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【ANOBAKA Conferenceレポート第二弾】レジェンドパネルディスカッション

2020.12.25

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ANOBAKA conference レポート第二弾を担当します、インターンの武内樹心です!


第二弾はANOBAKAレジェンドパネルディスカッション、テーマは「ビットバレーの熱狂から令和のスタートアップシーンまで。最前線にいた3人の語る起業家魂」です!


登壇されるのは、KLab株式会社取締役会長真田哲弥氏KLab株式会社代表取締役副会長五十嵐洋介氏Drone Fund /千葉道場ファンド代表パートナー 慶應義塾大学SFC特別招聘教授 航空パイロット 個人投資家 千葉功太郎氏です。モデレーターはANOBAKA代表取締役社長 パートナーの長野泰和となっています。


以下、その様子を一部編集して書き起こしています。(敬称略、全員苗字で記載)


長野:いや、これは凄い並びですね。関係性を一応ご説明しておくと、そもそも真田は僕の上司、五十嵐はメンター、千葉さんは私を新卒で採用してくれた人。当時私が新卒でKLabに入った時の役員の並びという、個人的にはすごく感激している並びですね。


長野:ちなみに、お三方とも色々なイベントに登壇されていると思われるんですけど、この並びって今まであったんですか?


千葉:初めてですね、超緊張してますよ僕!


真田:この並びで登壇したことないですね。


千葉:単なる社内会議に見えますますもん、めっちゃ当時の思い出が蘇って(笑)


○「ただのバカ」と「あのバカ」の違いとは?


長野:せっかくこのANOBAKAという社名でやっていて、さらにレジェンドの方々にも来ていただいているので、「ただのバカ」と「あのバカ」(社名の由来となった書籍『ネット起業!あのバカにやらせてみよう』にちなんだ、「成功するバカ」)の違いみたいなことを論点として議論をしてみたいなと思っています。


特に真田さんはこれまでいろんな起業家を見てきて、成功も失敗も想像以上に見てると思うんですけど、真田さんが、こいつは「伸びるバカ」だなと思えるポイントをまず聞いてみたいなと。

真田哲弥氏


真田:今までこう見てきて、最初に感じた第一印象がこいつすごいなって思った奴が最後まで成長していますね。あんまりピンと来なかった人が行っていることもあるんですけど、でもやっぱり第一印象ですごいなって思った人が大体最後までいってると思います。


これ変な話なんですけど、成功している起業家の人って地頭めちゃくちゃよくて、反応もいいんだけど、一つのことに入るとずーっと集中して入って行ってしまう。寝食を忘れるって日本語がありますけど、(成功するのは)ずーっと(事業に集中して)入りきってしまえる人ですよね。


大体成功している人の特徴ってそこの没入感というのか集中力というか、集中力じゃないですね、没入ですね。没入して一つのことをやり続けることができる人というか、そういうキャラクターの人が(「あのバカ」に)圧倒的に多いです。そういう人がバカって言われるんですよね。バカって何なんだってここで定義を打ってもしょうがないんですけど、そういう没入してしまう人ってことでしょうね。僕は没入感なのかなと思います


長野:千葉さんは今これだけDrone Fund や千葉道場ファンドからも投資されていますが、「あのバカ(成功するバカ)」の定義についてはどう思いますか?


千葉:僕は100パーセント真田チルドレンなので、真田さんいつも地頭って言ってたなあと思いながら、だから多分凄い影響受けていると思います。地頭とか会った瞬間のオーラみたいなものが重要だとか。そういったものがある人が成功すると思いますね。


真田:KLabの採用ポリシーの一つに昔から地頭っていうキーワードがあって、学歴とかどこの学校に行ってるとか成績とかそんなのどうでもいいけど、地頭よくないと何してもダメだよねっていう採用ポリシーが昔からありましたね


千葉:その地頭っていうのは学歴ともリンクしてたりしていなかったりなんですよね。不思議な定義ですよね。


真田:昔は学歴はあんまり大したことなくても成功するようなイメージがあります。ちなみに僕は関西学院大学っていう大学を中退してるんですけど、このビルの向かいにもう一個大きいビルでGMOのビルがあって、そこの副社長が昔一緒に創業した仲ですけど、そいつも神戸大学を中退していて。大体僕らの世代って中退とかがその後成功していくというやっぱりバカなストーリーがあるんですけど(笑)。


