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ANOBAKA代表パートナー長野泰和に聞くANOBAKAの振り返りと今後の展望

2022.4.20

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葛西:本日はMBOから1年経ったANOBAKAのことや今後の展望について聞いていきたいと思います。よろしくお願いします。

長野:よろしくお願いします。

2021年はコロナ禍という特殊な環境の中での投資活動となりました。ベンチャーキャピタル業界全体を振り返って、コロナ前とコロナ後で何か大きな変化はありましたか。

長野:ビジネス的な側面と心理的な側面で、大きな変化があった気がしています。

ビジネス的な側面でいうとベンチャーキャピタル業界というよりもスタートアップ業界全体に関わることだと思いますが、コロナ禍で「オンラインシフト」「DXシフト」が加速したことによって、業界全体が非常に盛り上がったと感じています。ANOBAKAの投資先の100社だけを切り取って見てみても、コロナ禍によって事業がかなり進展しました。

また、心理的な側面での変化も大きかったと思います。過去を振り返ると、例えば3.11の東日本大震災の時は、これをきっかけに転職・起業をする人が多数いました。それは、震災という大きな事件が自分の今の人生やキャリアプランを見つめなおす機会となったからだと思います。さらに昔には例えば山一証券の破綻によってそれまでの日本の護送船団・終身雇用の神話が崩壊したタイミングでも、自らのキャリアを見つめ直した人が多かったのではないかと思います。これらと匹敵するような大きな変化が、コロナ禍によってもたらされたような気がしています。これまで上手く回っていたビジネスや既存の価値観ががらりと崩壊したり、新興の企業が急速に伸びたり、様々な変化をきっかけに自分のキャリアを見つめ直すようになった人も多いのではと感じます。その変化が起業という方向に向かう人も非常に多かったと思います。もしくは、今のままの会社ではなく、スタートアップ業界にチャレンジしたいという心理的な変化を起こした人も多かったと感じます。

ビジネス的な側面と心理的な側面の両面から、コロナ禍はスタートアップ業界に大きな変化をもたらしました。

葛西:コロナ禍はスタートアップ業界に大きな変化をもたらしましたとありますが、起業家との面談数はコロナ前と比べてどのように変化しましたか?

長野:先行きが不透明であったコロナ禍の初期には、起業家との面談数は一時減少しました。その後ぐっと伸び、現在ではビフォーコロナを上回っています。現在では月に80件ほど面談をオンラインを中心に行なっています。

2021年はANOBAKAにとっては、KVPからMBOをした後の最初の一年となりました。MBOをした後の一年間を振り返って、何かMBO前と比べての大きな変化はありましたか。

長野:よく言われますが、やっている仕事自体がほとんど変わらないので明確な答えを出すことが難しいですね。投資業に関してはKVPでも独立した運営をしていたため、あまり変わらなかったように思います。しかし、やはり一番大きな変化が起きたのは「ブランド」でした。それまでのKVPという社名でKLab株式会社の傘下であったことを考えると、独立系の「ANOBAKA」というエッジの効いた社名でブランディングの方向やミッション・ビジョンを明確に制定して動いているというのは大きな変化だったと感じます。昔と比べると、「KVPのファンです」と言ってくれる人はあまりいませんでしたが、「ANOBAKAのファンです」と言ってくれる人は増えた感覚を持っています。それは、ANOBAKAの目指す世界観に共感してくれる人が増えたからだと思います。

葛西:ミッション・ビジョンに共感されることが多くなったんですね。MBOの背景について伺いたいのですが、リブランディングが大きな目的となっていたのでしょうか?

長野:個人的に、自分のキャリアとしても会社としてももっと「チャレンジ」していきたいと思っていたことが背景にありました。その「チャレンジ」の具体的なアクションの1つが、MBOでした。起業家がチャレンジを重ねていて、しかしそれに対して自分がチャレンジしていない状況にあったことをギャップとして感じていました。自分も起業家と同じチャレンジをして、リスクを取り事業を推進していきたいと思いMBOに至りました。

葛西:この1年を振り返って、ANOBAKAとしてはどのような「チャレンジ」をすることができたのでしょうか。

長野:この一年は、色々なことに取り組めたという感覚があります。一番大きかったのは、「チャレンジファーム」であるというブランディングを行うANOBAKAで、社員がそれを意識し自立的にチャレンジができている状況が生まれたことだと思います。具体的には「投資先合同新卒入社式」「Youtubeチャンネルの開設」「100社投資記念冊子の配布」などは特に斬新な取組みとして大きくチャレンジできたものになりました。また、ANOBAKAとして3号の新しいファンドを立ち上げることができたのも大きな成果となりました。ただ、現在の状況に満足せずにもっと皆が驚くようなチャレンジを求め続けていきたいと思います。

 新たに立ち上げた3号ファンドについてお伺いします。どのような目的でシード特化型の3号ファンドを立ち上げたのでしょうか。

長野:ファクトからも肌感からも、圧倒的に日本におけるシード期のファイナンスが不足しているという現状認識がありました。その認識を背景に、日本のスタートアップ・エコシステムにおいて最も重要なシード・ステージで役割を担っていくANOABAKAとして「うちがやらなきゃどこがやる」という思いで、シードフォーカスにしては大きめのファンドを立ち上げました。

