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マリノスのオフィス行っていいですか?〜FAR EAST TEA COMPANY編〜

2021.6.15

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こんにちは、アソシエイトの中です!逆光気味に失礼します。

今日はこだわりのシングルオリジン緑茶のサブスクサービスを運営するFAR EAST TEA COMPANYのオフィスへ行くため、マリノスさんと三軒茶屋に来ています。

…のですが、マリノスさんがさっきからテンションが低くて…。

中「マリノスさんどうしたんですか?思ってること全部顔に出るタイプですね」

森「正直に言うね。今日、帰っていい?

わたし、お水かお酒しか飲まないからさ、緑茶のなにが美味しいのかいまいち分かってなくて…今日、楽しめるかな〜って不安なんだよね」

中「だからテンション低いんですね…けど、帰っていいわけはないです。大丈夫、今日は緑茶の良さをがっつり学べますから!」

そんなわけで、三軒茶屋にあるFAR EAST TEA COMPANYのオフィスにやってきました!

今回は、代表取締役の畠山さんと藤井さんにお話を伺います!セレクトショップの店員さんのようなスッとした出で立ちのお二人。

畠山・藤井「こんにちは!今日はお茶のすべてをお伝えします。今日だけでマリノスさんにお茶を好きにさせてみせます」

森「すべてを…よろしくお願いしま〜す!」

🍵🍵🍵

森:それではまず、お茶の事業を始めようと思った経緯を教えてください!

畠山::3年前ぐらいに和紅茶を使ったミルクティースタンドをやっていて、それがきっかけで日本の紅茶を飲むようになりました。その際に煎茶も飲んでその美味しさに気づいたんですが、煎茶って美味いのに安いし、かつ売り先もあまりなくてこれから業界として縮小していくなと思って、きちんと煎茶をブランドとしてやっていきたいなと思ったのが最初です。

森:ほうほう。煎茶業界が縮小していくのは残念ですよね…。だからこそお茶のブランドはシングルオリジンにこだわっていると?

畠山:コーヒーだとシングルオリジンって色々あって、飲む楽しみがありますよね。緑茶は一般的にブレンド茶しか流通してなくて、産地や値段の高低でしか比較できないんです。それぞれ飲み比べると個性があって面白く、農家さんがどんなところにこだわっているかが見えてくるんです。それを皆さんに感じてもらいたいのが理由ですね。

藤井:煎茶って、基本的には合組という作り方が一般的で。

森:ゴウグミとな…?

藤井:合わせるに組むで合組、要するにブレンドです。複数の茶葉を組み合わせて、味のパラメータを揃える作業というとわかりやすいかもしれません。お茶って、気候で味がすごく変わってくるんですよ。合組は、毎年少しずつ変わる味のバラつきを揃えるために必要な作業ではあるんですが、品種ごとに見ると面白い個性のあるお茶がたくさんあるんですよね。花やハーブの香りがしたり、極端に旨味や渋味が強いお茶は、それ単体だとすごく美味しいのに、ブレンドに向かない「異常値」として嫌われてしまうんです…でも、実際そういう品種を飲んでみたら、すごく面白くて。その個性豊かな茶葉を皆さんに届けたいと思ったんです。

中:個性の強いお茶、気になります!

畠山:あ、ではせっかくなので、飲んでみてください!

森:お!ついに出たな…。ちなみに、飲み方の作法とかってあります…?

藤井:まったくない。楽しく飲んでください!

森:千利休もそう言ってましたもんね。あ、この茶器可愛い!

畠山:三重の四日市の陶器やさんのものですね、もともとこちらは土屋さんで、土の配合がめちゃくちゃうまいんですよ〜。上から塗った色ではなくて土本来の黒さなんですよ。

森:土本来の色なんだ!茶器にもこだわるとよりお茶の時間が楽しくなりそうですよね。今からいただくこちらは何ていうお茶なんですか?

藤井:やぶきたです。味のバランス感が抜群です。国内のお茶の生産量の7割を占めている、王道品種ですね。お茶の品種改良は結構後発で、1890年代くらい。それまでにいろいろな品種を見つけた、杉山彦三郎というひとがいて、彼がやぶきたを捕まえたんです。

「杉山彦三郎」を書いて教えてくれる藤井さん。親切

中:かっこいい表現だ。

藤井:でも、やぶきたが評価される前に亡くなってしまって…。やぶきたが爆発的に広まったのは、彼の死後なんです。

森:お茶界のゴッホだ!

