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smaluna✖️NOIN✖️bloomee✖️スナックミー ファウンダーが語るPMFの瞬間

2021.5.24

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2.「サービスローンチ時の仮説検証時のズレ」

長野:サービスローンチした時と仮説検証時とのギャップが何かしら生じると思うので、そのズレについて、聞いていきたいと思います。bloomeeの武井さんお願いします。

武井:話がPMFに若干戻ってしまいますが、「引き」が違うというのを僕らも感じていて、それが最初のPMFの感覚を受けたところでした。最初の一ヶ月で事前予約申し込みを開始して、その一ヶ月で2、000人予約があったのがPMFを感じたきっかけでしたね。本登録するのは完全にクレカでサブスク登録がコンバージョンの定義だったので、ローンチしてからは流石にコンバージョン率が落ちるだろうなと思っていたんですよ。10%~20%ぐらいかなと思っていたんですけど、それが最終的には50%ぐらいでした。ここが良い意味でのマーケットのズレでしたね。最初から1,000コンバージョンぐらい本登録がありました。あと悪いズレではないんですけど、花のサブスクでポストに届けるというものなので、忙しいキャリアウーマンが使うイメージがあると思ったんですけど、実際は3,40代の結婚されている女性が多くて、20代はちょっとまた反応が違うんですよね。そこの年齢のズレを感じました。

長野:20代の忙しいOLはニーズがあまりなかったんですか?

武井:ニーズ自体はあるんですけど、チャーンレートが高いです。辞めやすいですね。

長野:皆さん一様にサービスの反応が良かったとおっしゃるんですけど、同じコンセプトをやっても成功する人失敗する人がいますが、その違いはなんだと思いますか。

石井:ピルの前にEDとAGAをやっていたという話をしたんですけど、実は最初の本命は花粉症のオンライン診察だったんです。この事業に対してほぼ全員良いねって言ってくれたので、喜び勇んでローンチしたら全然鳴かず飛ばずでした。同じような母集団に次はピルをやるって言ったら、「世の中全然普及してないよね。」でも一部の投資家の方、例えば長野さんとかは絶対ハマるって言ってくれて、周りの大人が良いというものはダメなんだなと(笑)200ぐらいのユーザーインサイトを行うと、実際1対1の時に話してくれた時は「欲しい」でした。でも1対2のヒアリングを行うと、良い返事は返って来るんだけど、最終的には買わないっていうのがよくわかりました。コンセプトよりもフワッとした意思決定でスタートするかしないかだと思います。渡部さんみたいにこれは絶対に勝てるんだ理由はこうだから、みたいな仮説検証が大事かなと思います。


長野:スナックミーの服部さんはどうですか。

服部:僕らはコンセプト的なことで言うとおやつというコンセプトは変わらなかったんですけど、サービスとかバリューは結構変わっていて、そこのチューニングしていけるのかいけないのかというところでしたね。僕らのおやつはオーガニック系じゃないんですけど無添加のものが多くて、無添加系が好きな小さいお子さんがいるママとか、自然食品が好きな人を最初ターゲットにやっていたんですけど、他の半分ぐらいは異なっていて、ちょっと精神的に大変な時にこういうお菓子が来て嬉しいという方々で、二つセグメントがあるなと思っていました。一方はオーガニック系が好きな仮説通りのターゲットで、もう一方は仮説とは違うターゲットがいてどっちに行くべきかという時に、そこで数十人に話を聞いてどちらの方が熱量が高いか検証したんです。するとそっちのオーガニック系じゃなくて自分のご褒美として買う層の方が圧倒的に熱量が高かった。なのでそっちの方向に行こうと決まって、コピーやデザインとかサービスをそっちに寄せてい来ました。最初のコンセプトからグニャグニャ曲がって今にたどり着いていて、今後も変わるかもしれないんですけど。多分今から振り返るとコンセプトは一緒なんですけどそこのチューニングをどれだけできるかっていうところかなと思います。

