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助太刀×シューマツワーカー×Zehitomo ファウンダーが語るPMFの瞬間

2021.8.3

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2.サービスローンチ時との仮説とのずれ

萩谷:

海外でもギグエコノミーって盛り上がっていたと思うんですけど、Zehitomoの仮説とずれていたところがあれば教えてください。

ジョーダン:

海外で当たり前に流行っていることが、日本でも流行り出すまでの時差ですね。実際は勝手に流行るものではなくて、しっかりサービスを出す側が自分で流行らせないといけないという点が仮説とは違っていました。実際事業を一回ピボットして、ベースの概念は一緒ですが、もう少しプロダクトを作ったり、アルゴリズムを変えたりしました。海外ではプロが一回あたり500円ぐらいをかけて提案をするんです。大体確率的には10回提案をして1回採用されます。そのうち平均して一回5万円くらい儲かると考えると、5千円くらいで5万円の仕事が取れるんです。海外は比較的ハングリー精神を持っている人たちが多いのか、マーケティングや広告は非常に上手なんですが、実際に提供するサービスレベルとは少し乖離がある場合もあります。日本は真逆で、サービスレベルは世界一と言えるほど高いのですが、マーケティングや広告することがあまり得意でない人が多いんです。ですから海外と比較すると日本ではハングリー精神がある一部のプロだけが儲かる仕組みになっています。多くの人は1〜2回提案をするものの、それが断られて高い技術があるのに断念する人が多いです。このビジネスは論理的にはあっていたんですけど、もっとうまくやれないかと考えました。そこで事前に毎月いくらまで使うのかプロに設定してもらい、どういう案件ならマッチングしやすいかなどを検証して自動化のためのアルゴリズムを作っていきました。

萩谷:

ユーザーからの依頼数は伸びていたけど、マッチング率がうまくいかなかったからテコ入れをしたということなんですね。

ジョーダン:

プロが増えれば増えるほど、コンテンツが増えるのでSEOのランクは上がって顧客からの需要も上がっていました。最初はユーザーのニーズに応えたいあまり、プロへの対応が少し疎かになっていて、プロには顧客からの不採用のメールなどスパムのように感じられるものが届いていた。プロがいちばん最初使ってくれた後に、その後も継続して使い続けてくれるようにしたかった。その方法として、一回条件を設定すればその後の手間はかからないというマッチング自動化は必要でした。10回に1回しかプロからユーザーへの提案は成立しないとしても、返事が来た時や採用された時のみプロへ通知がいくように自動化することで、効率的になります。自動化のメリットはもう一つ。数多く断られることで、9回のネガティブ体験が1回の成功体験を超えてしまいます。金銭的にはうまくいっていてもサービスを使う心理的負担が大きくなってしまう問題を自動化によって解決することができるわけです。

萩谷:

お金を払うプロの心理的負担をいかに減らせるかというところだったんですね。ありがとうございます。次は松村さん、お願いします。

松村:

ローンチ時の仮説は、大きくずれていなかったです。でもこれは特にすごいことではなくて、弊社は創業してしばらくはエクイティファイナンスをしないで経営してましたので、事業を継続するためにはキャッシュフローが早いことが必要不可欠だったんです。最初から売上が立ったやり方を拡大させ、オペレーションを効率化、システムで自動化していった結果が今の事業ですので、大きく仮説とずれていたというのはなかったです。また、今のシューマツワーカーのサービス価値は、副業人材が見つかること、そして見つかった後のサポートをすることです。β版リリース時はマッチングして終わりというモデルでしたが、企業に聞いてみると「継続したサポートがないと続かない」という声があったので、ここに我々のサービスの意味があると思いました。その時の仮説検証が今のシューマツワーカー のサービス価値の根本になっているかなと思います。

後もう一つ大きな仮説でいうと「副業とテレワークが当たり前になるだろう」というのはずっと持ってます。仮説が外れたことといえば、プロダクトよりも組織とか人の問題が多かったです。創業期の話なんですけど、自分で営業をしていて、さらにスケールしていこうって時に社員を採用するじゃないですか、その際に「自分は毎月これくらい売っているから、彼ら彼女らは、同じくらいとは行かなくても、8掛けくらいは売れるだろう」って思っていたんですよ。でもしばらくは2掛けぐらいしか売れなかった。他にも、組織の部分での仮説のズレはたまにあったかなと思ってます。もちろん、良い意味のものも含めてです。

萩谷:現状の営業がうまくいってても、それを組織に落とし込むのは難しさがありそうですね。必要なスキルセット、どういう人を採用すべきか等考えることが増えますね。3〜4年前に「副業マーケットがこれから来る」と話しながら資金調達回ったと思うんですが、マーケットの成長感は予想通りですか?

