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ヘルステック領域で注目の海外スタートアップ4選!!

2021.3.12

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皆さんこんにちは、ANOBAKAでインターンをしています武内樹心(@jjj_jushin)です!皆さん如何お過ごしですか?2020年はFemtech元年と呼ばれたことを皆さんはご存知でしょうか。FemtechとはFemale(女性)とtechnology(技術)を組み合わせた造語です。今回はそんなFemtechの海外スタートアップについて調べてみました!
※画像は記載がない場合はホームページから抜粋しています。



Femtech編

crunchbase news より抜粋

Crunchbaseのデータによると、投資家は2020年に米国の女性の医療技術の新興企業に10億2300万ドルを投資し、2019年の6億2500万ドルから約4億ドルの増加になっています。

この分野への投資は2017年以降着実に増加しており、2016年以降の総資金は29億ドルに上ります。図を見ていただければ、ここ数年でfemtech領域に対する投資額が急激に増加していることがわかります。

投稿用画像
ALLPRISEより抜粋

femtech領域への投資が増加した理由の一つに女性VCの増加があるでしょう。世界的にも有名なVC企業のいくつかは、近年投資チームに1人だけでなく複数の女性パートナーをキャピタリストとして追加しています。

例えばSequoia Capital は2018年に2人の女性パートナーをチームに追加し、Andreessen Horowitz は2018年に4人の女性パートナーを、2019年には4人の女性パートナーとゼネラルパートナーを追加しました。

PitchBookによると、昨年の新しい女性パートナーとゼネラルパートナーの割合は2020年2月の時点で13%に上昇しています。このようにVC業界でも女性パートナーの増加が続いていると言えるでしょう。

女性のVCが増加することでフェムテックへの投資も加速しているのかもしれません。 

CBinsightより抜粋

今回の記事ではFemtech領域のスタートアップについてのリサーチですが、一口にFentech領域と言っても、このカオスマップのように細分化することができます。

特に今回は女性に多い病気(更年期障害など)へのソリューション、妊娠や病に関する追跡アプリ(妊娠や病気に関する情報やアプリ)、生理用品(タンポンや生理時も着用可能な下着など)について一社ずつ取り上げていこうと思います。


Oviahealthー女性の健康管理アプリ

設立年:2011年
シリーズ:不明
拠点:アメリカ
累計資金調達額:2300万ドル

まずご紹介するのは不妊治療追跡アプリを提供するOviahealthです。このアプリケーションはMedicaが提供しています。このMedicaはミネソタ州に本社を置く非営利の健康保険会社で、メディケア市場で医療保険と関連サービスを提供しており、Oviahealthはそのサービスの一つです。

Oviahealthは50人以上の医師の監修の下開発したアプリで、Medicaの健康保険に加入している18〜46歳の女性が無料で利用できます。OviahealthのアプリケーションサービスはOvia FertilityOvia PregnancyOvia Parentingの3つのアプリケーションに分けられます。

Ovia Fertility女性の健康全般に関する情報を集めることができます。ここでは確実な排卵日の予想を行うなど、自分の健康状態を管理したり、女性の匿名コミュニティへ参加し、悩みの共有などを行うことができます。また提供される記事などから不妊についての知見を深めたりすることも可能です。


Ovia Pregnancyは主に妊娠期の情報を提供しています。それぞれの妊娠した女性にパーソナライズ化された記事や情報等を提供。職場復帰計画やそのサポート、登録された専属の看護師による妊娠時のコーチングを受けることもできます。Ovia Pregnancyを利用する妊婦の中には、サプリメントによってサポートを受ける人々もいます。

サプリメント製品には、葉酸、鉄、亜鉛、魚油の適切な栄養分が含まれており、胎児の成長や母体の健康維持に必要な栄養分を接種することができます。また、実際にこれらのサプリメントの効果によって、母親の早産の可能性を減少させたり、早産の場合に新生児がNICUにいる期間を短縮させることができます。

Ovia Parentingは主に出産後の家族のサポートを行うアプリケーションです。新生児の食事や睡眠の記録など新生児の健康管理を行うことができ、専属の看護師のサポートを受けながら出産後の母体の健康管理も行うことができます。

Oviahealthは2011年にParis Wallaceによって設立されました。Paris Wallaceはハーバードビジネススクールとハーバードケネディスクールに通い、資産管理に従事した後、ゴールドマンサックスでATカーニーのコンサルティングを行いました。

