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起業家が初回面談時にベンチャーキャピタリストに質問すべき内容とは?

2021.6.7

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ANOBAKAの葛西です。
アソシエイトとして、初回面談時に起業家の方にいろいろ質問させていただいていますが、今回は逆に起業家の方から聞かれることが多い質問内容と、質問した方がよりVCのことが分かる内容をまとめてみたいと思います。

初回面談時に起業家の方も積極的に質問し、VC選定の判断基準の参考にしてみてください。

大枠として、3つのポイントを押さえておくと全体像が見えてくると思います。

・ベンチャーキャピタルの投資方針について
・担当のキャピタリストについて
・サービスについて

・ベンチャーキャピタルの投資方針について

1.ファンドの投資領域は?

ファンドの投資領域はVCによって投資領域を限定していないところもあれば、SaaSやB向けのプロダクトに積極的に投資を行なっていたりとさまざまです。そもそも投資領域に入っていないと投資検討も出来ないので、まず初めに聞いておくことが望ましいです。

2.ファンド期限は?

これもシードVCから調達する際はかなり重要で、通常ファンドの運営期間は10年とされており、この期間の間にIPOまたはM&Aなどのなにかしらの成果を出す必要があります。
通常新規投資はファンド組成の1-4年目くらいに行われ、ファンド組成の初期と終盤では上場までの期間が3年ほど変わってきます。起業家目線でいうと、ファンドの立ち上がりのタイミングで話をするのが良いとされています。

3.バリュエーションと投資金額のレンジは?

投資対象となるバリュエーションレンジと投資金額レンジを聞いておくと、自分の提示したいバリュエーションと調達金額に合うかが確認できます。1社で今回の調達金額が収まるのか、複数社集める必要があるかなどが分かります。

4.リード投資かフォロー投資か?

対象のVCがリード投資かフォロー投資かは重要なポイントで、リードVCが決まっている場合はフォローVCを集める必要があります。リードVCが2社だと調達金額の中での割合がうまくいかなかったり、フォローVCだけだとリードVCがいないと投資決定できないなどあったりします。

5.次回ファイナンスのフォロー予算と1社あたりの最大投資予算は?

もし投資が決まった場合、次回ファイナンスでフォローがそもそもできるのか?またできる場合の予算感はどれくらいかるのかを聞いておくと、次回ファイナンスを見越した上でどのVCに現段階で入ってもらう方が中長期的に見て良いかを判断することができます。

6.投資の判断基準は?

投資を決定する際に、どんなポイントを最重視するのか?を事前に知っておくことでピッチ中にアピールすべきポイントが変わってきます。
チーム評価に重きを置いているVCには、チームメンバーの経歴や関係性、どういった良さがチームとして発揮できるかを重点的に説明する必要があります。
一方で実績に重きを置いているVCには、トラクションの詳細な説明や、なぜその数値になったかの背景などを丁寧に説明する必要があり、最重要評価ポイントによってピッチの内容が多少変わるので、事前に聞いておく方が望ましいです。

7.投資のプロセスと投資までの期間は?

初回面談から投資実行までのプロセスで、なにがあるかを知る必要があります。
パートナー面談があるのか?案件委員会があるのか?またそれの回数は?みたいな投資委員会までにどんなプロセスがあるかを把握しておくことは重要で、また投資までの期間を聞いておくことで、今回の資金調達の予定期間に入るかどうかも分かります。

あと上記以外にもHPに記載がなければ、これまでの投資先(ポートフォリオ)や支援体制(ハンズオン/ハンズオフ)なども聞いておくと判断基準の参考になると思います。

担当のキャピタリストについて

8.キャピタリストの経歴は?

どんな経歴かを把握することで、仕事のスタイルやなにを重要視するのかがぼんやり分かります。また金融畑の人なのか事業会社出身かで、カラーも違うので全体像を把握する意味合いで知っておいた方が良いです。

9.興味のある領域は?

VCでの全体の投資方針がありますが、その中でも担当の注目領域とその理由を知ることで、自分の事業への関心がある程度分かると思います。C向けのエンタメに興味がある人に、B向けのSaaSの事業を説明してもウケが悪いかもしれません。
また別の担当に代わってもらった方が、投資検討がスムーズになる場合もあります。

10.どういったサポートをするのか?

こちらもVCとしての全体サポート方針があるとは思いますが、結局は担当ごとによってサポートの詳細は変わってきます。週1回の定例なのか月1回なのか?定例以外のサポートがあるのか?またあるのであれば実際のサポート例などを聞いておくと、実際に投資してもらった後の連携イメージがつきやすいです。

11.どんな経営者と相性が良いと考えているか?

上記の興味のある領域とは別軸でどんな人と相性が良いかを聞くことで、自分と適切なコミュニケーションを長期間取れるかを確認することができます。
即レスを求める人・連絡が遅くなりがちな人、ストレートな表現が好きな人・遠回しに言う人などでは常にストレスを抱えながら仕事をする可能性があるので、なにが正しいかはさておき、自分との相性を見極める上で確認しておいた方が良いポイントです。

12.なぜベンチャーキャピタリストをやっているのか?

起業家が投資家から起業の経緯を聞かれるように、起業家かも投資家がなぜVCをやっているかを聞いておいた方が良いと思っています。理由としてはなにをモチベーションに仕事をしているのかを把握することで今後の接し方が変わってくるからです。なにに一番仕事のモチベーションを感じるのか?一番嬉しい瞬間や悲しかった瞬間は人それぞれで、人となりも分かります。

・サービスについて(ピッチ後)

13.サービスの評価ポイントと懸念ポイントは?

サービスのポジティブに感じている点と、ネガティブに感じている点を客観的に聞くことで、正しいか正しくないかはさておき、自分の今の説明だとそういう風に思われるということが理解できます。また、もしもっともだと思った場合は、評価ポイントをより分かりやすく強調して説明したり、ネガティブポイントには打ち手を考え修正/追加するなどの打ち手を考えられます。

14.どこがサービスを伸ばす上でポイントになると思っているか?

これはハンズオンを行なっているVCの場合は重要で、今後事業をどう伸ばそうとするかを議論する上で、自分と全く違うポイントだと折り合いをつけるのが難しくなったり、逆に同じポイントすぎて新しい視点が得られないなど一長一短があると思うので、自分がなにを求めているかをハッキリさせた上で同じ思考の延長線上にあるのか?または別角度の思考で考えているのかを知る必要があります。

15.現時点での温度感は?またどこを改善すれば温度感が高まるか?

たまに面談がヌルッと終わることがあり、検討中なのか、断られたのか分からないみたいな相談を受けることがあります。これは意思表示をしないVCが悪いという考え方もありますが、ぜひ起業家の方からもピッチ後の温度感とネクストステップに関して質問することをオススメします。
その後の検討に際し、追加で必要な資料があるのか?または懸念事項をクリアにする必要があるのか?トラクションをもう少し出す必要があるのか?などネクストステップも様々なので、ここは濁してまたご連絡するみたいなコミュニケーションを取らず、お互いにどうすべきかを確認する方が気持ち的に楽だと思います。

以上が、起業家が初回面談時にベンチャーキャピタリストに質問すべき内容と理由でした。
起業家のみなさんがVCを選定する時のお役に立てれば幸いです。

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