最近は東大卒とか、見た目も賢い人が増えてきましたよね。そこが僕らの時代と変わってきたんじゃないかなと思います。


千葉:すっかり変わってきた感があります。


長野:そうですね、学歴高いですね。投資先の皆さんも東大、慶應、早稲田ばっかりになっちゃっていますからね。昔はもっと山っ気がある人が多かったですからね。


千葉:僕は昔の起業家と言っても10年くらい前の起業家のことを野武士系って勝手に名付けているんですけど、そこに才能と努力を惜しまない野武士を倒しに来る、またキャラの違うのが急にこの5年間ぐらいに立ち上がって来たなと思います。

2020年12月22日に上場するウェルスナビっていう会社があります。(※1)最初に柴山さんっていう社長に会ったときに、「なんでこんな日本のスーパーマンがスタートアップ業界に来てしまうんだ、彼は国の立場から日本を背負った方がいいんじゃないのか(笑)」と思って。良い意味での衝撃が凄くて、要は時代の切り替わり目が来たと思ったんですよね。野武士の世界から柴山さん的な起業家が参入したんだっていう。
(※1)12月22日に上場済。


長野:なるほど。真田さんの地頭発言は懐かしいですね。よく新卒の時からもめちゃくちゃ言われましたからね。地頭で採用するって言い続けていましたよね。


真田:だからどうやって地頭のよさを見抜くのか。地頭とは何ぞやというのが未だに定義が分からないんですけど、どうやって学歴とかに左右されず地頭がいい奴を見抜くのかっていうのをKLabのときは散々探究していましたよね。


長野:よく議論されていました。新卒で僕がKLabに入ったときに凄く印象的だったのが、(真田が)「仕事を任せられると思った奴には徹底的に任せます。仕事を任せられないと思った人間には徹底的に任せません」ってズバって言われたんですよね。うわあ怖い会社に入ったなってその時は思いましたね、懐かしい話ですけども。


真田:長野は、KLabの規模がまだ100人ぐらいの頃に新卒で取り始めた第一号でした。


五十嵐:2007年に初めての新卒を11名ほど採用して、その中で3人ぐらい残っているので、結構頑張ってくれていますね。


長野:実は隠れた新卒で馬場さんがいるので、当時僕が新卒でインターンで入ったときに同じテーブルに馬場さんはいるわ千葉さんはいるわで凄かったんですよね。


千葉さんとか真田さんとかは野武士感があるんですけど、五十嵐さんはいつもCPUが頭の中に4つあるって社内で言われていたじゃないですか。そういう超優秀な五十嵐さんから見て、「あのバカ」っていうテーマってどう思われますかね?

五十嵐洋介氏


五十嵐:僕も地頭っていうのはもちろん大事だと思っていて、地頭を重視しますっていう真田さんのコンセプトとかはその通りだなと思います。さらに僕が見た方がいいなって一番思っているのは胆力、勇気だと思っていて。成功している起業家の人ってできない理由を探すということをしないんですよね。どうやったらできるかしか考えてないし、とにかくやることしか考えてないし、根拠の無い自信が持てる人が多いと思います。


僕はCPUが4つとかいうのはともかくとして、どっちかというとどうやったらできるかを理詰めで考えて、段取りを考えていくタイプで。どっちかというと「あのバカ」タイプの人を支えたりとか止めたりとか、そういう役割の方がむいているタイプだと自認しているんですけど。


そういう人間から見ると、例えば真田さんとかに地頭で勝とうとしたら、必死で努力すればもしかしたら追いつけるかもしれない(笑)。すいません、恐縮ですけど(笑)。追いつけると思えなくも無いんですけど、真田さんと同じ勇気を後天的に身に付けられるかと言われたら、ああもう無理無理、絶対無理やわって思うわけですよ。


やっぱりこの胆力みたいなところを僕は見た方がいいんじゃ無いかと思っていて。真田さんの周りにいる諸先輩方、『あのバカにやらせてみよう』に出てくるレジェンドの人たちってやっぱりネジが4、5本は飛んでいるかなって人ばっかりな印象があって。野武士ってそういう人たちじゃないですか。


最近エリート感のある起業家が増えてきて、野武士感が(ある人が)減ってワイルドなものとか胆力みたいなものを感じにくい起業家の人と会うんですけど、ピッチとかされて、すげえ賢いなって彼らに惚れ込んじゃうんですね。


