事件・紛争は扱わない」——契約レビューを軸に、企業法務を広く支える

——クラウドリーガルはどんなサービスですか?
弁護士などの専門家と生成AIのハイブリッドで、企業の法務を支援するサービスです。私は東大工学部出身でエンジニアリングを学んだ後に弁護士になり、スタートアップ法務に携わる中で法務のペインの大きさを感じ、この領域に取り組んでいます。

——具体的にはどの業務を対応しているのですか?
事件・紛争は扱わないと区切っています。一方で、事件・紛争でない領域は基本的に幅広く対応可能で、その中でも最も多いのは契約書の審査・レビューです。提供予定の契約が問題ないか、社内ポリシーに沿っているかなどを確認します。

——「ChatGPTで十分では?」という質問にはどう答えていますか?
リーガル領域は間違いが許容されにくく、ChatGPTはまだ間違えることがあります。そこで専門家がチェックする「生成AI×人」のハイブリッド(ヒューマン・イン・ザ・ループ)をコアにしています。加えて、ChatGPTは日本法や日本のプラクティスに弱い面があるので、ワークフロー側で支援し精度も高めています。

差別化は「暗黙知の言語化」と“差分学習”のループにある

——非公開データを食わせるような差別化はありますか?
判例のインプットというより、弁護士のドメインノウハウを入れています。「普通はこうする」といった、文章化されていない知見です。

——その秘伝のレシピを作る難しさはどこにありますか?
一番難しいのは、暗黙知を言語化することです。体系化されていないので、「ノウハウを教えてください」と言われてすぐ話せる人は多くありません。そこをどう表に出すかが難所です。

——AIネイティブな設計として、精度向上はどう回していますか?
依頼者に返す前に専門家のチェックとフィードバックを入れます。すると生成AIのアウトプットと専門家のアウトプットの差分が得られ、案件を処理するほど差分が溜まります。その差分をもとに、AIが弱いところを修正していくのが精度向上に効いています。

——「AIをかませるメリット」はどこにありますか?
法律事務所でも、若手が一次チェックして最後にシニアが確認する分業が一般的です。生成AIはその若手の役割を置き換えるイメージで、時間短縮とクオリティ担保の両方に寄与します。特に社内ルールとの適合性チェックなど、面倒で時間がかかる作業はAIが得意です。

生成AIで「プロフェッショナルワークがスケールする」——採用も全方位で

——今の営業上の訴求はどこに置いていますか?
現状は「安さと速さ」で、クオリティは今まで通り、という形が多いです。ただ最近は、一般的な人手の契約書レビューよりも、システムを使った方がクオリティが上がってきている感覚もあります。

——クオリティが上がるとは、具体的にどういうことですか?
若手なら見落としがちな点も含めて広くチェックし、修正案も人よりきれいで分かりやすい文章で出せることがあります。修正コストが下がることで、取引の特殊事情を条文に落とし込むなど、テーラーメイドの取り決めも作りやすくなります。質問回答の文章も、専門家が書くより分かりやすく整えられる点は大きいです(中身の正否は当然確認します)。

——今後の大きな見立てを一言で言うと?
生成AIによって、これまでスケールしにくかったプロフェッショナルワークが、非定型業務の処理を含めてスケールできるようになったと見ています。そこに挑戦したい、というのが大きなメッセージです。

——最後に、告知や採用のメッセージはありますか?
採用です。全方位で採用しているので、「プロフェッショナルワーク×生成AI」の未来を一緒に作ることに興味がある方は連絡してほしいです。問い合わせは「クラウドリーガル」で検索してホームページからお願いします。


今回の内容はポッドキャストでも配信しておりますので、詳細の内容を知りたい方はぜひ音声でもお聞きください!

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