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【インタビュー】オンライン経済圏の再評価 #Bloomee LIFE編

2020.4.30

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コロナ収束の時間軸はまだ不透明ではあるが、確実に社会が変容しつつある。このコロナショックを契機にこれからの社会のあり方や経済活動の前提を考え直さなければならない。

この「オンライン経済再評価」のシリーズではKVP投資先の中でいち早くアフターコロナ社会におけるスタンダードを見据えてサービス展開している各社の社長に自社及びオンラインでの経済活動が劇的に変化している最前線をインタビューしていく。

その第二弾としてお花の定期便サービスを展開している株式会社Crunch Styleの武井さんにお話を聞いてみた。また、このシリーズの趣旨に沿ってzoomでのオンラインインタビューという手法を採用しています。

インタビュアー:長野 泰和
インタビューイー:株式会社Crunch Styleの武井 亮太

-ではまずサービスの簡単な説明をお願いします。

私たちは「毎日にちょっとした感動を」というミッションをテーマに、現在は「Bloomee LIFE」というお花の定期便サービスを展開しています。

お花は家にあると季節を感じられたり、家の雰囲気が良くなるみたいな言語化できない良さがあり、お花を通して「毎日にちょっとした感動を」提供しています。

-確かに花を家に生けるだけで家が華やかになったり明るくなりますね。
Bloomee LIFEにとってコロナはどんな影響がありますか?

マイナス面でいうとお花の業界自体はコロナの影響を受けていてダメージを大きく受けています。
ただ、Bloomee LIFEはオンラインサービスということもあり、新規ユーザーでいうと1月比較で2倍、3倍と大きくユーザー数を増やしています。

なぜ伸びているのかというと理由は3つあります。

1つ目は自宅に花を提供しているので、自宅にいることで需要が生まれやすく巣ごもり消費の結果、需要が高まっています。
家にいる間、少しでも気分良く暮らしたいみたいなニーズをしっかり捉えられているんだと思います。

2つ目は小売店さんが休業しているので、オフラインで買っていた人がオンラインで買う需要が起こっています。
政府の不要不急要請の結果、お花の小売店さんは休業するお店が多く、物理的にオフラインでお花が買えない状況になっています。

3つ目は小売店さんが休業し、全国の生花店で売上の低迷が起こっているのを危惧して、お花約1万本をBloomee LIFEが買取、無料でユーザーさんにプレゼントしたことでサービスの認知が進んだことです。

全国のお花屋さんを応援!卒業式や入学式中止を受け、お花1万本無料配布で需要喚起へ!

-お花1万本買取、無料で配布するのはかなり勇気のいる決断だったと思いますがいかがですか?

お花業界全体を考えた時に必要だと思ったのでそんなに悩むことはありませんでした。
Bloomee LIFEはお花を通してユーザーさんにちょっとした感動を提供しています。なのでコロナの影響でお花業界が盛り下がってしまうと価値を提供できなくなります。
自分たち単体が良ければいいものではなく、業界全体を一緒に盛り上げていくことが重要です。
経営陣とはしっかり話し合いましたが、みんな必要な施策という認識で反対は出なかったですね。

-業界全体を見据えた上での意思決定だったんですね。
では別視点の質問で、ユーザー増加の変化に伴ってBloomee LIFE自体の変化みたいなものはありましたか?

ユーザーさんの視点でいうと、フィードバックの質が変わってきました。お花への接触時間が増えれば増えるほど、満足度が高くなるサービスなので、家にいる時間が長いと質の良いフィードバックがもらえている状況で、そのフィードバックを元にサービス改善を行なっています。

またサービス側の視点でいうと、ユーザーさんが伸びていることで供給が追いつかなくなっています。
最近、虎ノ門にお店を出店して、D2Cで安定的な供給ができつつあるので、そこはさらにしっかりやっていく必要があります。ユーザー増加に伴う、サプライチェーンの構築が前より進みました。

-裏側のサプライチェーンの構築に変化があったんですね。
逆にユーザーさんに見える側のでサービス変化はありましたか?

初期既存ターゲット以外の初めから花を買っていた人が利用し始めてもらえたことで、オフラインでの購買体験をオンラインで提供していきたいと思っています。

具体的にはお花屋さんでお花を選ぶ楽しさを提供したいです。

お花屋さんでお花を見ながら色や全体の見た目を選んでいく楽しさをBloomee LIFEで提供できないかと考えていて、今後はパーソナライズによって、ユーザーさんごとに届くお花が変わるようにしようと思っています。

-なるほど。では今度はマクロな視点で質問させてください。
今はオフラインが壊滅的でオンラインがメインストリームになると思いますが、オフラインからオンラインへ以降する業界の難しさはありますか?

