今回は、zapath株式会社代表の四戸氏を迎え、美容医療に特化したAI BPOの実態を掘り下げました。業界特化を選んだ背景から、予約対応における具体的な効率化事例、そしてAI・人・クリニックの三者協業モデルの難しさまでを議論。AI BPOの「できること」と「できないこと」を、現場視点で整理しています!
※本記事は2025年12月26日の収録内容をもとに制作しています。そのため、現在の状況とは一部異なる場合があります。
◼︎ゲストプロフィール
【四戸淳弘(株式会社zapath 代表取締役CEO)】
株式会社zapath代表取締役CEO。2024年7月より現職。自由診療クリニックの支援事業を展開する。成蹊大学経済学部卒業後、2011年にエン・ジャパン株式会社へ入社し、法人営業、リーダー、マネジャー代理、マネジャーを歴任。2019年より同社新規事業開発室に所属。2020年には株式会社Brocanteの取締役COOも務めた。2018年から2019年には株式会社ゼクウにて営業・人事・企画を担当。人材・事業開発領域での経験を基盤に、現在は自由診療クリニック向けの支援事業に取り組んでいる。
業界特化という戦略——“煩雑さ”の解像度を上げる
——まず、zapathの事業概要を教えてください。
zapathは美容医療クリニックを顧客とし、AI機能を組み込んだBPOを提供しています。主にクリニックと患者さんとのコミュニケーション業務を代行し、その中で自社開発のAIを活用しています。クリニック側も同じプラットフォーム上で作業できる設計です。
——なぜ美容医療という業界に特化したのでしょうか?
成長産業であり、患者獲得を積極的に行う一方で、業務が急速に煩雑化している点に着目しました。私自身、特定領域に深く入り込むキャリアを歩んできたこともあり、この業界であれば長期的に貢献できると考えました。
——実際に特化してみて感じたメリットは?
言葉やワークフローの理解が圧倒的に重要だと実感しました。美容医療は新しい施術や専門用語が頻繁に登場しますし、保険診療とは異なり、カウンセラーや受付など複数の役割が連携する構造です。表層的な対応ではなく、業務の構造まで理解して初めて支援できる。これはバーティカルに絞ったからこそ得られた解像度です。
AIで効率化できること、できないこと——15分を5分に縮める現実
——AI BPOの「本当」の部分から教えてください。
例えば予約対応です。新規か既存か、キャンペーン利用か、他院での施術歴はあるかなど、判断に必要な情報が複数箇所に分散しています。従来15〜20分かかっていた対応が、情報をAIで集約することで約5分に短縮できました。これは明確なレバレッジです。
——一方で「嘘」や限界はどこにありますか?
AI、我々のBPOチーム、そしてクリニック。この三者が連携しなければ成立しません。AI単体で完結するわけではなく、業務フロー全体を再設計する必要があります。そこが構築できないと、単なる「AI機能」で終わってしまいます。
——うまくいくケースと、そうでないケースの違いは?
成功例は、思い切って広い範囲を任せてもらえたケースです。裁量を持てる分、全体最適を設計でき、追加施策まで展開できました。逆に部分的な導入では、ボールの所在が曖昧になり、三者の連携が崩れることがあります。可視化や役割分担の明確化は不可欠です。
人とAIの最適配分——ゼロにはならない前提
——AIと人のバランスはどのように設計していますか?
まずは人が100%対応し、その業務をAI化していきます。AIで完全に置き換わる業務も出てきましたが、最終的に人の関与がゼロになることはないと考えています。将来的には8〜9割をAIが担い、残りを人が担う形が現実的でしょう。
——AI単体で成立しやすい業務には特徴がありますか?
業務フローが一方向で完結しているものです。例えばデータの集約や受電対応は、受けて処理し、次に渡すという構造なのでAIと相性が良い。双方向性の強い患者コミュニケーション全体をAIだけで担うのは、まだ難易度が高い領域です。
——クリニック間の違いはスケールの壁になりませんか?
確かに差異はあります。ただ、複数の現場で試行を重ねる中で、どのフローが最適かが洗練されていきます。最初に「最強」と思ったものが通用しないこともありますが、それを踏まえて拡張性のある設計に磨き込んでいます。
施術以外をすべて巻き取る未来へ
——今後の展望を教えてください。
まずは支援先を増やし、現場の課題を当事者として把握し続けること。その中でAI化を着実に進め、より良いプロダクトへと昇華させたいと考えています。
——数年後の姿は?
患者コミュニケーション領域において、施術以外はほぼカバーできている状態を目指しています。それが実現すれば、美容医療という産業全体の顧客体験向上にも寄与できる。さらには海外展開の可能性も見えてくるはずです。
——最後にメッセージを。
AIとBPOを組み合わせて業界課題を解くというテーマに、正解はまだありません。何が最適かを共に考え、形にしていく仲間を募集しています。ビジネス、開発問わず、挑戦したい方にはやりがいのある環境です。
今回の内容はポッドキャストでも配信しておりますので、詳細の内容を知りたい方はぜひ音声でもお聞きください!



