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【インタビュー】オンライン経済圏の再評価 #ネクストイノベーション編

2020.6.25

コロナ収束の時間軸はまだ不透明ではあるが、確実に社会が変容しつつある。このコロナショックを契機にこれからの社会のあり方や経済活動の前提を考え直さなければならない。

この「オンライン経済再評価」のシリーズではKVP投資先の中でいち早くアフターコロナ社会におけるスタンダードを見据えてサービス展開している各社の社長に自社及びオンラインでの経済活動が劇的に変化している最前線をインタビューしていく。

その第6弾としてピルのオンライン診察サービス「スマルナ」を運営している石井さんにお話を聞いてみた。また、このシリーズの趣旨に沿ってzoomでのオンラインインタビューという手法を採用しています。

インタビューイー:ネクストイノベーション株式会社 CEO 石井 健一
インタビュアー:萩谷 聡

インタビューイー:ネクストイノベーション株式会社 CEO 石井 健一
インタビュアー:萩谷 聡

-では展開されている事業の説明をお願いします。

私たち、ネクストイノベーションは「世界中の医療空間と体験をRe▷design(サイテイギ)する」をミッションとしてピルのオンライン診察サービス「スマルナ」を運営しています。

スマルナ イメージ図

-「スマルナ」のコロナ禍での影響はいかがですか?

コロナの影響でなかなかオフラインの産婦人科に行けない人々が多く、1つの選択肢としてスマルナを使っていただいており、現在ユーザー数が大幅に増加しており20万人を突破しました。

アプリで診察、ピルが届く「スマルナ」累計20万ダウンロードを突破!

-20万DLはすごいですね。具体的にはどんな現象が起こっていて、どんなユーザーさんに使われているのですか?

以前までは、地方を中心とした病院までの距離が物理的に遠い方に使っていただいていました。
しかし、今回コロナの影響もあり、都市部を中心に従来病院に行けていた方も使っていただいているような状況です。

なぜ、従来病院に行けていた方がスマルナを使っているかというと理由は大きく2つあります。

1つ目は病院という場所が感染リスクが高く、自分への感染を避けたいという理由です。
2つ目は自分が感染者の可能性があり、妊婦さんへの感染を避けたいという理由です。

産婦人科は、生理が大変でピルによって緩和させたい人/これから妊娠を予定している人/すでに妊娠している人の大きく3つに分かれます。
妊娠されている方は産婦人科に必ず通う必要があって、それ以外の方が妊婦の方に配慮して通院を控えている現状があり、その結果の選択肢としてスマルナをご利用いただいています。

-物理的に病院に行けない、または行くことを避けているユーザーさんに使われているんですね。医療従事者側へのコロナの影響はどうですか?

医療従事者側のマインドが大きく変わってきたと認識しています。
ビデオチャットによる診療がこれから徐々に増えてきている状況ですが、電話診療が活発に行われていて、コロナで物理的に病院に行けない患者さんに向けて電話での診療を行なっている病院が大幅に増えています。

電話診療も広義でのオンライン診療だと思っていて、徐々にオンライン診療のハードルが下がってきている印象が、患者さん側からも医療従事者側からも感じ取れます。

その結果、オンライン診療に向いているもの/向いていないものがハッキリしてくると思っていて、そういう議論が行われることでオンライン診療が着々と進んでいくと考えています。

今後、オンライン診察が普及する上で大切なことは、安心・安全に診療が受けれるか?で医療行為をオフラインとオンラインで同じ水準に持っていく必要があります。
また長く続けられることも非常に重要なポイントとなってきます。
みなさん経験あると思いますが、オフラインだと通院が面倒で約束した日程に通院が出来なかったりすることがあります。オンラインの場合だと移動の時間が短縮されるので、長く病院に通うことができるのもオンラインのメリットとして挙げられています。

-医療従事者の方のマインドが変わってきたのは大きいですね。スマルナさんはオフラインの店舗も運営されていますが、こちらはどういう意図があるのでしょうか?