聞こえは簡単ですが正直難しいという印象です。

オフランインのものをECで売るみたいな側面だけだと簡単ですが、伸ばしていくことを考えると仕入れや業界の関係性などを考えると難しく裏側の仕組みを整えることが重要です。

また、オフラインとオンラインの成功する要素が違うと思っています。

オフラインは固定費が定常的に発生していくので、なかなか利益を出しづらい上に多店舗化しないと売上が積み上がらない。リーチの深さを極める必要があります。

オンラインはリーチの広さが重要になっており、ECサイトを作っただけでは売れません。

いかにユーザーさんにサービスを認知してもらうか、それをどこまで広げられるかが重要だと思っています。

オンラインは初期のユーザー獲得が非常に難しいと感じています。

-オフラインとオンラインの成功する要素が違うんですね。
これから大手企業などの参入も考えられると思いますが、どう考えていますか?

ユーザー目線で徹底的に物事を考えられるかが勝負だと思っていて、Bloomee LIFEでは毎月ユーザーさんへのインタビューを2年くらい続けています。
オフラインからオンラインに移行するとユーザーの声を聞きづらくなるのでそこを丁寧に拾っています。

単純にオフラインからオンラインで移行するだけでは成功しないと思っているので、そこをやり切れるかだと思っています。

また作り手であることをかなり強く意識しています。
どういうことかというとオンラインサービスではありますが、最終的にはお花という「物」を提供しているので、良いものを徹底的に拘って、良いものが良い状態で届くように配送やお花専用ボックスの開発に力を入れています。

-単純なEC移行でのオンライン参入ではうまくいかないんですね。
では逆に既存のプレイヤーとの関わり方はどうしていますか?

対立軸で捉えられがちですが、そういう意識はしていません。
例えば、「黒船が襲来した」や「既存プレイヤーのリプレイス」などの取材は意図していないので受けてないです。
私たちはあくまでユーザーさんにお花の価値をより感じてもらい、その中で感動を提供したいと思っています。

その中で、自分たちができること・やらなければいけないことに注力しているので敵対視はしておらず、全体で業界を盛り上げていきたいと考えています。

-ありがとうございます。
では最後にオンラインサービスでホワイトスペースへの参入を考えている人に向けてアドバイスをお願いします。

私たちは4年前に参入しましたが、その時と比べると参入すべきポイントが変わってくると思います。
まず単純にユーザー獲得できるから参入するのはよくないと思います。業界構造全体を良くしていく考え方でサービスを展開する必要があります。

オンラインで大切なのは裏側でそこで詰まる可能性があります。

また基本的な思想としては奪い合いの考え方ではなく、共存共栄で業界で盛り上げていく考え方が非常に重要です。

生産からサプライチェーンまでを考える必要があり、小手先なやり方では通用しないので、大きな視点で本質的な業界の負を考えていく必要があります。

そこをしっかりと考えた上で、自分たちの会社の介在価値があるのであれば、どんどんファーストペンギンとして飛び込むべきだと思います。

-インタビューを終えて

花屋業界は急速なオンライン化にシフトせざるを得ない状況になっており、サプライチェーンの構築が重要なポイントのように感じました。
不安な社会情勢の中、心を豊かにするお花の提供を止めない強い意思を感じると同時に、社会的な意義も感じられ花の持つ不思議な魅力が伝わってきているのだと思います。

個人的には「Bloomee LIFE」が急激に伸びているのは巣篭もり需要をしっかりと捉えていることだと思っており、人は自分が接する時間の多い場所やサービスに積極的に投資をするのだと思います。

自宅にいる時間が長くなったことで、家の中での物やサービスの価値が高まるのは今後の必然的な流れで、いかに質の高いサービスを提供できるかが事業者側の課題とも言えそうです。

また経営者として、武井さんには1本筋の通った力強さを感じました。
それは徹底したユーザー目線でここをぶらさずに事業を推進しているのが、「Bloomee LIFE」の強みだと感じました。
どんな状況でもユーザーと常に向き合う姿勢こそが起業家として大切だということと共に、余計なことを考えず、邪念に惑わされないことが1点突破で勝負するスタートアップとして必要なのだと改めて感じました。

KVPでは引き続き、オンライン経済圏の再評価に関して投資各社と議論を深めていこうと思っています。

また投資に関しても以前と変わらず行なっていますので、投資を検討中の方はご連絡ください。

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