藤井:そうです。彼は生前日本中から苗を集めて、本当に苦労して今のお茶の基礎を作って…彼の努力がなければ、シングルオリジンのお茶も広まらなかった。彼の話で朝ドラを作るのが僕の夢です。そして、彼が最初に晩一号という茶葉の品種を見つけて農水省に登録したのが、1892年。1892は、僕らのFAR EAST TEA COMPANYのロゴに書いてある数字です。

FETCのロゴ

森:ハァッ……!!伏線回収……!!

藤井:いいリアクションだなぁ。これがお茶に初めてバラエティが生まれた年、と僕らは思っています。

中:1892ってそういう意味だったんですね。ブランドコンセプトにもこだわりを感じます!

畠山:もともと僕自身が人にいいものをすすめるのがすごく好きで。お茶もその一環。自分にとってもいいもの、本物だと思えるようなものを見つけようというのがコンセプトかな。

藤井:お茶はそもそも買うのがすごく難しかったんですよね。基本味はブレンドだし、高い安いのランク付けしかされてない。僕らは味の表現とか産地、生産者のストーリーも一緒に届けて、皆さんに選ぶ楽しみも知ってほしいです。

森:日本人は緑茶のほうが馴染みがあるはずなのに、不思議ですよね。

藤井:基本、お茶は産地でとらえられがちですね。静岡、八女、宇治…昔の商流で、茶商が量を買い上げてブレンドしていたから、農家の特色がマスキングされて市場に出ていっていたんです。そうではなくて、もっと農家ごと、品種ごとのお茶の特色をとらえやすくなってほしいなと思っています。

中:今頂いているこのやぶきたが、一番平均の味なんですよね?

藤井:バランスがいいですね、スマブラでいうマリオです。クォリティが高く、寒さに強くて育てやすい品種なんです。

ただ、お茶って収穫にベストな時間がめちゃ短いんですよ。朝がベストだとしたら夕方にはもうだめになっているんです。畑を全部やぶきたにしちゃったらベストなタイミングに収穫が間に合わないんですよね。なので違う品種を植えて、あえて収穫の時間をずらしたりするのが必要なんです。

畠山:ちなみにこの収穫にベストのタイミングを発見したのも杉山彦三郎さんです。

中:彦三郎さんの功績すごいなあ。

藤井:人海戦術がとれるなら問題ないけど、農作業は従事するひとが少なく、負担も多い仕事ですからね、いろんな場所に畑もあるし…そうなると品種を分けたほうが農家さん側としても良いんです。

中:サブスクというモデルも、いろんなお茶の品種を知ってもらえるのがいいですよね!

藤井:まさにそうです。いつも全然味の違う2種類を入れてお届けしていますが、こうして飲み比べてみないと実際の味の差はわからない。なるべく短期間で2種類を飲み比べてみてほしいですね。お茶に幅があること自体知らない人が多いんですよ。知らないで選ばないのはもったいないです!

中:パッケージの裏に書いてある味の説明の、ぶどうとかジャスミンとかって表現が面白いですよね。お茶の説明と思えない!

畠山:そうですね、すりこみに近いですけど(笑)、意識して飲むのが大事なので!

中:じゃあ…その話を聞いた上で、実際にお茶を飲み比べさせていただけますか?

藤井:もちろん。いくらでも出しましょう…。

森:ちなみにですが。もしかしたら合うかな!?と思って、お菓子を色々買ってきました。

物は試し、と和洋とりまぜて買いました

中:わーい。僕、おばあちゃんがお茶の先生なんですけど、熱いお茶の中にお菓子を溶かして甘くして飲んでたら、めちゃくちゃ叱られたの思い出しました。

森:それはお茶界隈とお菓子界隈、両サイドから叱られるよ。

左の黒い容器のお茶がやまかい、真ん中の黄色っぽいお茶が藤枝かおり、右側の緑っぽいお茶がさえあかり。

藤井:は〜い、お茶がはいりましたよ〜。まずこちらがさえあかり、三重のお茶ですね。

森:いただきます。…わ、さっき飲んだやぶきたとぜんぜん違う…!