松村:

予想よりも早く成長していますね。まずシューマツワーカーでの副業は、かなり狭義の副業なんですよね、副業っていろいろあるじゃないですか。シューマツワーカーの副業のスコープでいうと、「企業が副業人材を受け入れる未来が来るだろう」という仮説でやっていたのですが、コロナの影響でその未来に一気に近づきました。これは『テレワークの一般化』がすごく進んだからです。副業って空いている時間を効率よく使ってやるものでもあるので、テレワークが前提なのですが、コロナによって地方の中小企業ですら、オンラインで働くことへの理解が広がり、一気にシューマツワーカーのターゲットの企業層が広がったと感じました。

我妻:

助太刀は幾つか事業やっているんですが、3つあって、マッチング、ファクタリング、求人事業です。マッチングはさっき話した通りです。求人事業は、建設業って正社員で働いている人少ないんですが、元々参入してくる人も多いし、労働力の確保が不安定になるから、正社員のニーズがコロナで増えるだろうっていうことで慌ててローンチしたんですけど、すごく伸びていて、これは仮説とあってました。Fintechの領域は、ある意味仮説と合ってたんだけど、プラスアルファの効果があったかなっていうのがありました。建設業って重層下請構造って聞いたことあると思うんですが、一次二次…って全部下請けになっているんですね。下に行けば行くほど零細企業になっているんで、お金をもらってこないと払えないわけじゃないですか。もらって払ってもらって払ってってやっている間に、支払いまでが長くなったりとかずれたりとかするわけですよね。小さい会社はキャッシュがすごく大事なのはわかっていましたから、工事代金が即日でもらえるっていうのはすごく刺さるだろうって仮説でリリースしたんですけど、実際には支払いまでの時間を短くするというよりは、助太刀で始めて会った人に1ヶ月間働いて、月末に請求書締めて、送って来月本当に振り込まれるのかなっていう不安の方が大きかったんですよね。そこが解消されるっていう方が、ユーザーのニーズに刺さっていました。そのおかげで、安心払いにマッチングが加速するみたいなシナジー効果があったりして、良い意味でのズレでしたけどありましたね。

萩谷:

なるほど面白いですね。建設業界って本当にプレイヤーがめちゃくちゃいますもんね。ゼネコンからサブコンから。その中でただ出せばいいっていうわけではなくて、その関係値をわかった上でやらなきゃいけないってところで、そこが変わってきたってことなんですね。

助太刀の場合だと複数事業やっていると思うんですけど、マッチングで人をプールしたタイミングで、優先順位づけはどうしているんですか?

我妻:

例えばファクタリングとかECとかに関しては、アライアンスのパートナーですよね。僕らやっぱりスタートアップなので、ユーザーとかUI,UXとかそういうところは強み出していけるけれども在庫とかロジスティックとかは持てないじゃないですか。そういうところが分担できるパートナーができた時に、やるというのはマッチング以外の事業ではありますね。あとは、マッチングとファクタリングで出会う、対話する、受け取る、という部分をコアとしているんで、プラットフォームビジネスとして様々周辺事業展開してって感じでリソースは割いてますね。

萩谷:

アライアンスで良い提案がくれば検討していくって感じですかね。

我妻:

うまく行けば、M&Aより良いと思いますので、アライアンスは時間を買うって意味で、お互い優位ならですね。利用するってなると上手くいきませんけど、お互いのやり方によってはM&Aと同じような効果がありますね。

萩谷:

アライアンスパートナーを選ぶ時に見ているポイントってあるんですか?

我妻:

すごく生意気な言い方になるかもしれませんけど、何するにしても大体大手は3社くらいから打診があるんですね。その中で助太刀の事業をいちばん理解してくれて、ユーザーのことを本当によく思ってくれるっていうパートナーを選ぶことができています。最初に選んだテーマが良かったって思いますね。やっぱり、社会的な課題、建設業の人手不足ってところに挑んでいて、かつマーケットが大きい、今までやっていた人は誰もいない。これなかなか3つ揃うのが難しくて最初にこのテーマを選んだのが、アライアンスの声をかけていただくっていう観点ではラッキーだと思いますね。

萩谷:

ちょっと話戻ってしまうのですが、ファクタリングのところなど「ズレてたな」と思った時の軌道修正ってどうされてるんですか?

我妻:

そこは素直な気持ちで受け入れるようにしています。意固地にならずに、さっきの支払いサイトではなくて、「ファクタリングでもらえると安心なんで」ってなると、なるほどなってなるし、マッチングの話も、よく考えたら私が工事会社社長の時にそういう風にして探したなって思って、素直にやっていますね。

萩谷:

実際にマッチングのところは、ファクタリングもですけど、うまくいってたんですかね?

我妻:

マッチングはうまくいかなかったです。「初めて来た人受け入れられないよ」とかですね。あと、安全書類というんですが、「それどうするんですか?」とか質問が来たり、やっぱりハマっていない感じがありましたね。ユーザーの声を大事にっていうのは結構気を付けていて、うちは大規模アップデートていうのを3回くらいしているんです。今度4回目なんですけど、今までは僕が建設の出身者ってだけで、僕のリテラシーでアプリを改善してたんですけど、今回のプロジェクトは僕はもう参加していなくて、なぜかいうと建設業ってゼネコンだけでなくて、戸建てとかリフォームとか駆けつけサービスとか入れると僕が知らないものが実は多かったりするんですね。でもデータはもう15万人が毎月使っているようなアプリになって貯まってきているんで、ここはもうデータドリブンに、実際使っているユーザーのインタビューで改善した方が良い。僕のリテラシーをデータが超えたっていうところがあります。僕の考え通りにやれっていうのと逆の方向に行くようにしたい。

萩谷:

それだけ初期のインサイトっていうのがあったけど、そこを超えてきたっていうことですね。

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