コミュニティマネージャーの槙原です。
この度は、「紙をなくす男」オートメーションラボ代表 村山氏に迫る!ということで、先日資金調達のリリースを発表されたオートメーションラボ株式会社代表の村山氏に「請求書業務に関する環境の変化」や「これから目指す世界観」についてなどお話を伺ってきました。
オートメーションラボ株式会社では、AIとOCR技術を用いて請求書業務を8割軽減する業務効率化SaaSツール「sweeep」の提供を行っています。
キャピタリストの萩谷から、村山さんへ質問しながらインタビューをさせていただきました!
ーーーーーインタビュー内容ーーーーーー
萩谷:本日は宜しくお願いします。最初に事業内容をまず教えてください。
村山:受け取った請求書データの経理処理を最大80%程度、効率化するSaaSを運営しています。
何をやっているかというと、OCR技術を使って、請求書の中身を解析して、会計仕訳ですとか、振り込みデータを自動で生成できます。一般的には今まで4日かかっているものが丸々かかっていた作業が、1日に減るというようなサービスになっています。
萩谷:請求書の領域というのは、他にも類似サービスいくつかあると思うのですが、その中でもポジショニングや自社独自の強みなどはどのようなポイントですか?
村山:開発のプロダクトのコンセプトとして、大きく3つありまして、
一つ目は、「OCRの読取精度」ということと、
二つ目は、「学習」
三つ目は、「業務への適合」
この三点をすごく意識してやっています。
OCRに関しては、まずは精度にこだわって80%〜98%の「精度」を請求書を読み取ったときに出せるようにしています。
OCRの中でも「ユーザーに負担をかけない」というのをすごく大事にしていまして、何かというと、請求書のどこに何が書いてあるんですよ、という設定作業(帳票定義といいます)をやることで、請求書の読み取り作業の精度が上げられるんですが、その設定作業が非常に負担になってます。というのが旧来のOCRだったんですが。
そこに関しては、「sweeepはもう一切設定作業をやらない」っていうのを決めてます。
なので、この「設定作業なし」にこの精度を出せるっていうところが一つ目の大きな強みです。
村山:強みの二つ目は、これも「学習」ということですね。
読取るべき会社名や振込先口座をOCRで間違って読み取ってしまったり、請求書に書かれていない情報である仕訳内容について、ユーザが修正することで記憶させることができます。これにより次に同じ請求書がきたら正しく正解を出すことができます。これが「学習」です。
学習と聞くと、機械学習みたいなちょっと小難しいイメージがあると思うんです。モデルを組んだり設定をするみたいな大変なイメージがあると思うんですけど、そこでも先ほど言ったように、「とにかくユーザーに負担をかけない」というのをバリューにしているので、特に何も学習に関わるユーザーの作業ってのはないです。単純に普段の業務をPC上でやっていくと、裏側で学習ができるっているのが、強みです。RPAの文脈でプロセスマイニングというのが注目されているんですけど、このプロセスマイニングみたいな考え方を、このsweeepでは実現しました。
萩谷:なるほど。
村山:3点目は、「とにかく業務適合度を上げる」っていうことですね。
業務適合度っていうのは何かいうと、OCRっていうのはもう単純に「人間で言うと目」です。
なので、見るっていう行為だけが自動化されるんですけど、その見た後に頭で判断して、仕訳のデータとして入力した取り組みのデータを作ったり、と言うのをやんなきゃいけないですし、その入力したものを今度第三者の方、例えば上長する承認をしたり、キャビネットに保管したりとか。もしくは、その請求書が集まる前にどうやって集めますか、そう言うのも含めて請求書の業務フローは成り立ってるんで、「見る」だけを解決しても、ユーザー課題は解決されない。
なので、この「業務適合度」っていうのを上げることで、一気通貫でsweeep上で作業ができて、ちゃんと課題を解決できると言うのが、三つ目です。
この三つを全部やってる会社はないので、まずそこが総合点で強みですし、それぞれに対して多分やってるところもありますが、一つ一つ非常に精度の高いレベルでやっているのが強みになります。
萩谷:すごいですね。sweeepの強みがよくわかりました!
