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スタートアップ向けサービスを提供する海外スタートアップ3選

2020.12.24

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こんにちは!ANOBAKAのたかはしゆうじ( @jyouj__ )です。

ANOBAKAに社名も変わり、サイトも新しくなりました!今後はこちらで海外スタートアップの情報を発信していきます。

さて、近年日本でもスタートアップエコシステムが活発化してきています。大型調達やスピード上場も珍しくなくなってきました。

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しかし、スタートアップ内部の環境はカオスなことが多いです。初めて会社を立ち上げる人がほとんどなため必要な知識を事業を走らせながら取得していかなければなりません。

財務や人事などの業務はどのスタートアップといえどある程度は共通しています。だが、その知識がないため、そこに時間を使ってしまうことや知らず知らずのうちに間違った政策を行うのは残念なことです。

本来、スタートアップは革新的なサービス思想・設計や破壊的な技術開発に時間を用いて、集中して取り組むべきです。

また、創業したてのスタートアップの場合、信頼や実績があまりないため、取れる資本政策なども限られてしまいます。これによって、計画が頓挫することがあるかもしれないです。

アメリカなどの海外ではスタートアップの数自体が段違いに多いため、このようなスタートアップ内外の環境を効率化しようとするサービスを提供するスタートアップが相次いで出現しています。

スタートアップ向けサービス市場が一つの大きなマーケットとして発展しているのです。

日本でも上記のようにスタートアップのエコシステムが活性化しているので、今後スタートアップ向けサービスを提供するスタートアップが脚光を浴びることでしょう。

そこで今回はスタートアップをターゲットにしている海外のサービスを紹介したいと思います!
(※画像は各社のホームページより)


目次
1. Pulley – スタートアップの株式情報管理SaaS
2. Juni – ECとデジタルマーケティング起業家向けのバンキングサービス
3. OurCrowd – クラウドファンディング型のベンチャーキャピタル

1. Pulley – スタートアップの株式情報管理SaaS

拠点: アメリカ
設立: 2019年
累計調達額: 1020万ドル

まず最初にご紹介するのがアメリカのスタートアップ「Pulley」です。

Pulleyはスタートアップ向けに創業者と従業員、投資家が持つ株式情報を管理・把握するSaaSです。雇用や調達などの際に起こる株の所有構造の変化も追跡し、常に最新の株式情報を記録してします。

また、創業者の資本政策にも寄与します。将来の株の希薄化をモデリングしてくれる機能があるので、現在及び近未来の効果的な調達を実現することができます。また従業員がどれだけ保有すべきなのかも最適に判断できるようになっています。

スタートアップやVCは調達資金及び株の管理の多くをスプレッドシートや電子メールで行っています。これらは更新を忘れたり、遅れていることも少なくありません。

また近年のスタートアップの状況も変化しています。10年以上も上場しないことも珍しくなく、評価額が大きく株に関する需要もさまざまです。社員も一つのオフィスだけでなく、世界各地にリモートで働いています。

これら複雑な財務表の問題をPulleyは解決しようとしているのです。

現在600以上のスタートアップがPulleyを採用しています。創業者のYin Wuはスタートアップのキャップテーブルの管理市場は100億ドルに及ぶと試算しています。

PulleyはシリアルアントレプレナーのYin Wuによって2019年に設立されました。WuはPulleyの前に2社設立しています。Wikipediaのような分散型情報データベース「DIRT」とマイクロソフトに買収された「Double Labs」です。

Double LabsはAndroid向けにロック画面上で通知の細かい内容まで確認できる「Echo Notification Lockscreen」というアプリを開発しています。

Pulleyは2020年10月にシリーズAの調達を行い、シードと合わせて累計調達額は1020万ドルになりました。Stripeがラウンドをリードし、複数のエンジェル投資家やVCが参加しました。

Pulleyの競合としては6億以上の調達を行っているCartaモルガン・スタンレーの傘下Shareworksが挙げられます。また、日本でもスマートラウンドが似たようなサービスを行っています。

