4.質疑応答
長野:事前に質問をもらっていまして、まず、NOIN指名のものがあるので渡部さんお願いします。
⑴「NOINのポイント還元率の高さはなぜ実現できているのか?」
渡部:NOINの商品調達元はいくつかあって、大丸松坂店からの委託販売、メーカー直の委託販売。あとは卸から直接買取仕入れていたりといった形です。比率としてはかなり委託販売契約に切り替えています。委託販売であれば、在庫はメーカーさんのものなので、メーカーさんが販促費を出してくれることがもともとわかっていたため、いま行っているような高い還元率でも普通に利益が出るという感じですね。
長野:業界構造的な話ですよね。今4人の中でペルソナの話って出てきませんでしたが、どうですか?
⑵「ペルソナをどこまで設定したのか?」
渡部:設定しなくて良いと思います。これは間違いないと思っていて化粧品とかは特にそうだと思うんですけど、僕は今36才なんですけど皆さんもそのくらいですよね。僕らの時代って情報収集は検索だったんですよ。自分でgoogleで探してって感じだったんですけど、今の情報収集の中心ってSNSなんですよ。SNSが起こした革命って、こんな自分で良いんだっていう相手を発見させてくれるんですよね。昔はペルソナってこの地域に住んでこの年齢層でこの働き方をしていてって定めていたと思うんですけど、その垣根が取り払われた。例えば今NOINのsöpöっていう商品をファミマとかで販売しているんですけど、若者をターゲットに作ったんでしょって言われるのですが、40代の人もたくさん買っているんです。なりたい自分になれるってことを化粧品業界っていうのは証明してくれている世界だから、ペルソナってそこまで考えなくても良いんじゃないかと思っています。
石井:僕もペルソナは作っていないです。どちらかというとペルソナを設定するのには反対ですね。ペルソナを設定すると、そこからずれたところを消してしまうので機会損失の方が大きいと思います。とはいえサービス立ち上げの時はうちの会社のメンバーの1人の女性を想定してどっちが良いかっていうのをずっとやっていたんですよ。一点突破するにはペルソナ設定するのは良いかもしれないんですけど、マスに広げるのはどちらかというと設定しない方が良いんじゃないかと思います。最初の10人のお客さんは一点突破でしてたんですけど、その先はあまりしていないですね。その人にとって使うきっかけってどういうシーンがあるかを羅列していくというのはやっていました。
服部:僕もペルソナ作るのは反対ですね。僕は最初3人でやっていた時に1人が「誰がターゲットがわからないからペルソナを作ってくれ」って社内で資料まで作られたんですけど(笑)ペルソナを作れば作るほど「こんな人はいない」というようなペルソナが出来上がっていって、余計に判断がしにくくなるんですよね。それだったら最初にお客さんを100人ぐらいくらい確保して、1人は熱量が高い人がいるので、その人がお客さんだよってことでモニタリングしたりお電話したりしていました。「この方はすごく大事だからこういう人をあと10人増やそう」って感じでやっていました。
武井:僕もペルソナはなかったですね。服部さんに近いんですけどペルソナは作っていくものだと思っていて。ローンチしてから一年経ってある程度ユーザーさんが増えてきた中で、毎月そこから家にホームビジットをしていまして、3年ぐらいやっています。今はコロナ禍なのでzoomなんですけど自宅まで行ってどういうところに花を飾っているか、どういう街に住んでいるのかというところをヒアリングして、月に2.3回行って全社員の前で質問内容を共有しています。僕らにとってのペルソナってペルソナシートみたいなものが40人ぐらいあるんですけど、それがペルソナかなと思います。
長野:うちはペルソナが40人いますっていうことですよね。投資家からサービスローンチ時にペルソナはなんですかと聞かれて、そんな質問は無意味ですって答えたっていう話ですよね(笑)他に会場の皆さんは質問はありますか。
⑶「どうやってCPIを28円を実現にしたのか?」
質問者:NOIN渡部さんにお伺いします。Instagramの広告を最適化して28円になったのか、それとも適当に回して28円だったのかお伺いしたいです。