萩谷:すごく業務フローに沿って経理の方の課題を解決できるサービスを作られてるなと思うんですけど、これができてる理由や、村山さんのバックボーンを含めて教えてもらってもいいですか。
村山:はい。もともと会計コンサル会社に入って、そこでシステムの開発とか、あとは業務改善コンサルというところをやっていたんですね。なので、まず会計周りに関してはもちろん専門性を持っていて、かつ、直近で言うと、業務改善に関して、VBAを使ったりとか、スプレッドシートでワークフローを組んだり、業務フローを変えたりとか組織を変えたり、RPAを導入したりとか。
まぁ色々やってたんですけど、結局この「アナログのデータをデジタルに変える」という、いわゆる「請求書を見ながら、手で打つ」という行為は、ずっと変わってきてなかったんです。
そこがOCRのブレークスルーによって、できるなっていうことを理解し、さらに、その請求書の処理という、頭からお尻までの業務をBPOという事業をやることで、完全に理解していたので、ユーザーの課題イコール自分自身の課題というふうに捉えて、開発ができているんだと思います。
萩谷:ありがとうございます。
萩谷:ちょっと少し込み入った話すると、BPOも競合になると思うんですけど、そことの優位性を教えていただけますか?
※BPOとは、Business Process Outsourcingの略で、企業がコアビジネス以外の業務プロセスの一部を、外部の専門業者に委託することです。「業務プロセスアウトソーシング」などの意味があります。
村山:はい。大きく二つあります。
一つは、「sweeepの方が大きいフローの範囲をカバー出来ている」点です。ユーザは先ほど言ったような業務をやっていてそれを全て解決しないと業務全体の課題を解決できません。ある程度会社が大きくなっていくと、承認がありますとか、支店があって色々なところから請求書を集めなくてはいけませんとか。要は会社のサイズが大きくなればなるほど、色んなフローが付け足されていくんですけど、そこに対してBPOサービスっていうのは、全部カスタマイズしてやると、サービスとしての収益性がぐんと落ちてしまうので、できません。
そうすると結局は記帳代行サービスということで、仕訳入力のみにフォーカスせざるをえません。sweeepでは、ユーザーが思うように業務フローに適応させることができる強みが一つあります。そこはBPOサービスとの違いです。
そして、もう一つは、「リアルタイム性」ですね。
BPOサービスは裏で人が動くので、1日から長いところだと3日くらいかかるんです。で、これがなぜ致命的かというと、大企業になればなるほど、決算業務に割ける時間は非常に短いです。
タイトな作業をわっと人を集中させてやらなきゃいけない。そこに「3日」っていうのはもうほぼ当てられないんですね。
請求書に与えられた時間っていうのは、「1日から2日」なので、そこはそういう会社にとってはBPOサービスっていうのは、適合しないですね。
萩谷:確かに経理の方にとってはその「スピード感」というのが大事なんですね。
萩谷:ちょっと実際に導入してどのような部分で成果が上がったなどのお話があれば、導入実績を含めて教えてもらってもいいですか。
村山:「時間」それから「場所」と、あとはもう1個は、「品質」(管理品質)の向上という、三つがあります。
「時間」という意味だと、さっき言ったような「自動化」によって、人が作業する時間が減って、これによって決算が2日短縮されました。結構2日って聞くとふーんという感じなんですけど、時間単位で改善している経理にとってめちゃめちゃ大きいことです。
もう一つは、「場所」です。今コロナなので特にそうなんですけど、出社できなくなりました。そこで、sweeepを使ってどんどんPDFの請求書をクラウド上に貯めていって、在宅でみんなが家から請求書を見ながら作業するようになりました。今までだと請求書を物理的に回覧をして、まず資料を入力する人、チェックする人、承認する人と。全部紙が回っていって、初めてできるので、同じ場所にみんな集まっていないとできなかったんですが、一旦sweeepに投げ込んでおけば、皆さんそれを見に行けるため、「場所の制約」がなくなりました。
最後に「業務品質」です。全部一旦sweeepに放り込んで、sweeepで出した答えに対して、チェックをして、承認に回して保管するっていう流れが完全に標準化できました。かつ誰がどの請求書に対してどんな処理をしたかというログが残ります。これによって後から見返した時に処理した理由がわかるんです。また同じ取引先の請求書を1年分出して、それぞれがどう処理されたかもすぐにわかります。これらにより格段に業務品質が向上しました。
今までは、キャビネットにいって目的の請求書を探してきて過去の処理を参考にしたり、誰がどの処理をしたかが暗黙知になっていたためノウハウがシェアされにくかったです。
sweeepをベースにした業務フローになることで、ミスがなくなったりとか、ちゃんと誰が何を行っているというのがすぐに分かる状態になっているというのが「業務品質」の評価になります。誰が何をしたかという情報がオープンなので不正の抑止に繋がるとおっしゃっているお客様もいらっしゃいました。
萩谷:かなり使いやすそうですね。
萩谷:会計システムとの連携も進んでるんですか?
