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コロナウィルスによって高まるオンラインへの需要

2020.4.7

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新型コロナウィルスの影響で、急速なオンライン化が求められています。
今回は実際にGoogle Trendsを使って、どんなニーズがあるのかを見ていきたいと思います。

まずは2020/02/01-2020/04/05までの期間で【テレワーク】【オンラインショップ】【テイクアウト】【ライブ配信】の検索ボリュームを比較してみました。

全体のボリュームの大きさに違いはあれど、全ての検索ワードにおいて2020/02/01付近より検索ボリュームが増えていることが分かります。

仕事面においては各社テレワークを徐々に実施しており、従業員のテレワーク環境の整備などで検索が増えているのではないかと予想しています。
ソフト面では、Slackなどのコミュニケーションツール、Zoomを代表としたオンラインMTGツール、それに付随したSnap Cameraなどオンラインでいかに円滑なコミュニケーションを取れるかが重視されています。

ハード面では、デスクやチェアや通信環境などの整備が必要ですががまだまだ課題がありそうな気がします。
※椅子が脆弱すぎて腰を絶賛イワシています。

ライブ配信もじわじわと検索ボリュームが増えており、今後ライブ施設の利用不可による影響でオフラインのチケット売上やグッズ販売が見込めない中、アーティストの方々はどうオンラインの配信を行なっていくかが重要となってきます。

現状の社会情勢によるニーズの顕在化が行われており、基本的にコロナウィルスによるネガティブな影響が大きいのは前提の上で、その中でも伸びている業界はありそうです。

次に【テイクアウト】【デリバリー】について比較してみました。

フード関連は、イートイン→テイクアウト→デリバリーの順番で需要が移動してきており、検索ボリュームでいうと直近ではテイクアウトの方が大きく、テイクアウトアプリに需要がありそうです。
今後、さらに政府からの厳格な外出自粛要請などがあれば、デリバリーの需要がさらに拡大すると思います。

イートインの売上が大半を占める飲食店が多い中、いかにテイクアウトやデリバリー対応できるかが今後の鍵となってくると思います。

次に【VR】【副業】【オンライン授業】【オンライン診療】について調べてみました。

※テレワークは最初の画像との比較のために今回も入れています。

【VR】【副業】の検索ボリュームはまだまだ変わらず、母数が大きいものの大きな変化はありませんでした。
直近で急激なニーズ拡大と言うよりは、中長期的にじわじわと検索数が増えていくジャンルだと思います。

また4月からの新学期に伴い、【オンライン授業】の検索ボリュームも増えていたり、オンライン診療の初診検討に伴う【オンライン診療】についても検索ボリュームが増えてきています。

まだ確定ではないですが、オンラインによる初診の容認などは今後の医療業界にとってポジティブな側面と言えると思います。

オンライン診療、受診歴なしの初診もOK 厚労省方針

では次に意外だったものをご紹介します。

※テレワークは最初の画像との比較のために今回も入れています。

意外にもラジオの検索ボリュームが増えており、在宅ワークによるニーズが拡大しているのかなと思いました。
在宅で作業する時に無音だと集中力がなかなか保つことができず、適度な雑音でいうとラジオのような気軽に消費できるコンテンツに需要があるのではないかと思いました。

在宅ワークかにおいては、動画の視覚による可処分所得の奪い合いができず、聴覚による可処分所得の奪い合いが起きるのではと思っています。

また意外にも検索ボリュームが増えていないものでいうと自炊で、不要急用の外出禁止要請がある中、検索ボリュームが増えていると思ったのですが全然増えていませんでした。

仮説では、自炊はレシピ決め→食材購入→調理→洗い物と作業工程が多く、それであればカップ麺やお弁当などの出来合いのもので済ませる人が多く、そもそも検索されていないのかなと思います。

では実際にユーザーの行動に変化があるのかをCOVID-19 Community Mobility Reportsから見てみようと思います。
※日本の詳細レポートはこちら

※このレポートは4月2日13:21時点のものです。
※ベースラインの中央値は2020年1月3日〜2月6日のデータを元にしています。

レポートは6つから構成されており、小売や娯楽関連(Retail & recreation)食料品や薬局(Grocery & pharmacy)、公園(Parks)、交通機関(Transit stations)、職場(Workplaces)、居住(Residential)に分かれています。

4月2日時点の日本全体の状況は以下です。

小売や娯楽関連(Retail & recreation)-26%
食料品や薬局(Grocery & pharmacy)-7%
公園(Parks)-25%
交通機関(Transit stations)-41%
職場(Workplaces)-9%
居住(Residential)+7%

この数値からテレワークの導入と不要急用の外出自粛要請により、交通機関の利用が半減しており、職場へ行く人が減り、在宅ワークが増えていることが分かります。

では次にコロナウィルスの感染者が多い、東京・愛知・大阪の詳細を見ていきたいと思います。

東京は感染者が一番多く(4月4日12:00時点)全国平均と比べると各数値が大幅に増減しています。
公園も-66%と大きく下がっていますが、3月下旬の花見のシーズンに一時的に増えており、数字の観点からも3月末の時期に公園への外出が多かったことが分かります。
また、テレワークが順調に拡大しており、それに比例して居住の数値も増えています。
徐々にではありますが、東京都の要請が受け入れられていることが分かります。

テレワーク一気に拡大、企業も臨戦態勢 ロックダウンへの強い危機感背景に

愛知と大阪は感染者が3番目と2番目(4月4日12:00時点)に多いですが、全ての数値で平均を下回っています。話はそれますが、東京都とそれ以外の温度感が大きく違い、この温度感の違いが感染者の拡大に輪を掛ける可能性があり、危惧しています。

全体を通して、実際の数値でもオフラインの行動が制限されつつあり、検索ボリュームの結果を踏まえると、今後オンラインの需要は拡大すると思います。
コロナウィルスによるネガティブな影響が大半を占めますが、ポジティブな業界も少なからずあると思います。
KVPでは引き続き積極的なシード投資を行なっております。
リスクを把握しネガティブシナリオを描くことも重要ですが、その中でポジティブなシナリオがないかを模索できればと思っています。

また、今後もオンライン経済圏に関しての議論を深めていこうと思います。

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