皆さん、こんにちは!ANOBAKAの川野です!
今回は、先週金曜日(2026/4/17)に実施された「シードVC × スタートアップ2社で語る!爆速シリーズA勉強会」のイベントレポートをお届けします。
厳しいマーケットの中でも、目をみはる速度で事業成長し、爆速でシリーズA調達に成功したタックスナップ代表の田中さんとuniam代表の杉本さんをお呼びし、プレシード期・シード期における戦略やファイナンス活動を成功させる秘訣をお聞きしました!
登壇者紹介
◼︎株式会社タックスナップ / 代表取締役 田中 雄太氏
個人事業主・フリーランス向けの確定申告アプリ「タックスナップ」を提供
2022年11月に創業し、2026年1月にシリーズAで総額13億円の資金調達を実施

◼︎株式会社uniam / 代表取締役 杉本 亜衣氏
獣医師の知見に基づくねこ専門ヘルスケアブランド「uniam」を展開
2024年2月にシードの資金調達を実施し、2025年10月にシリーズAで7.7億円の資金調達を実施

パネルディスカッション
Q. シード調達時はどのような事業タイミングで、投資家に対してどのようなエクイティストーリーを描いていたのでしょうか?
タックスナップ社 田中氏
2022年11月に創業して2023年2月にシード調達を実施していますが、この時点ではプロダクトはまだリリースしておらずモックしかない状態でした。
当時のエクイティストーリーは、確定申告アプリがベースにあるのは変わりませんが、カードやレンディングといった金融サービスまで広げていくフィンテック寄りの構想でした。
それでも、投資家からは「大手会計ソフトで十分ではないか」という指摘をかなり受けました。そのため、3週間で60回以上ユーザーインタビューを実施し「既存の会計ソフトが自分たちのターゲットユーザーにとっていかに使いづらいサービスなのか」ということを言語化しました。
そして、既存の会計ソフトのUIと自分たちの想定UIを並べて示しながら、「なぜこのユーザーは既存プロダクトを使いこなせないのか」を説明したことで競合との差分をストーリーとして伝えることができ、投資家にも理解していただくことができました。
uniam社 杉本氏
シード調達時点では月商20万円程度でプロダクトも1種類のみ、広告もほぼ回していなかったので、この事業が伸びるかどうかを数字で説明することができないような状態でした。
さらに当時はコロナ禍で急伸したD2Cブランドの成長が軒並み停滞し、市場としてもかなり逆風が吹いている状態だったので、「もうD2Cには投資しない」という反応も多く、かなり厳しい状況でした。
エクイティストーリーとしては、“猫向けのライフスタイルブランド”としてフードだけでなくインテリア雑貨などにも展開し、ブランド内でクロスセルを起こすという構想を描いていました。中国で同様のブランドが100億円規模の大型調達している事例があったので、それを引用しながら投資家を回っていました。

Q. シード調達時に描いていた事業計画通りに、その後の事業は進みましたか?
タックスナップ社 田中氏
当時の計画通りには全く進んでいないです。成長の速度も違いますし、事業計画で織り込んでいた数値も含めて全然違います。当時はフィンテックの話も織り込んでいましたが、今は全くやっていないです。
事業計画はその時点の解像度に依存するものだと思っていて、実際に事業を進める中でどんどん解像度が上がっていくので、最初の計画通りに進めるのはそもそもかなり難しいと感じています。
uniam社 杉本氏
私も全く同じで、計画通りには進んでいないです。最初はフードを作って販売する想定でしたが、実際にはその後のユーザーの反応を見ながら事業の方向が変わっていきました。
フードを与えて終わりではなく、食べた後の腸内環境のデータを取ったり歯周病菌のPCR検査を実施したりと、かなりデータドリブンな形でプロダクトを作っていきました。
それをSNSで発信していたところ保険会社から声がかかり、一緒に開発できないかという話につながっています。
結果として当初想定していたライフスタイルブランドではなく、医療寄りの事業へと軸足が移っていきました。
Q. いつ頃からシリーズAの資金調達を意識し、どのような状態を見て動き出しましたか?
タックスナップ社 田中氏
「PMFした」と確信を持てたタイミングからシリーズAは動き始めました。
PMFを判断した基準としては、売上が前々期から前期で10倍成長していたという定量的な実績もあったのですが、確定申告を終えたユーザーから「もう本当に神アプリ」「ガラケーからiPhoneくらい概念が変わった」「ノーベル平和賞」といった強いコメントがこちらから促さなくても自然と出てくる状態になっていたことです。
そういった声が出てくるということは本質的に必要とされているプロダクトになっている(PMFした)という確信に変わりました。
uniam社 杉本氏
シード調達した直後から投資家に「キャッシュアウトの6ヶ月前から動いた方が良い」と言われていたのでその通りに動いており、3ヶ月でリード投資家を決めています。
シリーズAの調達に踏み切れた要因としては、ずっと赤字だったところから単月黒字化したこととペット保険会社との大型のToB契約が決まったことが重なったことが大きいです。
さらに、主力となるドライフードのSKUを出したことで売上の伸び方も大きく変わっていて「これから伸びる」というストーリーを数字と実績の両方で示せる状態にもなっていました。