葛西:シードから範囲を広げてもっとレイターのスタートアップに投資するという選択肢もあったと思いますが、あえてシードに特化したファンドを立ち上げたのにはどのような背景があったのでしょうか。

長野:やはりシード期への投資が足りていないという認識があった上で、ニーズもANOBAKAとしての強みも生かすことができるシード・ステージへの投資を行っています。ANOBAKAとしては「金融系VC」ではなく「事業立ち上げ集団」であると思っています。金融系出身のメンバーが1人もいない珍しいVCであるANOBAKAは、事業の立ち上げに特化することで自社の強みを最大限に生かすことができると考えています。

3号ファンドを立ち上げた今、新たな採用を始めていくことと思います。どのような人がANOBAKAに合い、どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。

長野:ビジネスが好きで、インターネットが好きで、立ち上げが好きで、知的好奇心がある。そういう人が、ANOBAKAには向いていると思います。
VC業界は特殊な業界であるため、投資経験や金融・会計の知識がないとVCにはなれないと思っている人もいると思いますがそれは間違いであると考えています。
金融・会計の知識は若干特殊な知識であり、学ぶ機会がないだけで学べば誰でも理解することができる知識であると思っています。しかし、そもそもの幅広い社会、ビジネス、インターネットに対する知的好奇心は、教えられて持つものではありません。「教えられるもの」と「そうでないもの」の差が前者と後者の違いであると考えています。

実際にANOBAKAで活躍しているメンバーの中には金融系出身のメンバーはいません。やはりビジネス、スタートアップ、インターネットが好きな人の方がANOBAKAには向いていると思っています。投資経験や金融の経験がない人でも、興味を持ってくれた方はガンガンノックしてほしいと思います。

葛西:そのほかに何か必要な条件はありますか。

長野:ANOBAKAのメンバーは年が近くて仲が良く、チームで仕事をすることもよくあります。ANOBAKAは、メンバーとコミュニケーションを取りながら個人でなくチームのためのことを考えて活動できる人が評価される会社です。ベンチャーキャピタルという会社は基本的にステークホルダーが極めて多い会社です。普通の会社が会社のメンバーとクライアントと向き合えばそれで良いことも多いのに対して、VCは非常に広い業界の人たちとコミュニケーションを取らなければなりません。それを考えると、高いコミュニケーション能力も求められると思います。

葛西:投資判断を下すときに特に求められる能力やスキルはありますか。

長野:やはり知的好奇心がベースとして大切になってきますが、その中でも「過去を知って未来を知ろうとすること」は大事だと思っています。どのようなビジネスが過去にあって、どのようなビジネスが過去に失敗して、どのようなビジネスがなぜ成功したのか、例えばAmazoonやGoogleやFacebookはどのような道程で成功したのか、似たような他のケースはなぜ失敗したのか、などの過去事例を自分の引き出しとして持っている状態は重要になります。また「未来を見る力」として最新のテックトレンドなどを常にウォッチし続け、未来がどうなるかについて自分なりに仮説を持つこと」ができることも必要です。この2つのことがしっかりできている人は極めて少ない、またはほとんどいないと思っています。投資案件のジャッジをする際には、この2つの知見を不断にキャッチアップしていくことが大事になります。

では2022年のスタートアップ業界に関してお聞きしたいと思います。今後もコロナ禍が継続していく中で、業界はどのように変化していくと考えていますか。

長野:正直先行きは極めて不透明だと感じていますが、起業家が今後も増えていくことは自明であると考えています。これは予測できる未来だと思います。デジタル化・DX化の波を受けて、スタートアップの成長の機会も投資機会も増えていくだろうからです。一方で予測できない未来としては、コロナの状況にもよりますが、これまでの金融緩和の流れが徐々に引き締めに移行して金利が上がり、それによって株価がシュリンクし始めるタイミングがいつ来るかなどが不透明です。またWeb3の波により海外のVCが皆クリプト中心の投資活動になっていく中で、未だにエクイティ中心である日本はどうなっていくのかについても不透明です。不確かな状況の中で、スタートアップ業界がこれまでの流れのまま成長していくかどうかは未知数であると考えています。ただANOBAKAとしては柔軟性が強みであると考えているので、マクロ環境を見ながらやるべきことを時代に合わせて柔軟にやっていく活動スタイルを続けていきたいと思っています。

最後に長野さんが投資家として大事にしていることについて伺いたいと思います。改めて、投資家としてどのような気持ちで起業家に接し投資活動を行っているのでしょうか。

長野:投資家やビジネスとしての側面よりも、スタートアップやVCに大事なのは「生き方」であると考えています。人生において何が一番楽しいか、充足感を得られるか、幸福でいられるかというと、やはり「何かにチャレンジしている状況」で一番やりがいや生きがい、充足感を得られると思っています。地位や名誉やお金ではなく「何かに燃えている状況」が大事であると感じます。大企業で社内調整に汲々するような仕事をしてそれが「生きがいなのか」というと、それは疑問であると感じます。スタートアップ業界はそういった社内調整よりもピュアに目的に向かってチャレンジする世界であり、「どういう生き方をしていきたいか」というところで充足感を得られる舞台であると考えています。この業界に飛び込む人が1人でも多く増え、このような人生の充実感を感じてくれると良いなと思っています。

葛西:本日はお時間いただきありがとうございました。

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