渡部:めちゃめちゃ最適化してこうなりました。最初は250円とかでそれでも結構安いですが、そこからある瞬間にトリガーが外れて28円というCPIが生まれたんです。
⑷「感性とロジックとどちらが大事?」
質問者:感性とロジックについて考えていまして、ビジネスの売り上げを上げようとしてらロジックは絶対に必要だと思うんですけど、感性をどれくらい入れているのかお伺いしたいです。それとも感性は一切外した上でサービスを作っているんでしょうか?。
渡部:ペルソナは設定していないんですけど、僕らが唯一設定しているとすれば「これはNOINっぽいよね」というものは持っています。それが感性と言えるんじゃないかなと思います。僕らがここだけは誰にも負けないという共通言語、感性に近いものはNOINの中にはあります。言語化するのは難しいですけど、お客様の接客の中で「これはNOINっぽい」というものですね。
石井:僕は感性が先でロジックは後から来るものだと思っていて、ロジックから積み上げたものは誰かの真似になってしまうと思います。イメージですが、一枚の絵があって、ビジネスが進んでいると下書きが綺麗になって色が入って来る。多分最初に答えがあるんです。それを徐々に見えるようにしていくものがロジックかなと思います。起業家が持っている、「こういう未来を実現したい」というものが一番大事ですね。その理想はロジックでは描けないので。
服部:もともと僕はコンサルに5年くらいいたので基本ロジックはすごい使ったんですけど、ロジックと感性両方使っていて、ロジックと感性のキャッチボールみたいなことを頭の中でしていました。ロジックだけだと同じものになってしまうので、そこから飛ばさないといけなくて。ロジックと感性を飛ばしなら自分の中でいいところを探していくという感じです。
武井:フェーズによるかなと思うんですけど、今はロジック100%ですね。最終的にはロジックに落とし込むというところにしています。最初はペルソナを設定するみたいにガチガチにロジックを組んでも難しいところがあるので、感性の部分が大きいのかなと思っています。
⑸「売り上げが伸びているのに組織が崩壊してしまっていた時があったという矛盾の理由は?」
質問者:武井さんにお伺いします。売り上げが伸びているのに組織が崩壊しているとは具体的にどういう状況なのかお伺いしたくて、売り上げがあればネガティブなイメージを吹き飛ばせるというイメージをなんとなく思っているんですけど、できる範囲でお伺いしたいです。
武井:僕もそう信じていたんですけど(笑)やっぱり僕らは組織として営業ではないんですよね。達成したからこれが報酬に還元されるということはないんですよ。なのでサービスを多くの人に使ってもらって、各種KPIはあるんですけど各種そんなゴリゴリな感じではないんで何を大切にしているかで組織にいる人も変わって来るので、この場合モチベーションがリターンとか売り上げではなかったので崩壊したかなと思います。
⑹「instagramからのユーザー獲得戦略は?」
質問者:NOINの渡部さんにお伺いします。NOINさんはinstagramに結構力を入れられているなと思っていて、この間COOの千葉さんのnoteを拝見して、「メディアで物は売れない」と言うことが書いてあってその通りだと思いました。メディアに力を入れて最終的にECに流すと思うんですけど、どれくらいがInstagramからの流入なのかとか、どうやって購入まで引き込んでいるのかお聞きしたいです。
渡部:僕と千葉がなぜNOINをやりたかったのかと言うと、僕はLINEとかグリーで新規事業をやっていたりして、メディアがものを売れないと言うことを実感していたんです。メディアとECってメンタルモデルが全く違うんですよ。僕たちは情報発信が目的ではなくて、お客様がNOINのことを知ってくれる手段でしかないんですよ。僕たちって情報発信して振り向いてくれたお客様をDMに引き摺り込んで10年クラス級の元美容部員がお客様の悩みに寄り添いながら最適な提案をする。そして先にNOINのアプリで購入してもらって、そこで売ってないものは別のプラットフォームで売っているものをおすすめする。コンテンツでフックをかけて振り向いてもらって、コミュニケーションに引き込んでNOINを好きになってもらう。メディアはNOINを好きになってもらうための手段でしかないですね。どれくらい来ているかというと半分以上はInstagram経由じゃないかなと思います。
