著者: 長野泰和( @hiro_nagano )
こちらはnoteからの転載です。
あけましておめでとうございます。ANOBAKA長野です。
2021年は頭も体もほぼ休みなく稼働してたのでこの年始年末はしっかりデジタル断捨離できて、家族とゆっくり過ごせたのでよい正月となりました。
先日発表しましたが、2022年からはシード特化60億円規模ファンドの投資がいよいよ本格的に動き出すので飛ばしていく予定です。
2021年はMBOにより独立してANOBAKAとしてスタートした年でした。それは自分のイメージの中のANOBAKAの将来像と現時点で何もかもが足りてない状況とのギャップに苦しんだ年でした。また、独立してなおさらプレイヤーとして結果を出すことよりも経営とは何かと考えることが多かった一年でもありました。
ただ、独立時に策定した「チャレンジすることを至高の概念とする」というミッションドリブン型の会社としてやっていこうという軸は振らさずに1年やってこれたとも思っています。
実際にANOBAKAのメンバーが自律的にに立ち上げたPJがたくさんありました。
「愛知県とのプロジェクト」「youtubeチャンネルの立ち上げ」「投資先新卒合同説明会」「100社投資記念冊子」「事業会社のスタートアップへの出向事業CROSSWORK立ち上げ」「その他2週間に一回程度のイベント」
上記は一例ですが、沢山のチャレンジが自発的に発生するANOBAKAってすごくないですか?笑
そんなチャレンジを至高とするベンチャーキャピタルファームに興味あるという方はぜひご連絡ください!今年は採用も本気です。
また、2021年は投資先でも多いなニュースが多かったです。
ほんの一例ですが、
「運送業界の価値創出を目指すCBcloud、約60億円の資金調達を完了!」「オーティファイがノーコードAI利用ソフトウェアテスト自動化プラットフォーム強化で11.2億円のシリーズA調達」「爆進のNELLがテレビCMスタート」「ネクイノがシリーズB調達額は合計で22.5億円に」「日本酒事業を運営する株式会社Clearが、総額12.95億円の資金調達を実施」「オンラインヨガ・フィットネス「SOELU」6.5億円の資金調達を実施。累計調達額15億円に」「医療機関向けSaaSを提供する3Sunny(スリーサニー)が約3.2億円の資金調達を実施」「Buzzreach、国内製薬企業の新型コロナウイルスワクチン開発応援バンク新規応募者4,500名を突破」
上記以外にもたくさんいいニュースがあって紹介してもし足らないくらいです。投資事業を開始してから6年が経ちましたが素晴らしいパフォーマンスを安定してだせるファームになれるという自信がついてきた1年でもありました。
さて、2022年となる今年はどういう時代の大局観で投資事業を思考していくべきなのか?
テックの業界では”web3”と”メタバース”が大きな潮流になってることに疑問の余地はありません。ただ、あまりにも業界視野狭窄的にテックシーンだけを追いかけていくのは危険です。
個人的には2022年のこの時代は分断の時代と捉えています。この分断の時代におけるスタートアップ投資というものはどうあるべきかということを年末に考えていました。
分断の時代というのはある1事象において分断がある状態ということではなくあらゆるシーンで分断が加速していることを意味しています。
新超大国中国とアメリカとの超大国同士の分断。ウクライナ問題に象徴される根深い冷戦の亡霊が生み出す東西分断。格差の拡大による階級の分断。web3に代表されるテックエリートとそれについていけない大衆との分断。環境意識について世代間の意識の分断etc
実際にコロナ禍でも分断というものを個人的にリアルに感じました。それは、一定の関係値以上の人とは人間関係が継続するがそうではない人とは容易に人間関係が希薄化するというものでした。これは人間関係のコミュニティごとの分断が加速しているのかもしれません。
また、格差についてはその昔私が学生の時にLos Angelesでインターンをした時に最初に住んでいた、Little TokyoとWest Hollywoodの差に愕然としたことが原体験として思い出されます。大した距離が離れているわけでもないのに貧困が蔓延するLittleTokyoやダウンタウンエリアとこの世の天国のようなWest HollywoodからSanta Monicaまでの地域ではまったく違う国のような雰囲気、環境、人種構成になっていることに衝撃をうけました。その時に「なんて格差のある社会なんだ。日本はこういう社会になってはいけない」と強く思いました。ただ残念ながら徐々に日本もそういう社会に移行しているという現実があります。
基本的にベンチャーキャピタルという産業は格差を助長する存在であると思っています。トマ・ピケティは「21世紀の資本」という名著で r>g という不等式で資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出すということを論証しました。そのスパイラルのど真ん中にいる人間として格差の拡大という問題にどう向き合うべきか?
立場としては、
(A)顕在化しつつある格差や分断を解決するビジネスに投資をして解決に導く
(B)そもそも日本の立場がそもそもやばいから没落を避けるために格差を容認して r>g を促進する
この2つの考え方があると思います。普通に(A)の考え方を推進していくべきだと思ってはいるんですが、そんな甘っちょろい考え方はいよいよやばいんじゃないかと思わされることが2021年は多かったですね。ガバナンス不全の大企業の事例、半導体産業の没落や競り負け、政治の劣化、一人当たりGDPも韓国に負ける、コロナで露呈した国民的な情報感度の低さ、国家的なITオンチなどなど先行き不安どころかお先真っ暗に感じられる事象が多かったです。
19世紀の産業革命前夜に大国だった、オスマン帝国、清、帝政ロシアなどはそのイノベーションを享受せずに没落していきました。その歴史が繰り返されるような状況が200年経った現在の情報革命前夜の日本で起きている、そんな不安がいよいよ現実になっています。鄧小平の先富論ではないですが、(A)の考え方だと死ぬ。一人でも多くの起業家が成功し、その成功物語や生き方、チャレンジによる多幸感を喧伝していくことが大事と強く思っています。
ANOBAKAはシード特化のベンチャーキャピタルファームとして一人でも多くのチャレンジャーを舞台にあげることを目標としています。
リード・ホフマンの名言で「起業は崖の上から飛び降りながら飛行機を作るようなものだ」というのがあります。これは非常にいい比喩だと思いますが、実際にこの10年ほど業界にいて感じるのは起業自体はこの比喩が想起させるほど危険なものではなく(少なくとも日本においては)、むしろ同じ飛行機で例えると、起業するという行為は離陸する行為でその後の起業家人生は常に乱高下するというイメージの方が実際の感覚に近いです。離陸してから多少の乱高下ありながらも毎年上昇してく起業家、最初からすごい乱高下する起業家、離陸したものの低空飛行に終始してしまう起業家。ただ、失敗したとしても結果軟着陸するケースも多いです。軟着陸せざるを得ないようなケースは一つでもなくしたいとは思っていますが、一人でも多くの起業家予備軍が離陸すること。それが大事だと思います。離陸するのとしないのとでは大違いなので。
個人的には2022年はいよいよ40代に突入します。20代は事業開発の現場で下積みの時代だった。30代はチャレンジすることだけは多かった。40代はこれまで培った経験を結果に変えていく時期だと思っています。
そして、冒頭にも言いましたが、2022年はANOBAKAの採用に力を入れていきたいと思っています。ANOBAKAの「チャレンジを至高の概念とする」というミッションに共感してくれる方はぜひ気軽に連絡ください。新ファンドができて、シードステージで100社投資をする目標を掲げているフェーズなので面白いと思います!
文章とは不思議なもので何書くか定まってないながらも書き始めると色々でてきますね。もっと色々書きたいと思いつつもこの辺でやめときます。では2022年も宜しくお願いします!