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アメリカで巻き起こる「大量離職」と人の可能性を拓くユニコーン三選

2021.10.7

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ANOBAKAの松永です。

「The Great Resignation」
という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

直訳すると「大辞職」となりますが、「大量離職」の方が実際の意味と近いでしょう。

2021年4月頃からアメリカの経済ニュースのホットワードの一つとして登場することが増えました。

コロナ禍は、多くの人々の働き方に変化を与えましたが、人の「生き方」自体をアップデートする貴重な機会だったのかもしれません。

今回はアメリカで巻き起こる「大量離職」と、人々の働き方・ライフスタイルの変化を促進させ、ユニコーンに駆け上がったスタートアップを紹介します

◆アメリカで巻き起こる、若者を中心とした「大量離職」の異常性

「The Great Resignation」という言葉は、テキサスA&M大学のアンソニー・クロッツ氏が提唱したといわれています。

2000年12月から2020年の新型コロナウィルスのパンデミックが始まるまで、米国の辞職率(resignation rate)は全労働者の2.4%を超えることはありませんでした。 ※解雇ではなく、自ら望んで退職する=辞職としています

The Quitting Economy
https://qz.com/guide/quitting/
JOLTS
https://www.epi.org/indicators/jolts/

辞職率が高いということは、より高い給料の仕事に就けるという自信があるということで、一般的には経済が安定していて、失業率が低い場合に高まる傾向にあります。

逆に、失業率が高い時期には、辞職率も下がる傾向にあります。

新型コロナウィルスによるパンデミック発生時、アメリカの辞職率は、多分に漏れず低下の傾向を見せていました。

しかし、パンデミックが続く中、逆説的に労働者は上図の通り仕事を辞めはじめました。高い失業率が続いているにもかかわらずです。

2021年6月のマイクロソフトの調査によると、世界中の労働者の41%が仕事を辞めることを検討しており、18〜25歳のZ世代の54%が退職を検討しているという結果が出ました。

また2021年4月だけで、約400万人のアメリカ人が仕事を辞めています。

アメリカでは大恐慌以来の最高の失業率を2020年に記録してから、わずか1年で企業は従業員の大量流出という危機に直面しています。

◆「The Great Resignation」の背景

ではなぜ今「The Great Resignation」が起こっているのでしょうか?
複合的な様々な理由が考えられます。

・新型コロナウィルスへの感染への恐怖から、オフィスに戻りたくない。
・現職のリモート対応が悪く、働き方の柔軟性を確保したい。
・ワークライフバランスを確保したい
・家族やこどもの教育など、人生で大切なことに目を向けたい。

専門家の様々な調査で、多くの声が寄せられました。その中で、一つ面白い調査結果が出ています。

B2Bデジタルソフトウェア企業のAmdocs社が発表したアメリカ人労働者1,000名に対する調査によると、Z世代・ミレニアル世代を中心とした約3分の2の従業員が、成長の機会やトレーニングの場がないことを理由に仕事を辞めると答えています。

Workforce of 2022
https://www.amdocs.com/sites/default/files/2021-09/Reskilling_Survey_Sept_2021_FINAL.pdf

もちろん適正な給与や福利厚生、労働環境も大切な要素でしょう。
しかし、多くの人はよりよい成長の機会を求めて、今の環境から抜け出す決断をしているようです。

また調査回答者の90%が、次の職場で求めるものとして、良質なトレーニングとスキルアッププログラムを重要視しているとのことでした。

リモートワークに対応しない企業(業態によっては完全リモートは難しいとは思いますが)は、従業員をキープする能力はますます低下するでしょう。
しかし、ただリモートワーク化するだけでも、優秀な若い世代をとどめおくことはできません。

コロナ禍の中で、労働者は自分のキャリア、労働条件、および長期的な目標を再考する時間ができました。

特に若い世代には、今後自分がどういう人生を送りたいのか、真剣に向き合う機会になったのかもしれません。

既に、寝た子は起きてしまいました。

企業ができることは、もう一度寝かしつけることではなく、目覚めた者の背中を押すことです。

◆「自己実現・スキルアップ・ウェルビーイング」に纏わるスタートアップがユニコーン化

コロナ禍による社会変化の中で、個人の意志や願望がより顕在化し、自己実現・スキルアップ・ウェルビーイングな働き方を後押しするスタートアップが大きく成長しました。
その中で、ユニコーン化したスタートアップを3社紹介したいと思います。

◆Degreed

企業名: Degreed
HP: https://degreed.com/
設立年: 2012年
創業者: David Blake, David Wiley, Eric Sharp
本拠地: サンフランシスコ ベイエリア
累計資金調達額: 3.9億ドル ※シリーズD

社名である「Degreed」に込めらた想いは、大学の学位(degree)重視の考え方から抜け出し、実際のスキルや経験を重視していくのだ、という創業者のビジョンを現しています。