村山:会計システムに関しては、まず、今どんな会計システムでも、連携可能です。
今まで実際に連携できなかったりすることはないです。これはなぜかというと、sweeepで持っているデータを自由にレイアウトを決めて出力できるからです。これはCSV連携、いわゆるオフラインでの連携のケースです。
もう一つは今「API連携」をどんどん強化しています。
freeeに関しては、もうすでに開発が終わっていて、ボタンぽちっと押すだけで、それでもう仕訳と請求書のファイルが全部飛んでいきます。他にもいくつかのAPI連携機能を開発していて、まずマネーフォワードでやっているんですけど、他にもAPIを公開してもらえるソフトウェアとはどんどん連携していきます。
これは私の目指したいこれから社会の話なんですけど、
「ゼロインプットを目指したい」と思っています。
要するにDXの究極の形っていうのは、データが発生した時点で、それを皆が共有できるという状況なので、実際には最初のワンインプットはありますが、sweeep上だけにとどまらないので、当然会計システムに繋げるし、sweeepの上流側でもデータを持っていればそこで繋ぐこともできます。
APIが全部繋がっている世界になれば、インプットはしなくていいはずなんです。最初のインプットだけあれば、後はもう「ゼロインプット」なので、その世界観を目指しています。
そのためにも、上流下流を連携をこれからも進めていきたいと思っています。
萩谷:請求書発行サービスが複数ある中でオンラインでの受け取りの部分に注力してると思いますが、sweeepがお客様に刺さっている部分を具体的に教えてください。
村山:受け取りのところが一番強化している機能の一つになってるんですけど、結局、経理の方は請求書をまず「集める」ところにも、非常にパワーを使っています。なぜかというのは、経理に請求書が集まるまでにいくつかの工程があり、それぞれで問題が発生するからです。自社の現場部門の方々が、経理に請求書を送ってくれない、さらにその先にある取引先から請求書が届かない、郵送に時間がかかるなどの理由です。全ての工程がスムーズに動いても3・4日かかることもあります。
村山:実は、経理のよくあるプロジェクトに、決算早期化というのがあるんです。いかにして決算を始めるっていうのは、何十項目のいろんな作業項目並べて、どこにボトルネックがあるかを調査するんですけど、ここで請求書の処理は必ず出てきます。取引先ベンダーが送ってくれません。だから3日まで処理が始められませんということがよくおきます。となると、そこからヨーイドンになるんで、その後の処理が全部玉突きで遅れます。なので請求書の回収をどうやって早めるかというのがずっと課題でした。
そこでsweeepでやってるのは、請求書を送ってくださいっていうのを、もうオンライン上に完結しようとしています。
取引先専用のページを用意してもらって、そこにアップロードしてもらう、もしくは取引先専用ののメールアドレスを発行してあげて、必ずそこに送るというようにやると、取引先の現場の担当者もすぐ届くし、経理もすぐ見れる。全てあの4日間というのが全部ゼロになりますよね、
萩谷:そうですよね。紙で送るより全然楽ですもんね。
村山:そうなんです。三方良しで、現場もいちいち請求書くださいって言わなくていいし、実は取引先も無駄出社しなくて良くなるんです。
これは結構あるあるなんですけど、取引先は、こっちの方が丁寧だと思って、紙で紙で発行していたんです。こっちの方が丁寧だと勝手に思って、印鑑まで押していたんです。そんな悪しき風習があって、誰も言わずにいたんですがsweeepのリンクを送って、ここに入れてください、押印は不要ですってなったら、え!そんな楽なことができるんだって言ってやってくれます。取引先にとっても効率化に繋がるんですよね。実は請求書の受け渡し方法を変えたいという想いもあって、このオンラインでの受け取り機能を推し進めています。
萩谷:そういう風習はまだまだありますよね。実際相当な工数ですが。
萩谷:「電子帳簿保存法」に関しても、教えてもらってもいいですか?
