こんにちは!インターンの古市です!
「生成AI起業のヒント」では、ANOBAKAが注目している海外の生成AIスタートアップを取り上げて、生成AIの活用方法を分析・解説していきます。
生成AI領域で起業を考えられている方にとって事業のヒントとなれば幸いです。
第5弾となる今回は、ファッションデザイナー向けにデザイン作成プロセスの効率化ツールを提供するアメリカのスタートアップ・Raspberry AI を紹介します!
1. 会社概要
・会社名:Raspberry AI
・本社所在地:アメリカ、ニューヨーク
・最新調達ラウンド:シード
・最新ラウンドでの調達額:$4.5M
・主な株主:Greycroft, Khosla Ventures
・カテゴリー:AI, ファッション, プロダクトデザイン
・公式ホームページ:https://www.useraspberry.com/
Raspberry AIは、ファッションデザイナー向けにデザインを作成するプロセスを効率化することができるソリューションとして生成AIを活用したプラットフォームを提供しているスタートアップです。
プラットフォーム上では様々な機能が一括に提供されています。プロンプトで指定した製品デザインを生成することに加え、撮影した写真やスケッチ、参照画像から新しい高忠実度のデザインを作成する機能も備えています。また、生成したデザインの色や柄の編集や人が生成したデザインの服を着ている画像を生成することもできます。それに加えて、デザインのリアルな画像から図面とCADを生成することもできます。
AI分析によりファッショントレンドの把握を助けるプラットフォームも提供しています。
以上の機能によりデザイナーの作業を効率化し、市場投入スピードを高めることが可能になります。
2.フォーカスしている課題
Raspberry AI は、フッションデザイナーのワークフローにおけるデザイナーが流行を取り入れてデザインを考えるプロセス、デザインの図面を書くプロセスを大幅に効率化します。特に、他のツールがアプローチできていない課題であるデザイナーが図面を書くプロセスに時間を取られるという課題にこのツールはアプローチできています。
ただの画像生成ではなく、Raspberry AIを使用することでファッショントレンドや生地、トリム、プリント、ステッチの詳細、シルエットを正確に視覚化することができるため、出力結果を製品化しやすく、すぐに販売に繋げることができます。
3. AIの活用方法
AIの活用方法としてはプロンプトや写真、スケッチなどを組み合わせた画像生成とその編集、そして図面とCADの生成に生成AIを活用しています。
ブランドの独自のスタイルと美学を表現するためにAIモデルをカスタムトレーニングすることや、より多くのベストセラーを生み出すためにトレンドに合わせて動的にデザインをトレーニングすることも可能となっています。
また、GoogleやTikTokのリアルタイムデータからAIを用いてファッショントレンド分析プラットフォームも提供しています。
4. 差別化ポイント
出力結果がすぐに製品化につながるという特徴を持つがゆえに、生成されたものの所有権が気になるところではあるのですが、Raspberry AIにおいてはプラットフォーマー側が、生成されたデザインの所有権とIP知的所有権をユーザーに帰属することを保証しています。
5. これまでの実績
Raspberry AI の CEO が Shoptalk Europe でプレゼンテーションを行い、毎年恒例のスタートアップピッチで優勝しました。
ブランドがソフトウェアを使用していることを公にすることができない場合もあるものの、すでにH&Mグループやメキシコの百貨店大手Coppel Groupを含むいくつかのブランド顧客を抱えていると Raspberry AI CEOは述べています。
6. 考察
今回は生成AIとファッションデザインという観点で、デザイナー向けの生成AIデザインプラットフォームを開発提供しているスタートアップとして Raspberry AI を取り上げました。
日本でも Raspberry AI のようにファッションデザインに生成AIを活用したツールを開発しているプレイヤーがいます。図面やCADの生成というアプローチ以外にも、生産メーカーとの連携を行うことで画像アイデアを生産に直結しやすくする動きも出ています。
日本でのローカライズにおいては、メーカー向けに流行しているデザインを理解し自動でデザイン生成されるニーズはあると思われます。一方、製造プロセスは複雑であるために発注〜製造に関しては難易度が高いものの、図面の生成などにワークフローを劇的に変革するポテンシャルがあるかもしれません。
今後日本におけるデザイナー向けのツールとしては、生産メーカーとの連携や図面の生成などのアプローチで製品化までの距離を縮めることができているツールが普及していくことが予想されます。まだ日本で覇権を握るツールが出てきていないので、これからの動向に注目です。
執筆者:インターン 古市健太郎
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