現在、ピルのオンライン診察サービス「スマルナ」を運営していますが、オンラインでピルに初めて出会う患者さんが増えています。
そうなると、産婦人科での予約方法やコミュニケーションをどうすれば良いかを知らない人が増えてくるので、そこのサポートとしてオフラインの店舗を運営しています。
また、生理関連の相談ができる場所としても機能していて、友人などに言いづらいこと/相談しづらいことをオフラインの店舗で気軽に誰でも相談できるようにしています。

女性のリズムに寄り添うゾーン大丸梅田店michi kake(ミチカケ)でフェムテックベンチャーが自分の生理を知るイベントを3月4日~開催

イベントイメージ

女性向けオンライン診察アプリ「スマルナ」とコラボしたクリニックが5月11日福岡市にオープン、大阪に続き国内2箇所目

スマルナ医科歯科クリニックHAKATAのロゴ

また、自治体とも連携も強化していて地域全体でサポートしていく取り組みを始めています。
具体的には宮崎県の延岡市さんや山梨県の大月市さんと連携して無料のリモート相談を実施しています。

新型コロナウイルスの感染拡大による産婦人科の医療崩壊を防止するため妊婦の方々や思春期の女性へ向けた無料リモート相談をスタート医療系ベンチャーが宮崎県延岡市と連携

新型コロナウイルスの感染拡大による産婦人科の医療崩壊を防止するため妊婦の方へ向けた無料リモート相談をスタート医療系ベンチャーが山梨県大月市と6月9日リモート調印式を実施

-オフラインでのコミュニティが大切なんですね。ではマクロの視点でオンライン/オフライン関係なくピルがもっと普及する際にあたりどんなことを課題感と考えていますか?

大きな課題感としては2つあると思っています。

1つ目はピルの選択できる環境がないことが挙げられます。
海外だとドラックストアでピルが購入できますが、日本では医療機関、特に産婦人科に通って処方を受けるという選択肢しかありませんでした。
アクセサビリティの問題が大きく、この1つ目の課題を解決するためにスマルナを運営しています。

2つ目は正しい情報が得られないことによる、社会の誤解が問題だと思っています。
男性側のピルのイメージや女性側のピルの理解などまだまだ誤解されている部分が多く、その原因が正しい情報を簡単に得る場所がないことだと思っています。
各医療機関などでは情報を開示しているのですが、それが横断的にまとまっているところがなくアクセスしづらい現状がありました。

そこでスマルナでは避妊と生理について正しく学べるファクトブックを公開しました。

避妊と生理の悩みについて学べる「ピルファクトブック」フェムテック系ベンチャーがWEBでデジタル版を公開、教育機関への無料配布も

科学的根拠に基づく知識や情報を提供し、婦人科の受診率やヘルスリテラシーの向上を目指す

-ありがとうございます!最後に石井さんがなぜスマルナの事業を始められたか?を教えてください。

会社を立ち上げる前に製薬会社で臓器移植のプロジェクトに携わっていました。
国内で臓器移植を行う際に移動に3~5時間かけて診療を来られるんですが、一度手術が終わると定期的な定期受診を行う必要があります。ほぼ問題がないにも関わらず、毎回高いお金と長い時間をかけて定期受診に来られることに問題意識がありました。

もしこれがオンラインになれば、移動が減り必要度に応じて最寄りの開業医などと連携をとりながらケアしていくことができ良いことだと思っていました。

お医者さんにもっと本質的な医療を行う環境を整えることで、一人でも多くの命が救えると思っています。

そういう環境を整えるにはどうすれば良いかと考えた時に、オンライン診療のサービスを運営しようと決めました。

-インタビューを終えて

今回、リアルへのクリニックでの診療ハードルが上がったことで、オンライン診療の重要性やユーザーのニーズが顕在化した。これは日本の医療業界にとって大きな一歩であることは間違いない。スマルナは女性の課題に対して、必要なアプローチをスピーディーに展開していて素晴らしいと感じた。今後は継続してオンライン診療が浸透するよう、エビデンスを固めつつ、最適化していくフェーズになる。またピル以外でもオンライン診療が普及するにつれ、オンライン、オフラインを組み合わせた疾患ごとに最適なフローが構築されていく可能性があると感じた。またエンドユーザーと医療の接点が増えるにつれ、疾患ごとの正しい知識、認識の獲得や気軽に相談ができることによる予防医療の発展が今後期待される。また裏側の情報のデジタル化、医療機関内外の情報共有システムも今後の課題となると思われる。

KVPでは引き続き、オンライン経済圏の再評価に関して投資各社と議論を深めていこうと思っています。また投資に関しても以前と変わらず行なっていますので、投資を検討中の方はこちらからご連絡ください。

コンタクト

また、ネクストイノベーション株式会社ではエンジニアを積極的に行なっているので、興味のある方がいれば下記からお問い合わせください。

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