でも実際のところは細心に物ごとを進めていくタイプが多くて、アクセル踏むべきときとか、突っ込むべきときとかに突っ込めないで成長仕切れないみたいなパターンとかも見たりするので。僕は決断力というか、やるんだっていうときに会社のお金の大半を突っ込めるぐらいの力がある人を「あのバカ」と呼びたいなと思います。


長野:確かにKLabは豪快なピボットをしてゲーム事業に参入するとか、その胆力は凄かったですからね。


五十嵐:そもそもKLabっていう会社はあんまりご存じない方もいらっしゃると思うんですけど、元々はモバイル向けのシステム開発をするSIを主力事業としている会社で、ものすごい手堅いプロジェクト管理と、ものすごい大規模なシステムを高品質で作れることを売りにしている、SIの会社だったんですよね。


それが突然、真田さんが「これからはソーシャルゲームの時代が来るんだ」って社内で言い始めて、ゲームなんか一ミリも作ったことないのに、急に事業をSIからエンターテイメントど真ん中のゲームに、完全に逆ぶりするみたいなみたいなことをやって。とんでもない舵取りだなっていう決断だったんですけど、普通そんなことをする起業家ってあんまりいないと思うんですよね。


10年に一度の波が来るっていう時にそこの波に後から乗るんじゃなくて、誰よりも早く乗りに行くみたいなことを決断できる人は大きな波を掴めると思いますし


大きいマーケットが来るときとかに先行して利益をとって、いいポジションを取ってってことができていなかったら今のKLabも上場していないと思いますし、こういうところって理屈じゃないじゃないですか。だってゲームを作ったことがないのにゲーム会社やるなんて考えませんよね、(KLabに)誰もゲーム会社出身の人とかいないし。


長野:そうですね、今でこそ合理的な判断っぽい感じがするんですけど、当時ってソーシャルゲームっていう言葉すらなかった。全くブームが来る前にその判断を(真田が)していたんですよね。その時現場でソリューションの営業してたので、「え、なんだその判断はって、意味がわからない」って感じでしたからね(笑)。


五十嵐:僕その時リアルに経営会議で「殿、ご乱心を」って言いましたからね(笑)


真田:やっぱり「バカ」ですよね(笑)。でもそれによってその後いくつかの事業を事業売却したんですけど、事業売却した会社が上場しましたからね。


五十嵐:上場しましたね。


千葉:ちょっと僕も喋っていいですか。


長野:はい。

千葉功太郎氏


千葉:「あのバカ」と胆力っていう話があって、この二人と一緒に育って来て影響を受けて、自分なりに(「あのバカ」について)解釈して来たのが、その人がバカになれる人生の背景を背負っているかを最近見るようになったんですよね。例えば家業があって、自分はお父さんの苦しみを見ていて、ITの力でどうにかしようというようなものであったりとか。


柴山さんもそうだったんですけど、財務省にいて、日本のキャッシュフローを見て、日本はなんて投資をしない国なんだ、ずっと現金ばかり眠らせてっていうところから動機は来ていて。(起業の)動機はそういう大きな個人的な背景からきているんですよね。


なんとかその課題を解決するためにこのテクノロジーを使うんだってところにフォーカスして起業してるんですよね。でもピボットしまくるわけですよ、なかなか上手くいかなくて。しかし根っこは一緒で、その課題を解決するためにあの手この手でやってるんですよね。そういう人たちが僕にとっての「バカ」かなって思っています。


○現在と過去のベンチャーシーンの違いとは?


長野:一旦KLabから離れて、マクロ的な話をお三方に聞きたいと思っています。今僕自身はVCとして令和の時代のスタートアップシーンで投資活動をしています。そして今も最前線で活動をされている皆さんに、今のベンチャーシーン、過去のベンチャーシーンの違いをどう感じられているかっていうことをぜひお聞きしたいです。


千葉:一番違いを感じるのが、小慣れているか小慣れていないか、言い方を変えると、仕組みがあるかないかですね。例えば2000年、まさにサイバードやKLabできた当時は何にも無かったんですよ。ベンチャーキャピタルはジャフコぐらいしかないし、投資家もいないし、多分資金調達もなくて。とにかく会社作るってなったときには自己資金で銀行や友達から借りるくらいしかなかった。


そんな世界で、IPOもわからない、「上場ってどうやるんだ」とかそんなレベル、本当に何にもないのがまさに20年前だったんですよね。たった20年で、投資家からサポーターとか、数年前のアメリカ並のIPOまで持っていく護送船団が出来上がった。でも何よりも大きいのは人材ですね。


