今回は、株式会社pow代表の柳澤 蓮氏を迎え、生成AIによる市場調査の変革について掘り下げました。数百名規模の定性調査を即日で完了させる「SPARK Research」が、従来の調査会社モデルをどのように再定義しようとしているのか。スピード、構造、そしてAIがもたらす新しいインサイトの可能性について議論しています!
※本記事は2026年2月18日の収録内容をもとに制作しています。そのため、現在の状況とは一部異なる場合があります。
◼︎ゲストプロフィール
【柳澤 蓮(株式会社pow 代表取締役)】
株式会社pow代表取締役。2019年9月より現職。複数回の事業売却を経て、現在は市場調査・マーケットリサーチ領域でプロダクト開発に取り組む。青山学院大学総合文化政策学部総合文化政策学科卒業。2018年9月から2019年9月まで株式会社終活ねっとにてインターンとして従事。現在は株式会社powを通じて市場調査分野におけるプロダクト開発を推進している。
調査会社のリプレイス──AIが担うユーザーインタビュー
——まず、事業概要を教えてください。
生成AIでユーザーインタビューをモデレートする「SPARK Research」を提供しています。数百名規模の定性調査を最短即日で完了させることを目指したプロダクトです。2025年秋から開発を始め、年末にベータ版を提供、3月に正式リリース予定です。
——どの業務を置き換えるサービスなのでしょうか?
市場調査会社が担ってきた業務のリプレイスを狙っています。具体的には、①調査設計、②インタビュー実施(モニター調達含む)、③結果分析の三つです。発注者は主に大手企業で、専門知識不足やリソース不足を理由に外注するケースが多い領域です。
——特にインパクトが大きいのはどこですか?
インタビュー実施です。従来は日程調整やモデレーターのアサインなどが必要で、最大20名程度が限界、完了まで2〜3か月かかることもありました。AIが24時間対応し、オンラインで実施できることで、即日かつ数百名規模での回収が可能になります。
労働集約か、知識集約か──AIが触れるリサーチの核心
——この領域は労働集約的なのか、知識集約的なのかどちらでしょうか?
両面ありますが、やや知識集約寄りです。大手企業が外注する理由は、単にリソース不足だけでなく、正しく設計・実行できているか不安だからです。ROIが直接可視化されにくい領域でもあります。
——海外の動向はどうですか?
米国では非常にホットな領域で、三つのアプローチがあります。①設計から分析までをAIで実行するタイプ、②AIで顧客ペルソナを生成するタイプ、③仮想世界でシミュレーションを行うタイプです。当社は①に近い、現実のインタビューをAIで置き換えるモデルです。
——どのアプローチが伸びていますか?
いずれのカテゴリも大型調達が進んでいます。特に米国では百億円規模の資金調達事例もあり、市場として注目されています。
「スピード」が刺さる理由──大企業の意思決定構造
——実際に刺さっている企業の特徴は?
複数ブランドを持ち、横断的にリサーチを束ねる立場の担当者です。同時に7案件を抱えるケースもあり、スピードの価値が大きい。
——価格、品質、スピードのうち、どれが決め手ですか?
最も刺さっているのはスピードです。従来数か月かかっていた調査が1週間程度で完了します。レポートは意思決定部門やブランドの企画会議に持ち込まれるため、リードタイム短縮の価値は大きい。
——どのような調査で特に有効ですか?
競合製品の発売直後の評価など、鮮度が重要なテーマです。一次情報は時間とともに変化するため、2〜3か月待つより1週間で取得できることが評価されています。
「広さ」と「深さ」のトレードオフを超える
——AIによって可能になる新しい価値は何ですか?
従来は定量調査(広さ)と定性調査(深さ)がトレードオフでした。アンケートでは深いインサイトが得にくく、インタビューでは母数を増やせない。AIが高品質なインタビューを大量に実行できれば、この関係を“トレードオン”に変えられる可能性があります。
——今後の展望を教えてください。
プロダクトミッションは、AIでインサイトの基盤となり、ユーザーに愛されるモノづくりを支援することです。日本を代表するブランドのリサーチ基盤を担える存在を目指しています。現在はMVPに近い段階ですが、開発と営業を強化していきます。
——採用について。
AIの精度向上が鍵です。人間のリサーチャーに近いクオリティを実現するため、AIエンジニアの応募を歓迎しています。
今回の内容はポッドキャストでも配信しておりますので、詳細の内容を知りたい方はぜひ音声でもお聞きください!



