こんにちは!
ANOBAKAインターンの川野です。
今回は、先週23日(木)に開催された「【第2弾】最新の海外事例に学ぶ!生成AIスタートアップ交流会」の模様をお届けします!
本イベントは、ANOBAKAが住友不動産様と共同で運営しているコワーキングスペース「ANOBASHO」の正式オープンを記念した7日間連続イベントの3日目のコンテンツとして行われました。
イベントの概要
「最新の海外事例に学ぶ!生成AIスタートアップ交流会」とは、最新の海外スタートアップから、生成AIのビジネスモデルへの落とし込み方や、スタートアップとしての初期戦略などをケーススタディしようというコンセプトで行われている座談会形式のイベントです。
当日は、「ユースケースとしてのユニークさ」「株主や調達金額( = そのスタートアップや技術への期待値の高さ)」などいくつかの観点から5つの海外スタートアップをピックアップし、萩谷がモデレーターとして登壇者の方々と共に多方面からディスカッションを行いました。
<ご登壇いただいた皆さま>
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ ディレクター 野本 遼平 様
元スマートニュース株式会社 執行役員 川崎 裕一 様

パネルディスカッションの内容をチラ見せ!
それでは、当日どのような議論が展開されていったのか、細部までとはいきませんが、いくつか共有させていただきます✨
ちなみに、今回のイベントでは下記のようなキーワードのスタートアップを取り上げて議論しました!
- 医療業界のサプライチェーンマネジメント
- ゲーム業界 × 生成AIの動的利用
- パーソナライズドEC
- LLM as a judge
- 非構造化データの解析
■ 生成AI vs SaaSの競争構造
今回のイベントでは、「業界特化型」や「AIエージェント」といったキーワードが度々議題に上りました。2023年頃から、こうしたキーワードへの注目度は既に高まりつつありましたが、2025年以降もさらに拡大していくと見られているため、参加者の方々からの関心も大きかったように思います。
議論の中では、まず、新たに市場参入を目指す生成AIネイティブのスタートアップにとってはホワイトスペースがどこにあるのか(そもそもあるのか)、ゼロベースで参入して既存プレイヤーと戦うことができる事業領域なのか、は競争構造を抑える上でまずポイントになるとのお話がありました。
既に顧客データベースや市場シェアを確保している既存のSaaSベンダーは、やはり一定のアドバンテージを有しているため、真っ向からぶつかると苦しい戦いを強いられるかもしれません。その一方で、保有しているデータのクオリティや法的リスクなど、クリアしなければいけない課題は存在しているため、一概に後発の生成AIスタートアップに全くのチャンスがないというわけでもありません(だからこそ、見極めることが重要だというお話でした)。
また、SaaSはデータベースと人をつなぐためのインターフェースに過ぎず、結局重要なのは「誰がそのデータベースを持っているか(データの保有)」という点に尽きます。こうした話を踏まえると、例えばMicrosoftやSalesforceのように既に膨大なデータと顧客を握っている既存のSaaSベンダーの方が、解決しうる課題にアプローチすることができる材料をより豊富に持っており、スタートアップに対する優位性がさらに強化されていく方向に進むのではないかという見解を聞くこともできました。

■「非構造データの扱い」と「傾聴力」
こうした話を聞くと、業界特化型のAIエージェントは中々に厳しい戦いを強いられるように思えてしまいますが、勝ち筋に対するヒントもいただくことができました。キーワードになるのは、「非構造データの扱い」、そして「傾聴力」の2つです。
前者については、恐らく釈迦に説法だとは思いますが一応…。従来型の多くのSaaSでは、構造化データを中心に設計されているものが多いですが、実世界では非構造データの方が圧倒的に多く、そして未だその多くが非効率的な形で放置されたままとなっています。こうした非構造データを扱うSaaSの事例も増えてきていることを踏まえると、生成AIネイティブなスタートアップにとっては、扱う非構造データと、そこから生み出す付加価値でいかに差別化を図るかがポイントになると言えます。非構造データという“食材”を手にし、構造データへの変換などを通じていかにオリジナルな“料理”へと昇華させられるか、が勝ち筋を考える上で重要になるのだという風に私は学びました。
そして、後者に関してですが、私たちは普段、AIに指示を与える(プロンプトを入力する)ことでアウトプットを得ていますし、基本的にアウトプットを求めてChatGPTなどは使用しているため、アウトプットだけを重要視してしまいがちです。しかし、アウトプットだけではなく、ユーザーから与えられる「入力(インプット」の品質も同等に重要であることを認識している人は意外と多くありません。
アウトプットは既存のデータから生まれるものであり、AIがどのような結果を生成するかは、私たちがどのようなデータを入力するかによって決まります。そして、そのインプットの品質を左右するのが、AIエージェントの「傾聴力」であるという話でした。ここでいう傾聴力とは、単にユーザーの言葉を理解するだけでなく、自然な会話や行動データを効率的に収集する能力も含んでいると考えています。
傾聴力が高いエージェントは、ユーザーから価値あるデータを引き出すことができ、結果として質の高いアウトプットを提供できるようになります。質の高いアウトプットを提供できるからこそ、ユーザーは何度も何度も繰り返し使用し、インプットデータがより蓄積していきます。そうするとアウトプットがさらに洗練されていくという好循環が生み出されていきます。つまり、インプットとアウトプットの相互作用が競争上のカギになっているのです。

継続開催していきます!
本イベントは、第3弾・第4弾と今後も定期的に開催していこうと思っております。また、2025年はこれ以外にも様々なイベントを開催していく予定です。
ANOBAKAニュースレターを購読いただくと、いち早くそうした情報をお届けすることができますので、まだ登録されていない方はぜひ👇🏻よりご登録頂けますと嬉しいです!
また、生成AI関連でもそうでなくても、事業や資金調達に関するご相談がございましたら、ぜひANOBAKAホームページより気軽にお問い合わせください!