この業界に飛び込んでくる優秀な人が圧倒的に増えていますね。野武士の武将のところに野武士の兵が集まっていた時代から本当に層が厚くなったんですよね。組織化されて層が厚くなったのがこの20年の劇的な変化かなと思います。


長野:なるほど。


真田:知識がシステム化、組織化、フォーマット化されて共有されるようになって来ましたね。例えばプロダクトマーケットフィットみたいな言葉って僕らが起業したときには言葉も考え方無かったんです。それをこういう考え方で当てはめてこうやったら上手くいくみたいな、そんな考え方がたくさん出て来たんですよね。ある程度座学で勉強することで勝率を上げられる。


僕らの時代には座学なんてなくて手探りでやっていたことが、成功するための考え方や方法として確立されて、知識として普及して来たこと、それに乗っかれば一定の確率で成功できるようになって来た、ここも大きな変化だと思いますね。


五十嵐:今成功の仕方がnoteで無料で公開されていたりとか、Twitterやフェイスブックでフォローすれば読ませてもらえるとか当たり前にありますけど、商売の成功の秘訣がこんなに無料で流通している時代なんて無かったじゃないですか。それに比べると今の時代って洗練されていますよね。


真田:僕らは一個ずつ失敗しながらこれはこうしないといけないんだって覚えていったんですよね。例えば社内の規定作り方とか人事評価の作り方といった会社の仕組み作りも、僕らの時は誰も教えてくれる人はいなくて、経営会議も何時間も議論して決めていたんです。でも最近はSaaSで導入したらさっとできてしまう。


そういうことに時間を割かなくてもある程度会社が洗練された仕組みで回せるようになって来た。経営を伸ばしたいときに、社内に精神力をどれくらい持っていかれるのか、自分の可処分時間をどれくらい持っていかれるのかって考えると、社内が回る仕組みが簡単に作れるようになって来たっていうのは大きいと思います。


千葉:起業と経営のコモディティ化ですね。良いことだと思っています。要は本質に集中できる上に、回り道をしなくていい。


長野:ぶっちゃけ一週間起業に関する記事を読み続ければある程度一人前になるレベルで(情報が)流通していると思っていて。逆に僕は前の世代がどうやって起業していたのか想像つかないです。


千葉:だから野武士だったと思うんです(笑)。しかも特殊才能と特殊なバカ(笑)。


真田:クラウドとか初期に特に五十嵐が先頭に立って高負荷対応サーバーを開発していたんですけど、自分たちでサーバーというハードウェアを購入して、データセンターと契約してそこに物理的にインストールして仕組みを組み上げてってそこからやってたんですよね。今あんまりそんなことしている人いないですよね(笑)。


五十嵐:AWSでポチッとやっちゃえば終わりですもんね。


真田:そういうサービスを始めるための初期のハードル、コストが劇的に下がりましたよね。


長野:ちなみに超黎明期のリョーマ時代とビットバレーの時代ってまた違うじゃないですか。堀江さんが出て来たり、藤田さんが出て来たりっていう時代とリョーマの時代ってまたちょっと違ったんですか?


真田:ここの間でも相当違いがありまして、そもそも(その当時)VCという存在はなくて、銀行借入も不動産担保がないことにはできなかったんですね。だからまずは自分になんのメリットもない人を口説いて担保提供をしてもらうってところから資金調達が始まるっていう感じで、非常に起業のハードルが高かった。人を口説いて「しょうがねえ、お前のために担保出してやる」と言わせるところから事業が始まるっていう(笑)。


ものすごくハードル高いですよね。そんな奴当時いなかったですからね。投資じゃないんですよ、その当時俺の借入のために億単位の担保を出す人を何人か見つけるってことを僕はやっていたんですけど、今考えたら有り得ないですよね (笑)。

○現代の起業家へのメッセージ


長野:では、(起業の)成功への高速道路みたいなのができている現代において、今の起業家っていうのは多くの情報に触れられると、じゃあその中でいかにして頭一つ飛び抜けるかっていう時代になっていると思います。そんな現代の起業家に向けたメッセージは有りますか?どのような人が成功するのかとか。


千葉:だからこそさっき言った「胆力」だとか「バカ」だと思うんです。僕が逆に投資しないのは、「流行でちょっとこれ作ったらこのシステム売れるんじゃないか」っていう人とか、「今話題のこのビジネスをやってしまおう」とかいう人ですね。


