こんにちは!ANOBAKAコミュニティマネージャーの長谷川です!
今回は先日行われた「フィジカルAI Meetup 〜「ものづくり×AI」スタートアップの勝ち筋と大企業共創〜」のイベントレポートをお届けします!
本イベントでは、ロボティクス・AIデータ・ハードウェアなど、「フィジカルAI」領域の最前線で取り組むスタートアップ3社が登壇。
生成AIの進化が物理世界に拡張される中で、
・なぜ今「フィジカルAI」なのか
・社会実装に向けた課題
・グローバル環境における日本の強み
といったテーマについて、パネルディスカッションが行われました。
当日は50名の参加者にお越しいただき、会場は熱気に包まれました。

ぜひ最後までご覧くださいませ。
◾️登壇社紹介
あたらしいインターネット株式会社
代表取締役 山内 奏人氏

10歳でプログラミングを始め、15歳でウォルト株式会社(現・WED株式会社)を創業。レシート買取アプリ「ONE」等で成長を牽引した後、2024年に同社代表を退任。「人の記憶」をAIで拡張する情報管理の新しい形に挑戦すべく、あたらしいインターネット株式会社を設立し、ライフログ用ウェアラブルカメラ等を開発。2025年4月にZ Venture Capitalなどから累計約1億円の資金調達を実施。
株式会社APTO
代表取締役CEO 高品 良氏

大学で経営工学を学んだのち、エンジニアとして大規模システム開発に従事。2017年にVRコンテンツ制作会社を設立。その後、AI開発におけるデータ収集の圧倒的な課題感を知り、2020年1月に株式会社APTOを創業。AI開発のボトルネックを解消するデータ収集・作成プラットフォーム「harBest」を展開。三井住友海上キャピタルなどから出資を受け、ロボティクス領域でのデータ支援も推進。
Muso Action株式会社
代表取締役CEO 村山 龍太郎氏

「賢さをロボットに、働く意義を人々に」をビジョンに掲げ、2025年4月にMuso Action株式会社を創業。最新のロボット基盤モデル(VLA)と独自の力制御技術を組み合わせた「汎用ロボットワーカー」を開発し、物流や製造現場の労働インフラ構築に挑む。2026年2月に大和ハウスベンチャーズ、GMO AIRなどから累計1.6億円の資金調達を実施。
◾️パネルディスカッション
テーマ①:なぜ今フィジカルAIなのか?フィジカルAIの現在地は?

Muso Action社 村山氏:生成AIの進化がついに物理空間にまで広がってきたのが大きいと思っています。特に2024年末のPhysical Intelligenceのデモで、トランスフォーマーや拡散モデルを組み合わせてロボットの動作をエンドツーエンドで生成できる可能性が見えたのが一つの転機でした。これによって非定型作業にも適用できる道筋が見えて、一気に現実味を帯びてきたという流れです。
APTO社 高品氏: 数年前まではロボット領域に取り組む想定はなかったんですが、求められるデータの質と種類が大きく変わってきて、実世界のデータの重要性が一気に高まってきました。現場で必要なデータが想像以上に取りにくいと分かったことがきっかけで、一気に方向転換しました。今は「フィジカル領域に踏み込まないと解けない課題」が明確になってきたタイミングだと思っています。
あたらしいインターネット社 山内氏:正直ソフトやアプリだけだと価値を出しづらくなってきていて、ChatGPTのような存在で代替できる領域も増えているからです。もともと僕らは人の記憶を補完するようなことをやりたかったんですが、それを実現するにはアプリでは限界があって、ハードウェアまで踏み込む必要がありました。だからこそ今は、ソフトとフィジカルを一体で捉えるフィジカルAIに可能性があると感じています。
テーマ②:フィジカルAIの現場・社会実装における課題は?

あたらしいインターネット社 山内氏:日中の貿易摩擦やホルムズ海峡の影響で、部品の調達がかなり不安定になり、サプライヤー対応や代替調達に奔走する一年でした。特に中国からの電子部品や樹脂まわりの影響が大きかったです。とはいえ、日本にいるからこそ各国と柔軟に取引できる強みも感じました。
Muso Action社 村山氏:社会実装における課題は大きく2つあります。1つは、現場で実際に使って価値が出るユースケースをまだ見つけきれていない点。もう1つは、ROIが見えづらく価格のハードルも高いため、導入に踏み切れる企業がまだ限られていることです。
APTO社 高品氏:多くの企業がまだ「とりあえずロボットを買って何かやりたい」という初期段階にとどまっていて、実運用まで落とし込めていません。一部の製造現場でモバイルマニピュレーターの活用は始まっていますが、ユースケースの具体化と現場への定着がこれからの大きなハードルだと感じています。
テーマ③:グローバル環境での日本の強み

あたらしいインターネット社 山内氏:製造面での戦闘力はまだあると思っています。工賃が相対的に下がっている分、大量生産にはむしろ向いてきている側面もあります。為替の影響はあるものの、コスト競争力が出てきているのは一つのポイントです。加えて、電波規制が比較的緩い部分もあり、プロダクト開発の自由度が高いことも強みになり得ます。
Muso Action社 村山氏: グローバルで見ると、日本の強みはアプリレイヤーとエンドユーザー側にあると思っています。ハードは中国、基盤モデルはアメリカが握っている中で、日本は現場に根ざしたユースケースを作り込める。人手不足という課題もあって、企業が実装に踏み出しやすい環境があるのも大きいです。
APTO社 高品氏: 日本の強みは、人間中心で設計されてきた住環境やインフラをロボット前提に再設計していける余地がある点だと思います。住宅や施設とロボットを組み合わせる取り組みも出てきていて、生活空間ごと最適化できるのは日本らしい強みです。ヒューマノイドに限らず、多様なロボットが共存する環境を設計できる点に可能性を感じています。
◾️交流会

起業家・事業会社・投資家が一堂に会した交流会。
登壇企業の前には長蛇の列ができ、熱気あふれる空間に。
「フィジカルAI」という共通テーマのもと、多様なバックグラウンドが交差する、非常に濃密な時間となりました。
◾️参加者の声(抜粋)
「Physical AIを手掛けている会社の生の声を聞いて現在地、将来展開がわかったように思いました」
「フィジカルAIの現実路線について生の声を聞けて理解が深まりました。」
「投資家さんやスタートアップがいたことで、いつものフィジカルAI関連の集まりとは違った面々で新鮮でした。」
登壇者との具体的な協業・PoCについての関心をお持ちの方も多く、非常に良いつながりの場となりました。
◾️終わりに
最後までお読みいただきありがとうございました。
本イベントでは、フィジカルAIの最前線を走る登壇者と50名の参加者が集い、この領域への期待と関心の高さを改めて実感しました。
今回の議論が、新たな挑戦と価値創造のきっかけとなることを願っています。
次回のイベントにもぜひご期待ください。