村山:最近請求書の界隈が、にぎやかになっているのは、まさにその「電子帳簿保存法」と、2023年の「インボイス制度」が関わってくるからなんです。
あと、これはまだ確定ではないんですけど、同じ2023年に政府は「請求書の完全電子化に踏み切ります」と言っていて、国としてトライしようとしています。
請求書にまつわる制度とか環境が変わってきて、今はそういう時期です。
「電子帳簿保存法」の方から言うと、実は1998年からの法律です。
どんな法律かというと、電子化された書類を税務上のエビデンス(証拠書類)として認めるというものです。
本来、請求書とか領収書は紙で保管する義務があります。この経費はこの請求書を元に支払いましたということを証明するために唯一のエビデンスとして紙を保管する義務があります。
ただある要件をクリアすれば、紙ではなくて、電子データで保管してもOKです。それを決めているのが電子帳簿保存法です。
この法律はとてもコンセプトが良さそうなのですが、すごく適用しにくい条件がたくさんありました。例えば専用のスキャナーで読み取りをしなければならないとか、解像度はいくつでとかいろいろありました。なので、利用は進まなかったんですけど、徐々に徐々に緩和してきて、ようやく来月2020年10月にクレジット明細データがOKになりました。
ですが、請求書に関しては、まだまだ使いやすい制度になっていません。sweeepでは請求書の受け取り時に改ざんのないことを証明可能なタイムスタンプを付与するため、sweeepを使っていれば電子帳簿保存法に対応でき紙が完全に不要になくなります。現在、この機能をJIIMAという機関に認証してもらうための動いています。
請求書でもタイムスタンプがあれば、請求書に対しても、電子化OKになりました。それが、この10月から受け取り側じゃなくて、発行側で押されたタイムスタンプでもOKという内容に変わります。ただ、実際発行側でタイムスタンプを押してあげているというのは聞いたことがないです。なぜかというと自社にメリットは一つもないからです。
萩谷:別にわざわざそこに工数かけないですもんね。保存するのは相手なので、そのためにやってあげるだけですもんね。
村山:だから、政府として電子化を推し進めている理由には、ちゃんと送る側送られる側の双方がメリットを受けられるようなプラットフォームを作りましょうということなんですけど、それが実現するのにはまだ時間がかかるので、sweeepでやろうとしているのは、受け取り側でタイムスタンプを押してあげることで、「紙を即捨てていいです」という状況を作ろうとしています。
萩谷:今後それがリリース予定なんですか?また実際そこの引き合いは多いんですか?
村山:そうですね。リリース予定です。結構引き合いは多いですね。
我々の会社としても、「ゼロインプット」と同じくらい大事にしている観点で「紙をなくす」ということを大事にしていて、うちの会社自体でも「紙」はほどんどないんですね。そういう状態にならないと本当のDXは進まないので、一緒に実現していかなくてはいけないんです。周りの企業も、だんだんそれを感じていて、「電子帳簿保存法」対応していますか?と聞かれる流れになっています。
萩谷:今後のプロダクトの機能拡大とか含め、オートメーションラボさんが見据えるビジョンを教えてもらっていいですか?
村山:まずは「紙をなくす」というビジョンが大きくあります。
「電子帳簿保存法」対応して「紙をなくす」を実現します。
紙によって起こる非効率な企業の負担をゼロに近づけたいなというのが、直近のビジョンです。
もう一つは、業務フローとか権限周りのフローをどんどん強化していきます。
要は、チームでsweeepを使って作業する時の、内部統制・権限まわりを強化して、誰が何をしたかというようんログを細かく追えるようにしていきます。誰にはこれを依頼、誰にはこれを承認など細かく設定できるようにしていきます。あとは、先ほどお話しした「回収機能強化」ですね。
萩谷:最後になんですが、採用の部分にどんな人が来てほしいかとか、せっかくなので是非教えてください!
村山:各ポジションで責任者になる人、sweeepが思い描くビジョンを一緒に進めてくれる人を探しています。今完全にCXOは僕一人でやっているので、色んなパーツを一人では役割を果たせなくなっているので、COO・CMO・CFOなど、全ポジションの責任者やマネージャー候補の方を求めています。
萩谷:「紙をなくす」ってキーワードがいいですよね笑
村山:そういうやつは結構分かりやすいみたいです。
萩谷:色んな企業さんにも、サービスのことも是非知ってもらえて導入されていくといいですよね。
本日は色々とお話聞かせていただきまして、ありがとうございました。
村山:ありがとうございました。
萩谷:ありがとうございました。
「紙をなくす男」オートメーションラボ代表 村山氏でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
本日のプレスリリース記事もよろしければご覧ください。
【受取請求書の自動処理サービス「sweeep」のリニューアルと資金調達のお知らせ】