遠回りしてもいいから、不格好でもなんでもいいから、人生をかけた夢をやりたいっていう人は(事業を)続けられますよ誰でも参入できるっていうことはその中でずっとやりぬく力の方が今求められていると思っていて、そこはやっぱり背負っている何かが大切だと思います。


○経営における、没入と柔軟性のバランス


長野:起業家っていう観点から外れて、次は経営っていう観点からお三方にお聞きしたいんですけど。「胆力」があって、「何々バカ」みたいに没入するっていうと、悪く言うとそれ以外のことについてあんまり無頓着っていう方もいるじゃないですか。でもお三方の経営スタイルってかなり柔軟に世の中の動きを見ながら変化し続ける経営スタイルだと思うんですよ。「何々バカ」と経営における柔軟性のバランスについてどう思われますか。


五十嵐:一人の人間が柔軟性を出すのは限界があると思っていて、例えば真田さんが一人で会社を経営していたらとんでもないところに突進しちゃうんですよ。だから僕は、「成功するバカ」は「愛されるバカ」じゃないといけないと思っていて。仲間を作る能力は何かに没入する能力と同じくらい大事だと思うんですよね。


僕の周りのこの人すごいな、面白いなって言う起業家はすごいチャーミングなんですよ。真田さん見てもなんか憎めない。(真田は)おかしなことやってさんざん周りに迷惑かけているんですよ、僕が言うのもなんなんですけど(笑)。でも真田さんのことを悪口言う人を聞いたことないんですよね。「サナちゃんは、サナちゃんは」って可愛がられているんですよ。


こういう、笑顔で惹きつけたり、ビジョンで引きつける人、どこか憎めないやらかしをする、どこか放って置けないみたいなタイプの人はものすごく強いと思います。例えば僕の知り合いとか近い業界にいた人とか見ても、国光さん見てもチャーミングだなって思うし、大冨さんとか見ても一本気で面白いな、正直でオープンだなって思ったりとかして。こういう人たちって突き抜けて人を巻き込んだり、仲間を作ったりとかするから成功するって思っていて。


ただの暴走じゃなくて、周りにいる人が脇を固めてくれたりとか。直接会社の社員とか経営メンバーじゃなくても友人の起業家を助けてくれたり、刺激や情報をくれたりとかするネットワークがその人の周りに出来上がっているって言うのが重要だと思っています。


いろんな情報が溢れているからこそ、人とのつながりの中でリアルに手に入る情報の価値ってめちゃめちゃ上がっていると思うんですよ。人をしっかり集められる能力っていうとろにフォーカスできる人は強いですね。


長野:それはやっぱり才能になるんですかね?


五十嵐:後天的にも伸ばせるとは思いますけど、すごく大事な能力だと思います。


真田:僕もまさに同じことを思っています。僕は何度か起業してますけど、毎回五十嵐みたいなパートナーがいて、僕が大雑把に「とにかくあっちに行こう!」って言っても、組織全体でその方向に行くためには、段取りを決めてスケジュールを決めてってやっていくことがないといけないんですよね。


僕は「とにかくあっちに行くんや!」って言ってるだけで、そこを実際の計画に落とし込むっていうことをやってくれる人がいたからできてるんですよね。常にそういうパートナーがいて、それとの組み合わせでうまくいっていますね。あとCFOがしっかりしている。


KLabの場合もCFOがやっぱり優秀で、そう言う組み合わせでできたチームが成功しているのであって。ここが欠落していると、いかに良いビジネスアイデアでもなかなか厳しい。どんなビジネスアイデアでも同時期に何人か同じことを考えているんですよね。真似をしたとかされたとかて言う話ではなくて、何かをきっかけに思いつくわけですけど、世界中、日本中にそのきっかけを見ている人はいるのでどうしても同じことを考えている人がいて。


その中でどうやって勝ち残るのかって言うと、チームとして優秀であるところが勝ち残るのであって、もちろん社長であったりCEOであったりする人が胆力を持っていたり、「バカ」呼べるような人であることやのめり込める人って言う要素もあるけど、そこ(チームとして優秀さ)がないと厳しいですよね。


千葉:一点だけ僕も。おっしゃる通りで、多分真田さんとかそうなんですけど、愛されるキャラでかつ、自分ができないことを補完する仲間を本能的に周りに固めていますよね。そう言う人って成功してるなって思っていて、本能的なのかわからないですけど、できることとできないことが明確に自分の中にあって、こいつがいればもっと(会社の)能力が上がるって言う人を配置しますよね。逆を言うと同じようなメンバーを集めても多分あまり意味がないですよね。