Q. シリーズAの資金調達を成功させるにあたって、どのような準備や進め方をされましたか?
タックスナップ社 田中氏
僕はシリーズA=PMFだと思っているので、その状態をどう示すかにフォーカスして準備しました。具体的にはトラクションの伸びやNPSなどの指標をしっかり取りにいき、外部調査も使ってデータを揃えています。やはり投資家は定量で判断する部分が大きいので、意思決定しやすい材料を揃えることを意識しています。
あとは、自社の中で何が一番強い武器なのかを見極めて、それをピッチデックでどう見せるかを考えていました。うちの場合はシンプルにトラクションが10倍伸びていたのでそれを一番強い武器として使っています。他の会社であれば満足度や研究データなど、何を武器にするかはそれぞれ違うと思いますが、「何を一番見せるべきか」を整理するのは重要だと思います。
進め方としては、シードの頃からシリーズAやレイターの投資家とも壁打ち的にキャッチアップを続けていました。いきなり調達のタイミングで「初めまして」になるよりも、事業の変化を継続的に見てもらっている方が、実際のファイナンスでも意思決定が早くなると感じています。
uniam社 杉本氏
私はかなり短期集中で進めていました。3ヶ月で絶対に終わらせると決めて、その期間はほぼファイナンスだけに時間を使っています。
まず最初にやったのはアタックリストの作成で、リードに入ってほしいVC、フォローに入ってほしいVCを分けて、各社の強みと自社の今後の戦略を紐づけて整理しました。例えば、次にグローバル展開を考えているのであれば、グローバルに強いVCを優先する、といった形です。その上で既存投資家とディスカッションして、コネクションのあるVCを一気に紹介してもらいました。
一方で反省点としては、紹介のスピードに対して資料の準備が追いつかなかったことです。短期間で一気に20社以上と面談が入るので、最低限の資料は事前に用意しておく必要がありました。完璧な資料というよりは、KPIの進捗と今後何をやるのかが分かるレベルで十分だと思います。
決め手の部分でいうと、既存投資家が最初にフォロー投資を決めてくれたことは大きかったです。シリーズAの初期段階で「既存投資家も継続して入る」という状態を作れたことで、他の投資家も意思決定しやすくなったと感じています。

Q. これからシリーズAを目指す起業家に向けて、最後にアドバイスをお願いします。
タックスナップ社 田中氏
タックスナップがPMFした要因でいうと、途中でプランの見直しをしたことが大きいです。
最初は会計ソフトとして月額980円くらいの価格帯でやっていたんですが、単価も低くて厳しいなという感覚がありました。そこから「会計ソフト」ではなく「税理士」をベンチマークとして捉え直して、税理士よりも1/10の価格でも安心して使えるプロダクトにしようと方向を変えています。
確定申告というのは「簡単さ」だけでなく「安心」が求められる領域なので、税務調査リスクのチェックや全額返金保証といった機能も含めて設計し直しました。
こういった形で「そもそも何の課題を解決するプロダクトなのか」を改めて問い直して、それに合わせてプロダクトを作り直したことがPMFに繋がったと思っています。
uniam社 杉本氏
正直ラッキーパンチもかなり多かったと思っています。
ペット保険会社との大型契約がなければ、ここまでスムーズにはいかなかったと思います。
ただ、そのきっかけ自体は偶然というよりも日々ユーザーの声を聞いたり、データを取ったりして、それを外に発信し続けていたことの積み重ねだったと感じています。色々な取り組みを少しずつやっていた中で、その一つが引っかかって大きな機会に繋がった形です。
目の前の業務に集中することはもちろん大事ですが、少し引いた視点で「他に何かできることはないか」「このデータはどこに繋がるか」といった種をまいておくことも重要だと思います。どこでそれが大きな機会に繋がるかは分からないので、小さくでも試しておくことが結果的に効いてくると感じています。
終わりに
最後までお読みいただきありがとうございました。
シードからシリーズAに至るまでの進め方は2社で異なりつつも、小さなPDCAをいくつも回し続ける中で成功に繋がる一手を掴み取ることができた、という点は共通しており非常に印象的でした!
本レポートが、これからシリーズAを目指す起業家の皆様のお役に立てれば幸いです。