長野:そろそろ最後の質問にします。
⑺「初期のターゲットと今のターゲットへの推移の理由は?」
質問者:服部さんにお伺いします。オーガニック系の人が最初ターゲットにしていたと思うんですが、自分にご褒美をしたいと言う人々がターゲットに変わったと言うのはどういう瞬間で、それらの人々がどんな行動をとった時にそう判断したのお聞きしたいです。
服部:僕らもインタビューをずっとやっていてですね、満足度が高い方を中心にインタビューをやっていく中で、話していてすごく楽しそうにしていたりとか、うちのサービスじゃないとダメで他に代替できないと思っているのはどっちの層だろうとか検証していました。最初は子供用とかに買っていると思っていたんですけど、結構自分用に買っているなという違和感があって。その違和感をインタビューしながら確かめていったという感じですね。温度感的に見ても2パターンあって、熱量が高い方がどっちなのかと言うところで、話していて楽しそうとか、手紙をくれるのはどういう人なのか定量的にアンケートを取るよりは定性的に話を聞いてみるとかしていましたね。
渡部:アンケートは役に立たないですよね。
服部:そうですね。インタビューの前段階に使うくらいですね。週に4.5人するので月に20~30人くらいに聞きますね。電話で聞くんですけど、その時のインタビューはなぜスナックミーを使っているのか、届いてからどうやって無くなっているのかとか、サービスとしてよかった瞬間とかを聞いています。
長野:これで終了したいと思いますので、これを聞いている方は起業家の方が多いと思いますので、最後に皆さんに向けて一言メッセージをもらえればなと思います。武井さんお願いします。
武井:よく言われますけど諦めないことが一番大事ですね。僕らもピボットして今があって、もともとはダメダメでサービスもうまくいかなかった中で事業をしていたので。どこで何があるかはわからないので諦めずにやってください、そこが重要だと思います。今日はありがとうございました。
服部:PMFのセッションなので興味がある方も多いと思うんですけど、僕自身はPMFが来た瞬間ってまだないと思っているので、まだそこがなくてもあまり気にせずやっていくのが良いと思います。
石井:起業とか事業をやれるって究極の自己実現だと思っています。最初に描いた絵、『起業の科学』という書籍の中で出てくる「ヒューチャーフィット」って大事だと思っていて、2021年の4月に合わせるんじゃなくて、2025年に自分たちのサービスがどう社会実装されているんだという絵をしっかり描いて、そこのパズルを埋めていくとPMFというものがあるんじゃないかと思います。みんなで事業とかサービスを楽しんでいければなと思います。今日はありがとうございました。
渡部:最初に資金調達をしようという時に言われた言葉でまだ覚えている言葉があるんですけど、「君がやろうとしているマーケットってどんなパラダイムシフトが起こって、その時自分がどこにいるの?」って聞かれたんです。でも聞かれて答えられなかったんですよ。パラダイムシフトとか潮流って自分で起こすものだなと思っていて、この世界が来るって言い続けること、それを作るのが自分たちだと言い続けることが大事じゃないかなと思います。だからPMFってこないんですよ。自分たちが潮流のど真ん中にい続けようとするから、その先の未来に自分たちをあてに行くので精一杯だなと思うんで、きっとPMFってこないんじゃないかなと思います。でもそれで良いと思います。今日はありがとうございました。
長野:本日は貴重なお話しありがとうございました。
最後までお読みいただきありがとうございました。第2弾のPMFcomferenceも7月上旬ごろに開催予定ですので、決まり次第告知させていただきます。ご興味のある方は公式SNSをご確認いただければと思います。