長野:チャーミングさっていうのはなかなか難しい概念で、僕も確かに新卒で入ってめちゃめちゃ怒られたこともあったんですけど、それで真田さんを嫌いになったことって一回もないんですよね。今考えるとパワハラ紛いじゃないかみたいな怒り方もしてたんですけど(笑)、でもそこで真田さんを嫌いにならないのは真田さんが本来持っているチャーミングさだと思うんですよね。


それの見極めを千葉さんとかは、投資している際にチャーミングさの見抜き方みたいなのはどうやられているんですか?


千葉:自分と気が合うかどうかっていうことをすごく大切にしています。本当に合うか合わないかだけです、なんのロジックも無いです(笑)。


長野:なるほど(笑)。


千葉:なんか自分と気が合うと楽しくやっていけそうじゃ無いですか、単純に仲間として(笑)。優秀優秀じゃないの話じゃ無いです。やっぱり長く付き合うので経営とか投資とかって。10年20年単位なので、気が合わない奴と長くやるのは厳しいですね。

○会場の皆さんへのメッセージ

長野泰和


五十嵐:会社で経営をやらせてもらっていて今もそうだし昔からもそうなんですけど、楽しかったことっていうのはいろんな人に出会えるきっかけをくれたってことだと思うんですね。仲間を作れるっていうんですかね。


ワンピースみたいにどんどん自分の夢や会社の夢に賛同する人がきて、仲間が増えてっていうのが何より会社をやってて楽しいことで。それをやってなんらかのミッションを達成することで社会から報酬をいただけるっていう、こんな面白いプロジェクトは無いと思います。今日こういう場でも一人でも多くの仲間を作って、もちろん僕らとも知り合いになっていただきたい。新しい何かを起こしていけるきっかけを長野さんがANOBAKAを媒介として作ってくれると思いますので、そんな場所でビットバレーの次のレジェンドを皆さんと作っていけたらと思います。


真田:僕らがCVCをKLabでやろうって言い始めた時に、VCの経験者もいなければ知識を持っている人も誰もいなかった。それでなんとなくBtoB長野向いてそうだから、長野やるか?みたいなそのレベルだったのが、しっかりと成長して良い企業にいっぱい投資できているし、このまま日本を代表するVCになって欲しいなと思っています。


そしてさらに良い会社に投資して投資先の皆さんと成長して欲しいです。散々話しましたけど、日本のスタートアップ業界はものすごく良い感じになってきている、でもまだアメリカや中国と比べると非常に小粒な状況なので、このビルにも入っているジージャさんみたいな会社が日本の中でも出てくようなそんな環境になれば良いなと思っている次第でございます。ぜひ頑張って欲しいなと思います。


長野:ありがとうございます。実はもう一人ゲストがいます!


司会:ANOBAKAの会社名の由来となりました、「ネット起業!、あのバカにやらせてみよう」の本の中にも登場されているシンガポール在住の事業家、ToGEAR PTE.LTD.CEOの加藤順彦MSCさんに特別にきていただきました。拍手でお迎えください。

               (一同拍手)


今回絶版となっているあの貴重な本を加藤さんから贈呈いただきます。


長野:ありがとうございます。これですね、僕持ってたんですけど、誰かに貸しちゃってなくなって。この本流通してないんですよ、絶版になって、二次流通でも中古でも一切手に入らない本になっちゃって。なぜか加藤さんが買い占めているって噂を聞いて、「ください」と言ったらこの場で贈呈いただくということになりました(笑)。


加藤:おめでとうございます。私は話題に登った真田さんのフォロワーで最初に「バカ」と認めていただいてやらせていただいたた者でして、そういった意味では、今日また新しい「バカ」がMBOで巣立つというのは素晴らしいことだと思っております。ぜひ社内で回読していただけたらと思います。おめでとうございます。


長野:ありがとうございます。

加藤順彦氏と長野の記念撮影

           (皆さんでフォトセッション)


司会:ありがとうございました。それではこちらで「ビットバレーの熱狂から令和のスタートアップシーンまで。最前線にいた3人が語る起業家魂」を終了いたします。では今一度大きな拍手でご降壇いただきます。ありがとうございました。

              (一同拍手)

最後は皆さんで記念撮影

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