生殖能力とリプロダクティブヘルスに焦点を当てたゲノミクステクノロジー企業であるG​​ood StartGenetics(昨年Invitaeによって買収)を共同設立、その後Oviahealthの設立に至ります。

Uberに投資実績のあるTechstarts Venturesが出資しており、2020年7月には758万ドルを調達し、総資金調達額は2300万ドルとなっています。現在のOviahealthのユーザー数は1500万人であり、今後も事業を拡大していきそうです。

Thinxー生理中に使用可能な下着の提供

設立年:2013年
シリーズ:A
拠点:アメリカ

累計資金調達額:2650万ドル

近年多様化が進む生理用品ですが、これまで主流だったタンポンやナプキンに加えて現在新たな選択肢として注目を集めているのが吸水ショーツです。そんな吸水ショーツを提供する海外D2Cスタートアップの一つがThinxです。Thinksは世界中の女性に生理衛生用品を届けることを目標にして設立され、主に吸水ショーツの開発と販売を行っています。


Thinxの製品の最大の特徴は、吐き心地は普通の下着と変わらないものの、吸水性はタンポン5つ分であるほど優れていると言う点です。高い通気性、匂いの防止などの効果があり、一日中清潔に保つことができます。着用している際には他の衣服は全く汚れることはありません。

手入れは非常に簡単で、普通の洗濯を行うように他の衣類と洗濯を行っても何も問題はありません。また提供している下着の種類はビキニタイプから太腿まで覆うスポーツタイプまで多岐に渡り選択の幅が広いことも特徴です。

上記画像のように耐水性の度合いに応じて値段の下部に吸水性が示されており、非常にわかりやすく、自分に最適なモデルを選択することができます。値段は日本円で3500円ほどから販売されています。

またThinxは製品の開発だけでなく男女が平等になることを目指したThinx 2020という、大統領や下院議員に男女平等や全ての女性に生理用品が行き渡ることをアピールする運動も行っています。


現在MassChalengeからシリーズAで総額2650万ドルの資金調達を行っており今後の動きに注目です。日本でもNagiなど、女性の生理用品のD2Cを行うブランドの勢力は急激に拡大しつつあります。今後もFemtech領域を牽引していく分野になるでしょう。

Gennevー更年期障害に特化したオンラインクリニック

設立年:2015年
シリーズ:シード
拠点:アメリカ

累計資金調達額:450万ドル

Crunchbace Newsによると、2025年までに11億人の女性が閉経後の状態になると予想されており、更年期障害の治療に関する市場はなんと約6000億ドルとも予測されています。しかし、これらのニーズを完全に満たす企業は少ないのが現状です。

Female Founders Fundの調査によれば、自分が更年期障害であることに気づかず、原因不明の体調不良の治療のために平均20000ドルを費やすと言われています。原因としては、女性の32パーセントが医師に更年期障害について相談することに抵抗を覚えており、結果的に家族や知人に意見を求めていること。また更年期障害についての知識不足が挙げられます。


Gennevはそんな更年期障害の治療を行おうとするスタートアップの一つです。端的に言えば、Gennevは更年期の女性を対象としたオンラインクリニックです。現在更年期障害を抱える女性の多くは医師に相談をしづらく、自分の身体の不調に正しく対応できてないのが現状です。Gennnevでは2つのサービスによってこれらの問題の解決をはかっています。


一つ目のサービスはオンラインクリニックです。一番安価なHealth Coach Consolutionでは30分あたり45ドルで利用することができ、更年期の精神状態や睡眠の監査、サプリメントの推奨も行います。


またさらにサービスを受けたい顧客向けにHolistic Care Membership (Health Coach + Doctor)もあります。このサービスは月額85ドルで、体重管理、更年期障害のうつ病の治療などを行います。重い症状に悩む患者からの相談を無制限に受け付け、場合によっては適切な医師を派遣します。これらは全てオンライン上で完結します。

二つ目にサービスはコミュニティの提供です。コミュニティはFacebookアカウントを使って登録することができ、プライベートコミュニティ内には3900のメンバーがいて、情報を交換することができます。

また2017年には更年期教育プラットホームを創設しました。Educationでは、更年期障害に関する医学的な知識を得られる記事を検索することができ、更年期障害に対する理解を深めることができます。

