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【生成AI起業のヒント #16】AI × EC向けチャットボット編

2024.8.22

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こんにちは!インターンの川野です!

「生成AI起業のヒント」では、ANOBAKAが注目している海外の生成AIスタートアップを取り上げて、生成AIの活用方法を分析・解説していきます。
生成AI領域で起業を考えられている方にとって事業のヒントとなれば幸いです。

第16弾となる今回は、EC向けチャットボットを開発しているスタートアップ・Browsebuddyを紹介します!

1. 会社概要

・会社名:Browsebuddy
・本社所在地:ポルトガル・リスボン
・最新調達ラウンド:-
・最新ラウンドでの調達額:未調達
・主な株主:-
・カテゴリー:toB, EC
・公式ホームページ:https://www.browsebuddy.ai/

Browsebuddyは、ECサイト向けにAIを搭載したチャットボットの開発を行っており、ユーザーに対してパーソナライズされたカスタマーサポートを提供することで新たな購買体験を提供しようとしているスタートアップです。

Brwosebuddyのチャットボットは、1世代前のような定型分で応答するタイプのものではなく、リアル店舗での接客のようにユーザーと自然な会話を交わします。会話を通じてユーザーのニーズや性格などを分析・予測し、製品のレコメンドを行ったり、商品の比較を提供したりします。裏側では、AIを搭載した検索エンジンで膨大な量のデータを分析したり、自然言語処理を活用したりすることで顧客の質問を理解し、文脈に沿った精度の高い応答を返しています。

BUYMAでは、ユーザーの趣向や購入の目的、予算等に合わせて最適な商品をセレクトし、満足のいく購買体験をサポートする「パーソナルショッパー」という人たちが活躍し出しています。パーソナルショッパー各人が持っている豊かな経験や知識に基づいたサポートを受けられることが恐らくユーザーには刺さっているようで、欧米ではきちんとした職業として定着し始めており、BrowsebuddyはまさにAIパーソナルショッパーを提供していると言えます。

2. 導入メリット

Browsebuddyを導入することで、ECショップのオーナーにとってはどのようなメリットがあるのでしょうか。

1点目はコンバージョンレートの向上です。Amazonなど最近のECサイトではほぼ標準装備になっている機能ではありますが、BrowsebuddyでもAIがユーザーのニーズを予測して購買に繋がりやすい商品をレコメンドしてくれます。

そのため、よりユーザーの潜在的ニーズにアプローチしやすくなり、結果的にコンバージョンレートを向上させることができ、売上を伸ばすことに貢献しやすくなります。

2点目は、カスタマーサポート業務の自動化による業務時間の削減です。ECサイトの運営において、商品の販売後のアフターケア等はリピート率にも直結する重要な業務ですが、商品やサービスに関する質問、注文処理、返品や交換の手配、顧客からのフィードバックの情報収集など多岐にわたる業務を担当しなければならず、開発や営業よりもコストが膨らんでしまうことがあります。

ですが、一概にカスタマーサポートにかかるコストを削減すれば良いという話でもなく、コストをかけられなかった分サポートの品質が低下して顧客が離れていってしまっては意味がありません。

そこで、一部をAIに代替することでサポートチームの業務負荷を軽減し、よりコアな業務へと集中してもらうだけでなく、常に一定程度カスタマーサポートの品質を担保することができるのです。

不要なコストは削減しながらも、同時にカスタマーサポートによる顧客体験価値の維持・向上という観点で売上増加に対しても寄与することができるのはECサイトのオーナーにとっては非常に魅力的な点だと言えます。

実際に、ユーザーのニーズにあった商品のレコメンドや丁寧なカスタマーサポートなど、よりパーソナライズドされた顧客体験は売上を最大20%増加させ、顧客満足度も大幅に上昇することがわかっています。

3. 考察

ECサイトでの購買体験や消費者の購買行動は、ネットでレビューや価格を検索して比較することから始まり、趣味嗜好や性格、過去の購買データ等のビッグデータや機械学習を活用したレコメンデーションシステムへと、技術の進化と共に変化を遂げてきました。また、ネットショップのプラットフォームも整備されていったことで、ECサイトを運営するプレーヤーはどんどん増えてきています。

この激しい競争環境の中でブランドとして生き残るためには、販売力が強い(デジタルマーケティングに強い、ドカドカ広告を打つ資本がある)か、商品力が強い(強烈な魅力がある)か、顧客のブランドロイヤリティが高いかのどれかを獲得する必要があります。

ただ、ほとんどのECショップはスタートアップのように資金調達を重ねているわけではなく、人員も何もかも限られている中で効率的な運営をしていかなければいけません。そうすると比較的取りやすい戦略として、購買体験や顧客満足度を向上させ、ブランドロイヤリティを高めることになるのかなと思っています。

なぜこのような話をしているのかと言うと、ECサイトでのより良い購買体験や顧客満足度の向上において、購買フロー全体におけるパーソナライズ化が鍵になると考えているからです。過去の購買履歴や趣味嗜好等からニーズに合った商品をレコメンドしてくれる、購入前にあれこれと質問しても丁寧に答えてくれる、なんなら自分に合った使用法まで提案してくれる、購入後も手厚いアフターケアをしてくれるなど、自分にとことん寄り添ったサービスを受けることができれば、顧客のブランドロイヤリティも高まっていくのではないでしょうか。

実際、顧客の90%近くが優れた顧客体験を提供されれば、そちらに乗り換えることがわかっており、質の高いサービスを顧客は求めています。

そして、このようなパーソナライズ化は生成AIの登場によってさらに進化していくでしょう。リアルタイムで顧客のニーズや嗜好を学習し、それに応じた最適な商品提案を行うことはもちろん、顧客によって商品説明の訴求点をAIがカスタマイズすることで顧客の信頼感を高めることなどもあり得そうです。

さらに、購入前の問い合わせ対応や購入後のアフターケアにも力を発揮します。Browsebuddyのように、AIチャットボットが高度な自然言語処理を用いて消費者の質問に迅速かつ的確に答えたり、あるいは使用方法やメンテナンスのアドバイスを定期的に提供したりするパートナーのような存在にもなり得ます。

このように、生成AIを活用したパーソナライズ化は、顧客の期待を超える体験を提供し、ブランドロイヤリティの向上を促進する重要な鍵になり得ると考えているので、どのようにCX(顧客体験)が革新されていくのか、今後要注目したいと思います。

執筆者:川野 孝誠


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