長野:サービスコンセプトがよかったとしても、見せ方も含めて細かいチューニングをしないとユーザーの良い声は聞けないということですね。NOINの渡部さんはどうですか。

渡部:ギャップはとてもありましたね。先ほどCPI(Cost Per Install)が、28円って言っていたじゃないですか。死ぬほどユーザーが伸びていたんです。でも僕はすごく重大な前提条件を一つ忘れていて。誰がお客様かって言うところがとても重要だったんです。僕らってプラットフォームだったんですよ。スナックミーみたいに自分たちが作ったものが買ってもらえるかどうかが全てではなくて、僕らってアプリを使うエンドユーザーだけではなく化粧品メーカーと流通もとても大切なお客様だと言うところを完全に失念していたんですよ。何が起こったかというと、メーカーは最初商品を取り扱いさせてくれないので、Amazon・楽天・Yahooの商品が一番安く買えるプラットフォームにユーザーを流すということをしていました。GMV(流通取引総額)が見れるからGMVが高い商品から順番に自分たちが仕入れられたんです。つまり自分たちが最高に売れるものから順番に仕入れていくので、ECをノーリスクでできて最強だと思っていたんですよ。でもいざメーカーに行ったらとても嫌われていて、ぼくらの見え方は「安売りに誘導しているしているやつら」としてみられていたんです。化粧品でそれをやるのは一番タブーだったんですね。商談取れると思って行ったら、「僕たちはあなたたちのことを認めないから」と言われるミーティングでした(笑)「一生契約しないから」と。それを言われて、「やってしまった、終わっちゃったな」と(笑)そこからはがんばりました。エンドユーザーが誰かということはわかっていたんです、プラットフォームとしては片方はめちゃめちゃわかっていたつもりだったんですけど、流通とメーカーに対する理解が足りていなかった。消費者のお客様だけではなくてメーカーと流通のクロスポイント自体が良いと言われるようになるのがPMFと言われるんじゃないかと。

長野:業界の解像度みたいなところだと思うんですけど、始めるまではわからないですよね。

渡部:投資家って当時ユーザーがついてくれば後からひっくり返せるからって言ってたんですけど、全くそうじゃなかったです(笑)

長野:ちなみにそこはどうやってひっくり返したんですか。

渡部:僕はそこは超得意で、この業界すごい塩対応してくんですけど、その瞬間に僕らメンヘラ化するんですよ。すごく厳しく当たってくる人ってみんな離れていくんでそこをあえて踏み込んでメール毎日送るみたいなことをしていました。メーカーに嫌われているというのはわかっていたので、ありとあらゆる部門から話を持ってきてもらって、毎月2、3回連絡を入れ続けるみたいなことをして2年越しにOKをもらって、そこから雪崩式にうまく行きました。

長野:渡部さんと話していると、投資直後とこの直近一年くらいで話す内容が変わったなと思います。初期はユーザーの話とかがメインでしたけど、今はユーザーのグロースの話とかは全くしないですよね。業界の中でNOINのポジションはどう?みたいな話がメインですよね。

3.「一番折れそうになった瞬間」

長野:次の質問ですけど、「一番折れそうになった瞬間」ですね。渡部さんは今の話はかぶるんですかね。

渡部:折れてないです(笑)

長野:折れてないんですね(笑)

渡部:化粧品って値段帯が上に行くと、全く同じ塩対応をされるんですよ。zoomの前で舌打ちされて首振られるみたいな。結構傷つきますよね。でも「めっちゃ得意、来た!これはメンヘラ化しよう」と思ってやってました(笑)折れそうになるのもわかっていて、やばいと思った瞬間にそうならない切り替え方をしているから折れないんじゃないかなと。

長野:そうですよね。年末に食事をしたんですけど今日と同じような話になって、一番辛かったのはなんですかという話になったんです。そしたら渡部さんが「なんだろう、なんだろうって」ずっと考え込んでて、それくらい折れそうになったことは渡部さんには無いんだなと。

