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#9 生成AI時代、どんなデータが「競争力」になるのか?

2026.3.2

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今回は、AIデータ収集・アノテーション事業を展開する株式会社APTOの高階代表をお迎えしました!

生成AIの進化によって、AI競争の軸は「モデル性能」から「データ設計」へ。

Webデータの限界、合成データの台頭、それでも価値を持つ“人間が作るデータ”。さらにLLMやフィジカルAI時代に求められる新たなデータ需要の実態について、最前線から語っていただきました!

◼︎ゲストプロフィール

高品 良(株式会社APTO CEO & Co-founder)

様々な業界のインフラバックエンド開発に従事し、フリーランス転身後は大手人材会社のバックエンド開発を手掛ける。AI開発をする中でデータに課題を感じ2020年1月にAPTO設立。

創業の原点は「データが集まらない」課題

——まずはAPTOの事業概要を教えてください。
2020年1月に創業し、AI向けのデータ収集・アノテーション事業を行っています。画像や動画、音声、LLM向けテキストなどAIの学習に必要なデータを企業の課題に応じて制作しています。

——この領域で起業した背景は何だったのでしょうか。
もともとエンジニアとしてインフラやバックエンドを担当しており、AIも個人的に触っていました。当初はSNSの炎上を自動で検知するサービスを構想していましたが、必要なポジネガ判定データを集めるのが難しく、外注すると高コストでした。そこで、一般ユーザーが参加できる仕組みでデータを作れないかと考え、ポイ活型アプリの構想からスタートしました。

——生成AIの急拡大は想定内でしたか。
いつか来るとは思っていましたが、ここまで早く、ここまで大きな波になるとは予想していませんでした。特に2022年のChatGPT以降、テキストデータ案件が急増し、VLM(Vision Language Model)の登場で画像系も伸びました。これは明確な転換点でした。

ツールではなく「コミュニティ」で差別化する

——アノテーション企業が増える中で、APTOの強みはどこにありますか。
ツールの高度化よりも、専門性を持つ人材のコミュニティ構築を重視してきました。現在はLLM向けデータ制作のコミュニティを運営しており、農家や銀行員など多様なバックグラウンドを持つ参加者がいます。

——具体的な事例はありますか。
小麦農家の知見を必要とする案件があり、実際にコミュニティ内の当事者である小麦農家さんにデータ制作を担当していただいたのですが、これは企業様から非常に高く評価されました。ウェブ上の汎用データでは作れない、専門性の高いデータを供給できる点が強みです。

——合成データとの違いはどう見ていますか。
AIが生成したデータを用いるケースも増えていますが、依然として人間が作成した高品質データの価値は高いと感じています。特に精度向上の観点では、人手によるデータが重視される場面は多いです。

大企業のAI開発は「POC止まり」なのか

——生成AI導入において「POC疲れ」を指摘する声もあります。現場感はどうですか。
確かに過去には多かったと思いますが、最近は実装まで進む案件が増えています。開発環境が整い、精度も上がりやすくなりました。プロンプト活用などで工数削減も進み、以前よりPOCを抜けやすい状況だと感じています。

——APTOはどのように伴走するのでしょうか。
長期案件では1年かけ、3カ月単位で改良を重ねるケースもあります。一度納品して終わりではなく、再学習や追加データ対応などを繰り返しながら精度を高めていきます。AI開発は基本的に継続的なプロセスです。

ソブリンAIとフィジカルAI、その先のデータ需要

——日本企業の独自モデル開発の動きはどう見ていますか。
国が予算を投じて国産モデル開発を後押ししています。海外モデル依存には一定のリスクがあるため、日本独自で構築する意義は大きいと考えています。我々もそうした案件に関わっています。

——最近はフィジカルAIにも取り組んでいるとか。
ロボット領域のデータ需要が高まっており、自社でロボットを導入して操作ログなどの取得も行っています。案件対応だけでなく、将来必要になるデータを見越した研究的な取り組みも進めています。ロボティクスが広がれば、専用データも必ず必要になります。

——最後に、採用について教えてください。
現在は全方位で採用を強化しています。特にセールスとエンジニアです。営業にはAI理解や学習意欲が求められます。顧客課題を理解し、具体的な提案ができる人材を歓迎しています。


今回の内容はポッドキャストでも配信しておりますので、詳細の内容を知りたい方はぜひ音声でもお聞きください!

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