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成長したいのならスタートアップを選ぶべきなのか

2021.2.12

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ANOBAKAでアソシエイトをしている松永(@kazuaki910)です。
※本記事は松永の前職代表の伊藤豊氏の書籍「Shapers」の思考法を参考にしております。

最近は、大学生の内定報告もチラホラと見かけることも増えてきました。
まだまだ大企業はおおぴっらに内定を出すことができない時期かと思いますのでおそらく外資系やスタートアップが多いのではないでしょうか。

そんな中で、転職でも就活でもこのような言葉を聞くことが増えていると思います。

「大企業よりも、スタートアップの方が成長できる」

それって本当でしょうか?

「ブランドがないスタートアップ村の人間が、意識の高い大学生や大企業で燻っている人間を採用するために作り出したキラーワードなのではないか?」

と思う方もいるでしょう。

私自身、新卒で大手企業に1年弱勤め、その後10名の企業に転職して100名規模までの成長過程でキャリアを築いてきましたが、結論としては

個人が成長しやすい環境は、

「大手かスタートアップかという二元論ではなく、「成長する組織で働くこと」が大事」

だと考えています。

そこで、
・日本の経営学の大家・金井壽宏教授の「一皮むける(修羅場)経験」
・スタンフォード大学のジョン・クランボルツ教授の「計画的偶然性(planned happenstance)」

を元に考察したいと思います。

そもそも、個人の能力開発は
ロミンガー社のマイケル・ロンバルドとロバート・アイチンガーの調査によると

70%が、現場での業務遂行による直接学習
20%が、先輩・メンターからの間接学習(薫陶)
10%が、研修や読書などの自己啓発的な間接学習

という割合で影響があると言われています。

ですので個人の成長を図るには、圧倒的に現場での直接学習が大きな要因となります。

また直接学習の中でも、特に大事になるのが自らのリーダーシップが飛躍的に向上したと思えるような瞬間の物語、「一皮むける経験」です。

具体的な経験は環境によって千差万別ですが、困難な目標に対して全力を尽くして乗り越えた(または失敗した)ことによって人は大きく成長します。

個人の成長においては、自分のコンフォートゾーンから抜け出し、ストレッチした目標に向かってチャレンジする経験が非常に重要です。

ではそういった環境はどこに豊富にあるのでしょうか。

日本でも、かつての高度成長期やバブル期など、日本経済とともに大企業~新興企業まで右肩あがりで成長している時代は、多くの企業で豊富にチャレンジ環境があったと思われます。

しかし、その後失われた30年の中で、多くの企業が成長に苦しんできたのではないでしょうか。

事業成長・組織成長こそが、新しいチャンスとポストを生み出す原動力であり、それが組織内で不足するといわゆる「上が詰まっている」状態となり、「機会・ポストの順番待ち」が起こり、特に若手の成長機会が減ってしまいます。

一方で成長する組織は、とにかく「やりたいこと・やるべきこと」に対して常に人手不足です。
ですので事業成長のために、本来であればまだ若手に任せるのは不安な重要な仕事でも若手にも任せざる得ない状態になります。

成長企業にはチャンスが豊富

つまり上司目線で

「正直、まだコイツに任せるのは不安だけど他に人もいないから仕方がないか…でもなんとかなるでしょ、うん。」

というようなアサインも発生し得ます。

わざわざ「組織の活性化を考えて若手をアサインしてみよう」という意志決定ではなく、

「事業の必要性」から若手にも任せざる得ない。

それが「一皮むける(修羅場)経験」に繋がっていきます。

つまり、ビジネスパーソンの成長を促進させる可能性が高い「一皮むける(修羅場)経験」を得るには、

「ポストや機会に対して人手不足」な組織を選ぶことが重要かと思います。
(※単純にオペレーションの人手不足という意味ではなく)

今では研修の一環で、そういった修羅場経験が枯渇している組織から、機会が豊富な組織へ出向させる企業も出てきています。

転職・就職において、ポジションや役割を入社前に確定できる場合もありますがまだまだジョブ型雇用が浸透していない日本において上記は少ない。

そこで考えるべきは、「計画された偶発性理論(planned happenstance)」を織り込んだ上でキャリアを考えることです。

個人のキャリアプランのすべてを自分の意志通りに決めていくことは難しいものです。

それはどんな組織であろうと(それこそトップであろうとも)個人の意志のみで組織をコントロールすることはできず、予期しない出来事によってキャリアは左右されていきます。

「計画された偶発性理論(planned happenstance)」とは、自らのスタンスや行動から偶然を意図的・計画的に呼び込み、機会に変えていくことを指しますが、その第一歩として「その狙った偶然が起きやすい環境を選ぶ」ことだ大事だと考えます。

「偶然がいつ起こるか精確な予想はできませんが、その偶然が起きそうな理由」を考察することはできます。

例えば、新規事業の責任者になりたいのであれば

・その企業は、今後どのくらいのペースでどのくらいの事業開発を計画しているのか。
・それを裏付ける市場成長性はあるのか。
・そこにアサインされそうな社内の人間はいるのか、どのような経歴なのか。
・自分の経歴・ポテンシャルと照らし合わせて、そこにアサインされる可能性はありそうか。

などをイメージすることです。

もしもアナタが新卒・第二新卒数年で大きなチャンスを掴みたいのならば、機会の競合相手が少ない会社、例えば、20代後半の先輩が少ない会社を狙ってみるのも手かもしれません。

「スタートアップだから成長できる」「大企業だから安定できる」というのは、なんとなくの概論・イメージかと思います。

(その組織のビジョン・経営者・事業にコミットできるのかという、個人的な感情面・モチベーションもとても大事ですが)

もしあなたがビジネスパーソンとしての成長を望むのであれば、

・その組織は(急激に)成長するのか/し続けそうな論理的な理由があるのか。
・そのチャンスを自分が掴めそうな確率はどのくらいなのか。

ということをしっかり考察した上で選択するのが良いかもしれません。

では、どのような観点でそういった企業を選べば良いのかという疑問も湧いてくるかと思いますが、長くなってきたのでそれはまた別の機会にでも。

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