長野:ネクイノの石井さんはどうですか。

石井:僕の苦手なところを相棒がやってくれるのであまり自分が折れそうなことはなかったです。僕が一番苦手なところは金融機関でした。そこの部分は入ってきてくれたCFOが全てやってくれるので自分はハンコを押すだけになっているんですけど、彼がくる前は、銀行さんは「貸しますよ」って言っているのに貸さないじゃ無いかと思っていて、そういうところが苦手でした。渡部さんに近いんですけど製薬会社がステークホルダーなんです。うちのサービスをコピーする企業が多いんですけど、結局薬が仕入れられなくてうまくいかないんですよ。でもたまたまうちは相方が薬の仕入れに強く、フロントに立って製薬会社との交渉を行ってくれたことで、むしろ僕はお医者さん側に集中するということができました。心を折れずにやってこれたというのが正直なところです。でも売り上げがなく、資金調達をしたくても、釣れている状態なのに出資を断られるのは心が折れそうでした。

スマルナを始めたのが6月なんですけど2018年の5月末は残高が50万でした。その状態で3人採用しているので「お前なんなんだ?」という話なんですけど(笑)その時は辛かったですね。これは雑談なんですけど、そんな状況の中で実は相方が金持ちだったので2000万入れてもらって2ヶ月生き延びて、ファイナンスをしてもらったという感じです(笑)

長野:スナックミー服部さんはどうですか。

服部:今思い起こすと僕はもともと会社で投資を行っていたのでVCの知り合いが多くて、サービスも何も無い状況で資金調達ができてしまったんですよね。そこで資金調達をしたのにやることが決まってなかったから半年間はサービスを出しては潰し、出しては潰しという状態でしたね。サービスを潰し続けるのがしんどかったですね。プロダクト作らなくて良いからFacebook広告だけやってみようって始めて以降はあまり辛いことは無かったですね。

長野:意外にみんな無いんですね。bloomee武井さんはどうですか。

武井:僕も今のサブスクの事業を始める前に一年くらい別のサービスをやっていました。花という軸は変わらないんですけど、それがうまくいかなくて、ひどい時の口座の残高が9万円でした(笑)サブスクになってからは服部さんと同じでずっと右肩上がりで曲線としても綺麗で、事業としては折れそうになかったことは無かったです。最初の一年で1万人ぐらい登録が増えて伸びたんですよ。その時組織がもともと僕1人しかいなくてアルバイトとインターンしかいない状況だったので、この一年で10人くらい、役員も1人採用したんです。でもその後組織崩壊して長野さんに出資してもらった時には社員が2人しか残っていなくて8人くらい辞めていたんですね。長野さんに言ってなかったんですけど、資金調達のアポを取った時も、朝に役員から「辞める」と言われた日で、そのテンションで長野さんに「めちゃめちゃ伸びています」と笑顔で言うのは辛かったですね(笑)

長野:一番最初に会った時に、「花の事業をやっているのに社長さんには花がないですね」ってめっちゃひどいことを言ってしまって(笑)そんなことが背景にあったんですね。サービスというよりはチームビルディングが大変だったと?

武井:そうですね。サービス自体は伸びているのに皆に辞められし文句は言われるし、辛かったですね。

長野:でも今bloomeeはものすごく良い組織になっているじゃないですか。何が違うんですか。

武井:それがあって出資を受けてお金にも余裕ができて採用に力を入れ出したんです。そこからですね、採用が強くなったのは。今社員が25人ですが、そのうち人事が3人もいます。それぐらい採用とか組織にはリソースをかけていますね。

長野:bloomeeは月々の応募数とかすごいですもんね。言えるんでしたっけ?

武井:月に2,000人ぐらいはいかないですね、1,000人応募ぐらいです。

長野:bloomeeは90社の投資先の中で一番月当たりの応募数が多いはずです。それぐらい力を入れているってことですね。

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