藤井:これは枝豆とか栗みたいな香りって表現されますね。

畠山:旨味がめちゃくちゃ濃くって、出汁みたいって表現されたりもしますね。僕たちの取り扱っている茶葉の中でもトップクラスに甘味と旨味があるかな。この茶葉は被覆栽培といって、摘み取る前の茶葉に布を被せて日光を遮る栽培方法で作られています。これによってカテキンの生成が遮られ、カテキンは渋味のもとなので渋味が少なくなって、こういうとろとろで旨味のあるお茶になりますね。

森:色が、黄色っぽいのと緑色っぽいのがありますが、この色の違いは何なんですか?

藤井:いろんな要素があるけど、まず品種で違います。あとさっき少し話した被覆栽培、これは「かぶせ」というんですが、かぶせで日光を制限すると葉緑素が濃くなるので、色が濃くなりますね。

「かぶせ」を手で表現してくれる藤井さん。親切

森:なるほど、わかりやすい。…あ、わたしこのお茶好き!華やかな感じ!今まで飲んだことない味がする!

畠山:それは花のような、シナモンのような香りがしますよね。藤枝かおりというお茶です。静岡のお茶ですね。

藤井:さっきの話の通り、こういうとがった個性や香りは邪魔者とされて長いあいだ日の目を見なかったお茶ですね〜。栽培してる農家もすごく少ないです。

畠山:僕が最初に飲んだ藤枝かおりも、作ってた方が引退しちゃって…なんとかその方に他の農家さんを紹介してもらって、その農家さんが作っているお茶です。

藤井:次は旨味と苦味のお茶、やまかいです。

畠山:癖が強い味です。茨城の猿島のお茶です。茨城はすべての作物ができるのにお茶を作ってるのは変わり者です(笑)。茶商もいなくてみんな好き勝手にお茶を作っていて、そういう意味では茨城はどこのお茶農家さんも個性的で面白いんですよ!

中:いただきます。…ん、なんか、ちょっとだけマヨネーズっぽくないですか!?

藤井:しますよね!これは香りがテクスチャーにも影響するお茶の例で、オイリーとかって表現されたりもしますね。面白いお茶のひとつです!

森:人間の感覚って不思議!

中:では最後に、お二人のおすすめのお茶の飲みかたを教えていただけますか?

畠山:お茶はコーヒーに比べてカフェインの吸収もゆっくりで、朝パキッと目を覚ましたい!というときには向かないかもしれないけど、逆に一日のどの時間でも楽しめますよ。あと、温度を変えて楽しむこともできます。カフェインとテアニン(リラックス成分)の抽出量が変わるんですよ。

藤井:だいたい70度を境に、温度が高いとカフェイン、低めだとテアニンが強くなります。集中したいときとリラックスしたいときで温度も差をつけてみてください!あとは高い温度だと苦味や渋味、低めだと旨味が出ますね。

畠山:ロジックを知ると様々な楽しみ方ができるので、是非色々試して、お茶の変化を楽しんでほしいです!

中「ずーっとかっこいいな……勉強になるお茶のお話、ありがとうございました。森さん、どうでした?お茶も好きになれましたか?」

森「そうね、飲み比べてみて味の違いがはっきり分かって、自分の好みの香りや味が分かったから、これからはお茶も積極的に選択肢にいれていこうと思った。藤枝かおりが本当に本当に美味しかった…。わたしカフェインに弱いから、温度によってカフェインの量をある程度コントロールできるっていうのも学びだったな〜。低い温度でお茶をいれるのは、同じくカフェインが気になる方にもぜひ試してほしい飲み方だよね。早速今夜、寝る前のリラックスタイムに飲んでみようかなと思った!」

中「良かったです!マリノスさんが出だしと打って変わってすっっっっっごいしゃべるようになって僕も安心です」

以上、終始爽やかなFAR EAST TEA COMPANYのお二人、ありがとうございました!

さて今回、森と中がオフィスで飲ませていただき、森がお茶の魅力に気づくきっかけとなった「藤枝かおり」の入ったお茶のセットを抽選で10名の皆様にプレゼントいたします!!

応募方法は、こちらの記事を公開している株式会社ANOBAKAのツイートを、記事の感想を書いて引用RTするだけ!本当に緑茶観の変わる美味しいお茶なのでぜひ飲んでいただきたい……!!ご応募お待ちしています♪

それではまた

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