スタートアップの盛り上がりに応じて成長していくジャンルのサービス。今後も注目です。

2. Juni – EC&マーケティング起業家向けのバンキングサービス

拠点: スウェーデン
設立: 2020年
累計調達額: 200万ユーロ

次にご紹介するのが、スウェーデンに拠点を置く「Juni」です。

JuniはECとマーケティング領域の起業家が、本当に重要なビジネスの部分に集中できるように、面倒な銀行業務を効率的に支援することを目的にしています。

一つのダッシュボードであらゆる銀行口座や支払い手段を統合してキャッシュフローを追跡することができます。Revolutの口座やStripe、Paypalといった決済手段を一つの画面で概観できるのです。

またビジネス全体のROI(費用対効果)を日々追跡してくれます。毎日、Slackかメールで財務情報を受け取るよう設定できます。

さらにGmailから自動的に領収書を取得する機能もあります。これによって、毎回領収書をダウンロードしたり、アップロードしたりする必要はなくなり、会計業務が自動化されます。

現在はベータ版のため上記の機能しかないが、今後いくつかの機能が追加されることが発表されています。

2021年第一四半期からEUおよびイギリスで銀行サービスを展開する予定です。また、チームで財務情報を共有する機能オンライン広告向けのVISA Platinumもリリース予定です。

Juniは今年2020年に設立され、11月にCherry Venturesなどからシードラウンドで200万ドルの調達を行いました。

Juniの創業者Samir El-SabiniとAnders OrsedalはどちらもEC企業での財務面および法務面での管理・監視作業の苦痛を経験してきました。

彼らはこれらの業務が起業家にとって退屈で、無駄な物だと感じていました。そこで、起業家たちが本当にやりたい作業、得意なことに集中できるようにJuniのアイディアを構想したのです。

今後も大型機能のリリースが控えているJuni。スウェーデンから世界中の起業家にリーチできるのか注目です。

3. OurCrowd – クラウドファンディング型のベンチャーキャピタル

拠点: イスラエル
設立: 2013年
累計調達額: 約1.7億ドル

最後にご紹介するのがイスラエルの特殊なベンチャーキャピタル「OurCrowdです。

一般的にベンチャーキャピタルが組成するファンドには、LPと呼ばれる特定の事業会社や個人投資家が出資します。そのファンドの資金をベンチャーキャピタルが運用し、スタートアップに投資します。

このとき、LPはファンドに対して出資します。実際にこのときには、どのスタートアップに投資するかは決められていません。

しかし、OurCrowdの運営するファンドは投資先および案件ごとに出資者を募ります。いわば、ファンドはクラウドファンディング型の資金調達を行うのです。

これによって、スタートアップにリーチできる投資家陣の裾野が拡がります。スタートアップに対してより多くの資金が流れるようになる点が注目されています。

現在は認定された個人投資家や機関投資家がOurCrowdのプラットフォームを利用できます。Crunchbaseによると、すでに10のファンドを組成し、220ものスタートアップに投資しています。

組成するファンドにはテーマ型になっているものもあり、今年6月にはPandemic Innovation Fundを立ち上げました。パンデミックの最前線で奮闘するスタートアップへの投資を目的としています。

Exits

Crunchbaseによると、現在34社のExitsを出しており、ファンドの運用実績も申し分ないといえます。イスラエル以外にもアメリカやシンガポール、香港にも拠点がありグローバルで活躍しています。

OurCrowd本体は現在、シリーズCやコーポレートラウンドを経て、累計で約1.7億ドル調達しています。イスラエルやシンガポールなどのVCや投資家だけでなく、日本のオリックスも同社に出資しています。

オリックスはOurCrowdの約10%の株式を保有することとなり、出資者比率で2番目になります(1番はOurCrowd創業者)。

今後、OurCrowdはますますアジア市場での投資家および投資先開拓を行うでしょう。日本でも存在感が出てくるのか注目です。

以上、スタートアップ向けサービスのスタートアップでした!

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ANOBAKAはシードからアーリーステージのスタートアップに投資するベンチャーキャピタルです。現在、80社ほど投資しています。

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