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#5 ANOBAKA注目のAIスタートアップ解剖〜リサーチ領域〜

2026.2.20

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ANOBAKAが注目する海外の生成AIスタートアップを取り上げ、生成AIの活用方法から日本市場での応用可能性まで幅広く語っていきます。

今回は下記2社を取り上げました!

Knit
アンケート設計からサンプリング、定量・定性分析、レポーティングまでを一貫して自動化する 「Researcher-Driven AI」 プラットフォームを展開している。
2025年7月にGFT VenturesなどからシリーズAで$16M調達。
▼コーポレートサイト
https://goknit.com/

Outset
生成AIを活用してインタビューの実施・追問・要約・ハイライト動画生成までを自動化する「AI-Moderated Research Platform」を開発している。
2025年6月に8VCなどからシリーズAで$17M調達。
▼コーポレートサイト
https://outset.ai/

※本記事は2025年8月15日の収録内容をもとに制作しています。そのため、現在の状況とは一部異なる場合があります。

汎用AI時代に、リサーチ領域で作るべき勝ち筋

萩谷:今回は小林くんに、注目の生成AIスタートアップを紹介してもらいます。テーマは?

小林:前回は「チェック/レビュー」で横串を刺しましたが、今回はより具体的に、市場調査のリサーチをAIで自動化・効率化する2社です。特にユーザーインタビュー周りに絞ります。

萩谷:リサーチは幅が広い一方で、汎用的なGPTがかなりカバーしている。バーティカルでどう差分を作る?

小林:汎用が取り切れない生データを入れられるか、国ごとの規制差のように前提が変わる領域を扱えるか、がポイントだと見ています。

萩谷:確かに。インタビューは前後工程が重く、非構造化データの山が出る。生成AIが強いところだね。

小林:今回は、その“プロセス全体”をどう変えるかで、対照的な2社を見ていきたいです。

同じ「インタビュー」でも正反対——10年型と2年型のアプローチ

小林:1社目はKnit。2015年創業で、7月31日にシリーズAで16ミリオン(約20億円強)を調達しました。AIに全部任せず、人がインタビューを続ける設計です。

萩谷:10年越しのシリーズAは重いね。2社目は?

小林:Outsetです。2023年創業でYC採択、6月11日にシリーズAで17ミリオンを完了。こちらはインタビュー自体をAIが回すプラットフォームです。

萩谷:同じ領域でも「人を残す」か「AIに任せ切る」かで、設計思想が違う。並べる価値があるね。

小林:はい。車歴も違えば、プロダクトの責任範囲も違う。そこが比較の肝になります。

萩谷:じゃあまずKnitから、どこを効率化しているか整理しよう。

Knit:BPOとして戦略まで巻き取るから、現場で使われる

萩谷:周辺領域って、具体的にはどの工程?

小林:大きく、①モニター(一般ユーザー)集めと選定、②インタビュー前後の質問リスト作成、③終了後の分析とレポート化です。各段階に人力の非効率があります。

萩谷:特にレポート化は、情報をフォーマットに落とす作業が多い。AIが入りやすい。

小林:はい。質問リストをAIで作って準備を軽くしたり、報告書を自動生成したりして、全体の工数を削ります。

萩谷:ただ、インサイトを売上に繋げるには社内の活用力が要る。そこはどうしてる?

小林:Knitは「リサーチ業務のBPOだと思ってください」という伝え方で、マーケ戦略まで紐づけて人が巻き取る方向です。社内に人材がいないケースが多いので。

萩谷:日本は外部に頼る文化もある。人を残す設計は合いそうだね。

Outset:AIインタビューは常時リサーチする企業でサブスクが成立する

小林:一方Outsetは年間契約のサブスクです。顧客にはコンサル会社もいて、常にリサーチが必要だから相性がいい。大きい顧客としてネスレも挙がっています。

萩谷:既存ユーザーへのレビューや継続改善の文脈なら、AIがリンクを送り、音声で回答を集める、といった運用が自然に回りそうだね。

小林:ただ、潜在顧客の深いインサイト探索みたいな“腕の見せ所”は、初期は難しい印象です。丁寧な質問が必要な領域は、人が担うべきという話も出ていました。

萩谷:合わないのは高単価商材、不動産や車みたいにCS要素が強い領域かもしれない。まずはユーザー数が多く単価が低い消費財やB2B SaaSが入り口になりそう。

小林:日本展開も出てくると思いますが、AIインタビューは「既存のお客さんにAIを使わせるのか」「失礼では?」という壁が出やすい。文化ができるまで時間がかかりそうです。

萩谷:でも慣れれば、AIのほうが言いやすい面もある。便利さは確実にあるから、導入順序と顧客選定が勝ち筋になるね。


今回の内容はポッドキャストでも配信しておりますので、詳細の内容を知りたい方はぜひ音声でもお聞きください!

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