具体的には、ビジネスパーソンを対象としたオンライン教育プラットフォームを提供しています。

よくあるオンライン教育というツールではなく、Degreedの場合は企業側が今いる社員のスキル情報を可視化して把握することができ、今自社がどんなスキルが足りているのか/いないのかということを分析し、効果的な研修やトレーニングを従業員に提供することできます。

企業としても、採用や従業員の流出阻止のためのポーズとして「研修/トレーニング」を行う余裕はありません。

自社の経営戦略と社員スキルを鑑みて、適切な従業員教育を行うためにも非常な有効なツールといえるでしょう。

学習意欲旺盛で、さらなるスキルアップや自己研鑽を積みたい労働者も、自分に合ったコンテンツをこのプラットフォームで見つけることができます。

また、自分の学習状況をトラッキングしたり、他の人に共有したりすることもできます。

◆BetterUp

企業名: BetterUp
HP: https://www.betterup.com/
設立年: 2013年
創業者: Alexi Robichaux, Eddie Medina
本拠地: サンフランシスコ ベイエリア
累計資金調達額: 2.7億ドル ※シリーズD

伝統的なエグゼクティブコーチングのような手厚い成長サポートは、上級管理職のみに提供されてきましたが、それをあらゆる社員層に解放しようとしているののがBetterUpです。

サービスとしては、AI技術と行動科学を組み合わせて、個人およびグループのリーダーシップ開発、コーチング、カウンセリング、メンターシップを従業員に提供しています。
世界最大のコーチのネットワークを有しており、2,500人以上の専門家が90数カ国の46言語で人々をコーチングしているとのことです。

あらゆるレベルの従業員が、個人の専門性とプロフェッショナルなパフォーマンスに繋がるスキル開発を行い、リーダーとしての成長を目指すことができます。

◆Thrive Global

企業名: Thrive Global
HP: https://thriveglobal.com/
設立年: 2016年
創業者: Arianna Huffington
本拠地: ニューヨーク
累計資金調達額: 1.46億ドル ※シリーズC

創業者のArianna Huffingtonは、「ハフィントン・ポスト」の創設者として有名で、2003年にはカリフォルニア州知事選挙に出馬経験もある女性経営者です。

前出の2社とは違い、従業員のメンタルヘルスを改善し、ウェルビーイングを追求するサービスです。

成長を求めてハードに働くと、時にはストレスが溜まり、時には燃え尽き症候群に陥ることもあるでしょう。
そんな労働の障害を防ぎ、従業員のメンタルヘルスを健全に保ち、職場での生産性を向上させるノウハウを提供する行動変容サービスです。

企業の福利厚生の一貫として、ワークショップや(オンライン)コーチング、オンラインストアでの商品販売などを通じて、従業員ひとりひとりにパーソナライズしたソリューションを提供しています。

「従業員が健全に働き続けることを支援する」

これも企業が抱える重要なテーマになっています。

企業は今「選ばれる立場にある」ということを謙虚に受け止めなければなりません。
日本でも国内メーカーの大量離職のニュースが取り沙汰されていますが、きっと環境を変えるチャンスを伺っている人も多いでしょう。

そんな新しいチャレンジを伺っている方の中で、もしも起業やスタートアップ転職についてお考えの方がいれば、お力になれることもあるかもしれませんので、お気軽にご連絡いただければと思います。

ご相談はこちらから:
Meety
twitter

<参考メディア>
The Great Resignation: Why 4 Million People Quit Their Jobs
https://techstartups.com/2021/07/30/great-resignation-4000000-people-quit-jobs/

At Least 40% of Workers Are Contemplating Quitting Their Jobs
https://www.gobankingrates.com/money/jobs/at-least-40-percent-workers-contemplating-quitting-jobs/

If Your Employees Aren’t Learning, You’re at Risk of Losing Them https://www.inc.com/rebecca-deczynski/employee-training-upskilling-retention-survey.html

The great resignation: Boomers and Gen X stay put, while millennials and Gen Z walk away
https://venturebeat.com/2021/09/19/the-great-resignation-boomers-and-gen-x-stay-put-while-millennials-and-gen-z-walk-away/

「Workforce of 2022」by , Amdocs
https://www.amdocs.com/sites/default/files/2021-09/Reskilling_Survey_Sept_2021_FINAL.pdf

Deel nabs $30M more for payroll, compliance and other tools to run global workforces
https://techcrunch.com/2020/09/09/deel-nabs-30m-more-for-payroll-compliance-and-other-tools-to-run-global-workforces/

The Quitting Economy
https://qz.com/guide/quitting/

Mental Health Startup BetterUp Expands With Motive, Impraise Acquisitions
https://www.pymnts.com/economy/2021/us-consumer-sentiment-tumbles-in-august/

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