Shopでは更年期障害における体調不良を緩和するビタミン剤など購入することが可能です。また睡眠薬や安眠に効果のあるCBDオイルや、セックス用品も販売しています。これらはオンラインクリニックにおいて推奨されたものを購入することも可能です。

2015年、Gennevは1500人の更年期を迎えた女性の体調を調査するところから始まりました。2017年には、コミュニティの運営と教育プラットホームの運営を開始しました。同年に顧客が1万人を突破します。2019年には400万ドルのシード投資を受け、またzoomに投資実績のあるMaven Venturesなどをはじめとした3社から総額450万ドルの資金調達を行っています

現在Gennevは、2020年末までに現在23州で運営されている遠隔医療サービスを50州すべてに拡大するとの計画を発表しており、今後も順調にスケールしていきそうです。更年期障害の治療分野は引き続き注目が集まる分野でしょう。

今回はFemtechについて調査しましたが、男性版のMentechと呼ばれる領域もあります。まだまだ規模はFemtechに比べると小さいですが、注目されている領域です。今回はLegacyという男性の不妊治療に取り組むスタートアップについて説明していきたいと思います。

Mentech編

Femtech領域は生理や出産をはじめとした、女性に特有の問題を解決するテクノロジーです。しかし逆に男性ならではの悩みも存在し、特に不妊治療や性生活の中には男性にしかない問題もあります。Mentech(男性とテクノロジーの造語)の海外スタートアップをご紹介します。

Legacyー精子の検査と保管サービス

設立年:2018年
シリーズ:A
拠点:アメリカ

累計資金調達額:520万ドル

今回はFemtechについて調査しましたが、男性版のMentechと呼ばれる領域もあります。まだまだ規模はFemtechに比べると小さいですが、注目されている領域です。今回はLegacyという男性の不妊治療に取り組むスタートアップについて説明していきたいと思います。

WHOの調査によると、不妊の原因の内、男性だけに原因のある場合は24パーセント、男女共に原因のある場合は24パーセントと言われており、女性の不妊治療だけでは根本的な解決にはいたりません。


今回ご紹介するLegacyは男性の精子検査と精子の凍結保存を行うスタートアップです。医療機関に行くことなく精子の検査簡単に行うことができます。
コースは、分析のみ、分析と5年間の保存、分析と永久保存の3つとなります。これらのコースの価格は順番に195ドル、995ドル、3,995ドルとなっています。

この検査は非常に簡単に行うことができます。検査キットを頼むと2日で到着し、専用のキットに入れられた精子はその日のうちに回収されます。このキットは精子の品質が最大48時間保たれるように設計されており、到着時にテストを行うため、品質が完全に保証されたもののみが検査に使用されます。


その後3日で精子の検査は終了し、レポートをもらうことができます。レポートには受精確立に影響する精子の量・数・濃度・運動性・形態の5つの項目についての詳細なデータが記されており、その後専門家と今後の方向性についての相談も行うことができます。この間、検査キットの依頼から約一週間で終了します。

この精子が一週間保存されその間に顧客は精子を保存するか否かの意思決定を行います。精子を保存する場合は、24時間年中無休でセキュリティに監視されている施設に保管され、その正確な保存場所は顧客飲みにしかわからないようになっています。これらの精子は品質を保ったまま半永久的に保存が可能です。

Legacyは2018年に設立されました。LegacyのCEOであるKhaled Kteilyは自身が怪我を負ったことをきっかけに医師から精子凍結を勧められましたが、その価格の高さと手続きの煩雑さからより良い方法を模索しこのスタートアップの設立に至りました。

LegacyにはAirbnbに投資実績のあるY Combinatorなどが投資を行っており、2020年には350万ドルを調達し、現在シリーズAで総額520万ドルの資金を調達しています。男性の不妊治療のニーズは非常に大きいため、今後国内外でも拡大していくでしょう。注目の領域ですね!

現在弊社ANOBAKAでも、Femtech、Healthtech領域のネクイノfamioneに投資を実施しています。ネクイノではSmalunaというアプリを経由してオンラインで医師と繋がりピルを処方するサービスを、famioneでは不妊症看護認定看護師を中心に妊活の専門家がLINEを使い妊活相談を行うサービスを行っています。


このように今回はFemtechスタートアップを中心にご紹介しましたが、ヘルステック市場は世界規模で大きく、日本国内でも依然広がりを見せている領域です!ぜひこの分野に興味のある方がいらっしゃったら声をおかけください!


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